皆さんご存知の通り、日本人がドイツで長期間滞在するにはビザ(滞在許可証)が必要です。
特に、ドイツで就労する場合、就職先が日系企業であろうがそうでなかろうが、そして駐在員であろうがそうでなかろうが、ドイツの就労ビザが必要になります。
ドイツの各自治体の外国人局からもらえる就労ビザは、一般的に期限付きです。
そのため、一度就労ビザを取得した場合でも、期限が過ぎた後も継続してドイツに滞在し就労し続けるのであれば、新しい就労ビザを外国人局からもらう必要があります。
そこで、今回は、ドイツの就労ビザ(滞在許可証)を更新する方法についてご紹介したいと思います。
なお、今回の記事においては、ビザ=滞在許可証=Aufenthaltstitelですので、その点を踏まえてご覧いただければ幸いです。
また、今回のゴールは、就労ビザを延長してもらったうえで、特定の雇用主に紐づかない就労ビザに切り替えてもらうことです。
- デュッセルドルフに在住し就労している方、もしくはデュッセルドルフへ就労目的で引っ越し予定の方
- デュッセルドルフで就労ビザを近々更新する必要のある方
- 現在、雇用主に紐づく就労ビザを保有している方(自営業もしくはフリーランスでない方)
断り書き(今回の内容の前提)
今回ご紹介するドイツの就労ビザの更新の流れは、2024年3月に筆者自らの就労ビザを更新した際の経験に基づくものです。
そのため、以下の条件に当てはまらない場合、流れが異なる可能性が大いにありますのでご注意ください。
また、時間とともに更新方法や必要書類が変更される可能性があります。
ビザの更新の申請をする予定である各外国人局のホームページなどで、最新の情報を各自ご確認ください。
- デュッセルドルフの外国人局での更新
- 他の自治体の場合、必要書類や流れが若干異なる可能性があります。
- 就労ビザの更新
- Family Reunion Visaで就労している方、また語学学校用ビザや学生ビザなど就労ビザ以外のビザから就労ビザに切り替える場合は、必要書類や流れが異なる可能性があります。
- 新規発行申請の場合も、必要書類や流れが異なる可能性があります。
- 現時点で、現雇用主に紐づく就労ビザを保有
- 既に雇用主に紐づかない就労ビザをお持ちの方は、必要書類が少ない可能性があります。
- ドイツで2年以上就労して年金保険料を納付した
- 雇用主に紐づく就労ビザを保有しての勤務歴が2年未満であり、転職等でビザの書き換えが必要な場合は、必要書類や流れが異なります。
- 従業員として就労中
- 自営業用もしくはフリーランス用等のビザをお持ちの場合、必要書類や流れが異なる可能性があります。
- 日本国籍を保有
- 日本以外の国籍をお持ちの方は、必要書類が異なる可能性があります。
様々な前提条件をあげてしまいましたが、この条件に当てはまる方はそこそこいるのではないかと思います。
要するに、日本人であり、配偶者の都合ではなくデュッセルドルフに転居し、ドイツで従業員として就労した期間が既に2年を超え、就労ビザの期限が迫ったために更新する必要のある方です。
現時点ではドイツでの職歴が2年未満で、かつ就労ビザ(滞在許可証)を一度更新する必要のある方でも、次回の更新時にこの条件に当てはまるケースも多いと思います。
そのような方は、次回の更新時にまたこのページに戻ってきていただければ幸いです。
就労ビザ更新時のおおまかな流れ
先程述べた前提に当てはまる状況で就労ビザを更新する際のおおまかな流れは、以下の通りです。
就労ビザを更新するにあたって必要な書類を準備します
デュッセルドルフ外国人局に更新が必要な旨をメールで連絡し、同時に必要書類を送付します。
デュッセルドルフ外国人局が指定した日時に、必要書類および手数料支払い用のカードを持って外国人局に出向き、最終的な更新申請を行います。
新しい就労ビザが出来上がったことを示す手紙(e-TANが記載された手紙)が自宅に郵送で届いたら、予約なしでデュッセルドルフ外国人局に再度出向き、新しいビザを受領します。
有効期限が切れる3ヶ月前ぐらいから更新の申請を受け付けてくれるようですので、期限の3ヶ月前~2ヶ月半程前に余裕を持って申請することをおすすめします!
