ドイツに所在するドイツのローカル企業での働き方について、筆者自らの経験をもとに数回に分けてご紹介しています。
前回の、在宅勤務とリモートワークに関する記事はいかがでしたでしょうか。
今回4回目と次回5回目は、待遇面についてさらに焦点を当てたいと思います。
今回は、特に給与に関する話に絞ってお伝えします。
※前回同様、ドイツのローカル企業での働き方と言っても、実際には様々な働き方や社風がありますので、今回お話しするのは一例であるということにご留意ください。
- ドイツにて、ドイツのローカル企業で働くことに興味のある方
- ドイツでの働き方に興味のある方
- ドイツでの生活に興味のある方
日本とは少し異なるドイツの給与事情
基本給が高く、ボーナスや諸手当が少ないドイツの企業
給与の額や内訳は、ドイツでも日本と同様に、企業や職種、役職や経験などによって大きく変わります。
ただし、一般的には、ドイツの企業の方が基本給が高くてボーナスが少なく、その一方で日本の企業の方が諸手当や福利厚生が充実していることが多いと言われてます。
もちろん、為替レートによっても変わってきますが、日本で仕事をするよりもドイツで同じ仕事をした方が、基本給の額面は圧倒的に高くなることが多いです。
ただし、一般的には、天引きされる所得税等の割合がドイツの方がより高いため、手取りで日独を比較すると、その差は縮まります。
それに、極端な円安ユーロ高である現在(2024年4月)は、日本よりもドイツの方が物価が高い傾向にあるから、ドイツでより多くの収入を得てドイツで暮らしても、結局は日本で収入を得て日本で生活するのとほぼ変わらないよ!
最低賃金については、日本と同様、ドイツでも毎年のように見直され上昇し続けています。
ドイツでは、2021年や2022年のように、年に数回最低賃金が引き上げられることもあります。
日本の最低賃金の全国平均は、2024年4月現在1,000円程度で、物価の違いなどから都道府県ごとに最低賃金が定められています。
その一方で、ドイツの最低賃金はドイツ全国で共通であり、2024年4月現在12.41ユーロです。
円安の影響もあり、円換算すると2,000円程度になり、日本の2倍程度となります。
しかし、先程も述べたように、ドイツの方が税金が高いために、手取りにすると2倍の差にはならず、また円安ユーロ高の影響でドイツの方が物価が高い傾向にあるため、最低賃金が額面上2,000円だとしても豪遊はできません。
ちなみに、2024年4月現在のような極端な円安ユーロ高でなければ、日本とドイツの物価は似ているよ!
ちなみに、ドイツにおいてボーナスは日本ほど一般的ではありません。
もちろん、営業職など、個人の成果が会社の売り上げに直結する職種の場合は、ドイツでも多くの企業で個人の業績等に応じてボーナスが支給されます。
しかし、売り上げに直接的ではなく間接的に貢献する職種(ITエンジニアや経理担当者など)の場合、ドイツではボーナスの支給がそこまで一般的ではありません。
さらに、住宅手当や修士手当などの諸手当も、ドイツではほとんど普及していません。
また、ドイツでは、残業を前提としていない企業が一般的であるため、残業代の追加支給もないことが多いです。
ただし、ドイツでも、自己啓発の予算が各社員に割り当てられていたり、語学学校の授業料の補助のようなものが用意されていたりすることはあるよ!
Weihnachtsgeld(クリスマスボーナス)とは?
ドイツでボーナスと言えば、Weihnachtsgeld(クリスマスボーナス)というものがあります。
これは、会社の業績などに応じて主に11月に追加支給されるものであり、雇用契約書上で事前に約束する必要がないものです。
そのため、支給額は毎年変動する可能性があるうえ、今年はもらえても来年はもらえない可能性もあります。
このWeihnachtsgeldを支給している企業の数はそこまで多くはありませんが、ドイツのローカル企業を中心にちらほら見かけます。
在独日系企業でのWeihnachtsgeldの支給は、今のところ聞いたことがありません。
クリスマスの時期に合わせてボーナスが支払われるのは、とてもキリスト教の国らしい文化だね!
Dreizehntes Gehalt(13ヶ月目の給与)とは?
Weihnachtsgeldに近いものでドイツでたまにあるのが、Dreizehntes Gehalt(13ヶ月目の給与)(13ヶ月ではなく、13.5ヶ月や14ヶ月等の場合もあります)と呼ばれるものです。
支給対象者である場合は、Weihnachtsgeldと異なり雇用契約書上にもその旨が記載されるため、ボーナスではなく基本給に近い存在です。
13ヶ月目の給与が存在する場合、あらかじめ決められた月に1ヶ月分多く給与が支払われるということになります(0.5ヶ月分ずつ二度に分けて支給される場合もあります)。
例えば、基本給が月3,000ユーロかつ13ヶ月目の給与が11月に支払われる契約になっている場合、11月以外の月は3,000ユーロ(額面)ですが、11月のみ3,000ユーロ×2ヶ月で6,000ユーロ(額面)となります。
1ヶ月分多く支払われることが確定しており、ボーナスのように会社や個人の業績によって額が変化するものではないため、ボーナスとは性格の異なるものです。
3,250ユーロ(額面)×12ヶ月でもらう場合も、3,000ユーロ(額面)×13ヶ月でもらう場合も額面の年収としては同じく39,000ユーロとなります。
確定申告後は、両者で手取りも同じになります。
そのため、13ヶ月目の給与の有無が求職者や転職希望者にとって入社の決め手になることは稀です。
言い換えれば、13ヶ月目の給料が存在することによるメリットは基本ないかと思います。
むしろ、12ヶ月で支給してくれた方が、金銭的な計画を立てやすいですし、退職時にも有利な可能性が高いかと思います。
ちなみに、在独日系企業でも、現地採用者に対してこの13ヶ月目の給与の支給を行う企業があるよ!
まとめ
- ドイツの企業は、日本の企業と比較して、給与が高くボーナスと諸手当が少ないことが多い
- Weihnachtsgeld(クリスマスボーナス)を採用している企業では、クリスマス前にボーナスが支給される(可能性がある)
- Dreizehntes Gehalt(13ヶ月目の給与)が適用される場合、基本給が2倍等になる月があるが、もし通常月の給与が少ないのであれば、この制度はメリットにならない
物価や税金が異なる2か国間で給料の制度について比較するのは簡単ではなく、一筋縄ではいきません。
それでも、日本とドイツの給料の制度を比較すると、いくつかの違いやドイツらしい制度があることもわかり、興味深いものです。
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