ちなみに、筆者の場合は、Step 2の外国人局へのメール連絡からStep 4の新しい就労ビザの受け取りまで、2ヶ月強掛かりました。
Step 1:必要書類の準備
最初のステップは、就労ビザの更新に必要な書類を揃えることです。
以下に、必要となる書類の一覧をまとめてみましたので参考にしてください。
※筆者は、以下の書類で申請が通りましたが、場合によっては、追加で書類の提出を求められる可能性がありますのでご了承ください。また、一部の書類が不要である可能性もあります。
特に、Arbeitgeberbescheinigung über bestehendes und ungekündigtes Arbeitsverhältnis(雇用主との関係が現在も継続していることを示す証明書)とRentenversicherungsverlauf(年金保険料を納めたことを証明する書類)は、関係者に作成を依頼したりする必要があるものですので、真っ先に準備に取り掛かると良いでしょう。
また、パスポートや現在保有しているビザなどについては、必要に応じてスキャンし、pdfのファイルにします。
原本を郵送する必要はありません。
- Antrag auf Verlaengerung einer Aufenthaltsgenehmigung(ビザ延長申請書)
- 外国人局のホームページでダウンロードして記入(https://www.duesseldorf.de/lebenssituationen/auslaender/formal)
- パスポートの顔写真ページ
- 現在保有しているビザ
- Zusatzblatt zum Aufenthaltstitel
- 現在勤めている企業に入社した際の署名済み雇用契約書
- Arbeitgeberbescheinigung über bestehendes und ungekündigtes Arbeitsverhältnis(雇用主との関係が現在も継続していることを示す証明書)
- 雇用主の人事担当者などに作成を依頼
- Mitgliedsbescheinigung der Krankenversicherung(現在有効である健康保険に加入した際に受領した会員証)
- 現在加入している健康保険証
- 直近3ヶ月の給与明細
- Rentenversicherungsverlauf(年金保険料を納めたことを証明する書類)
- ドイツ年金保険組合のホームページにて申請可能(https://www.deutsche-rentenversicherung.de/DRV/DE/Home/home_node.html)
※申請から受領までに1週間程度掛かります
- ドイツ年金保険組合のホームページにて申請可能(https://www.deutsche-rentenversicherung.de/DRV/DE/Home/home_node.html)
- 賃貸契約書
Step 2:メールでの申し込みと必要書類送付
次に、デュッセルドルフ外国人局にメールを送り、就労ビザ(滞在許可証)の更新が必要である旨を伝えます。
送信先であるデュッセルドルフ外国人局のビザ発行/更新の担当部署のメールアドレスは、以下の通りです。
abh-backoffice@duesseldorf.de
※2024年1月に筆者が更新した際はこのメールアドレスを使用しましたが、変更となる可能性がありますのでご注意ください。
※ビザ更新の際の最新の連絡先は、以下に示すデュッセルドルフ市のホームページで確認できます。
https://www.duesseldorf.de/auslaenderamt
また、メールのテンプレートを以下に記載しておきますので、必要に応じてご使用ください!
※氏名等、一部申請者本人の情報を記入する必要がありますので、お忘れなく!
このようなメールを作成したら、そのメールにStep 1で揃えた必要書類をpdfファイルにして添付し、デュッセルドルフ外国人局にメールを送信します。
追加書類が必要な場合は、外国人局からその旨について10日程度で連絡が来るはずです。
Step 3:指定された日時に外国人局に行く
外国人局から来るべき日時を指定される
送付した書類に不備や不足が無ければ、外国人局から、XX月XX日のXX時に外国人局に来いとの連絡が来ます。
筆者の場合は、メールと書類を送って半月ぐらい経ってから、そのようなメールが外国人局から届きました。
そのメールには、外国人局に来るべき日時と外国人局の住所の他、当日持参すべき書類などが情報として書かれていました。
筆者が更新した際に、当日持参必須であると指定された書類は以下の通りです。
- 現在有効なパスポート
- 現在有効なビザ(Aufenthaltstitel)
- ビザ申請用の証明写真(35 mm x 45 mm)
- 申請費用支払い用のECカード、もしくはクレジットカード(現金での支払いは不可)
特に、証明写真が手元にない場合、もしくは6か月以上前に撮影したものしかない場合は、外国人局から指定された日時までに用意するようにしてください。
また、指定日時までに、外国人局から郵送でその予約に関する手紙が届きますので、そちらもぜひ当日に持参してください。
外国人局に着いた後の流れ
指定された日時にデュッセルドルフ外国人局の入る建物群まで行くと、外にも人だかりのある建物(B棟)が目に入ると思います。
その建物の前に立っている警備員に、外国人局から受け取った予約に関する手紙を見せると、すぐ近くのとある列に並ぶよう指示されるはずです。
その列に並び少し待つと、建物の中に誘導されます。
建物の中に入ったら、係員の誘導に従い入口付近にある受付に行きます。
そこで、予約がある旨を伝え本人確認書類を見せると、番号札を渡されます。
その番号札を持って、自分の番号がモニターに表示されて呼ばれるまで、受付のすぐ後ろや横にある待合所で待ちます。
筆者の場合は、午前9時半の予約でしたが、案内されたのは結局午前11時頃でしたので、1時間半待たされました…。
自分の番号が呼ばれたら、モニターに表示された行くべき窓口番号(Schalter=窓口)を確認し、建物正面左側のエリアに進みます。
先程行った番号札をもらった受付とは別の窓口ですので、誤って待合所のすぐ近くにある受付に再度行かないよう気を付けてください。
(偶然番号がかぶることもあるかもしれませんが…。)
建物正面右側に待合所があるので、進むべき方向は、入り口から見て待合所とは反対方向です。
途中部屋のようなものがありますが、それらを無視して通路に沿って真っすぐ進み続けます。
すると、外国人局の係員が多くいる広い部屋に突き当たるはずです。
そこで、受付係のような人に自分の番号札を見せると、自分が行くべき窓口の場所を案内してくれます。
自分の番号が呼ばれ窓口まで辿り着いた後の流れ
係員が居て椅子やテーブルのある窓口に辿り着いたら、番号札に加え、持参するよう求められた書類を渡しましょう。
しばらくすると、係員から登録情報に関する書類を一時的に渡されるので、登録情報に誤りがないか確認したうえで、書類2枚ほどにサインをします。
その後、左右の人差し指を小さな機械の上に乗せ、指紋を登録します。
それが完了した後、カードで申請手数料の支払いをすることになります。
筆者の場合は、93ユーロでした。
(高いですよね…)
これをもって、正式な申請が完了したことになります!
その後、今後の流れや今回の申請手続きに関する難解な書類、および領収証的な書類を受け取ります。
その際に、今日はまだ新しいビザを受け取れないこと、2~4週間以内にe-TANが記載された手紙が自宅に郵送されることなどを説明されます。
つまり、その手紙が来るまで数週間待つ必要があるのですが、万が一新しい滞在許可証を受け取るまでに現在の滞在許可証の期限が来てしまっても、今回の申請手続きに関する書類があれば、そのままドイツに滞在し、働くことができるそうです。
(筆者が係員に確認済みです!)
しかし、現在有効なビザが切れてしまった場合は、その書類を持っていても国外への旅行は認められないので、注意が必要です。
Step 4:後日新しい就労ビザを受け取る
外国人局で正式な申請をし、手数料を払ってから数週間すると、自宅に郵送で外国人局から手紙が届きます。
その手紙にe-TANが記載されています。
(e-TANは、無くさないように保管しておけば、一旦無視していただいても構いません。)
その手紙で重要なのは、この手紙が届いた=新しいビザが出来上がったということです!
したがって、外国人局が開いているタイミングで再度外国人局に行くと、新しいビザを受領することができます。
予約は不要です!
新しいビザの受領に際して必要な書類は以下の通りです。
※筆者は、以下の書類の持参を求められましたが、場合によっては、追加書類が必要な可能性がありますのでご了承ください。また、一部の書類が不要である可能性もあります。
- 現在有効なパスポート
- 現在有効なビザ(Aufenthaltstitel)(およびZusatzblatt)
- 数週間前に外国人局で正式な申請を行った際に受領した書類
外国人局がある建物群に再度出向いたら、再びB棟に向かいます。
入口付近にいる警備員に関連する書類(前回外国人局で受け取った書類など)を見せ、ビザを受け取りに来た旨を伝えると、すぐ近くのとある列に並ぶよう指示されます。
誘導に従って再び建物の中に入って受付に行き、(今回はこの受付で)持参必須であると指定された書類をすべて渡します。
しばらくすると、新しいビザと新しいZusatzblattを渡されます。
古いビザは、ハサミで角を切られた状態で返却されますので、それも記念に持ち帰ることができます。
新しいビザ(特にZusatzblattの方)を確認すると、特定の雇用主に紐づかない就労ビザになっているかと思います。
これで、転職時にビザの問題で不利になることはほぼないでしょう。
これで、やっと就労ビザの更新手続きが完了です!
本当にお疲れ様でした!!
まとめ
- 就労ビザ(滞在許可証)の更新は、期限の3ヶ月前に手続きを開始することをおすすめ!
- まずは、必要書類の準備から!(雇用主やドイツ年金保険組合から書類を取り寄せる必要があるため)
- ビザを更新する際は、予約なしで外国人局に行くのではなく、まずはメールで連絡と必要書類の送付を!
- 指定された日時に(1回目に)外国人局に出向く時には、新しいビザをまだ受け取ることができない
ドイツでビザ(滞在許可証)を更新する際には、多くの書類や手続きが必要であり、また申請手数料も高額です。
期限が数週間後に迫って焦ることのないよう、余裕を持って申請することを強くおすすめします!
また、3週間待っても外国人局から返事が来ない場合は、進捗状況や必要な追加書類がないか確認するメールを送ってみると良いと思います。
皆さんのビザの更新がスムーズに行くことを願っています!
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