ドイツの働き方 Part 3:在宅勤務とリモートワーク

ドイツに所在するドイツのローカル企業での働き方について、筆者自らの経験をもとに数回に分けてご紹介しています。
前回の、残業に関する記事はいかがでしたでしょうか。

今回3回目は、仕事の時間ではなく、仕事の場所に焦点を当てたいと思います!

新型コロナが騒がれた2020年や2021年には、日本でも多くの企業で在宅勤務が導入されました。
完全在宅勤務になった方もいれば、半分出社し半分在宅勤務となった方もいたかと思います。
その一方で、公共交通や物流に携わる方など、コロナ禍でも毎日出社していた方もいるかと思います。

新型コロナの問題がだいぶ落ち着いた今はどうでしょうか。
コロナ禍同様、在宅勤務が依然として続いていますか?
それとも、出社しなければいけない日数が増えましたか?

今回は、ドイツの在宅勤務とリモートワークの状況についてお伝えします。

※前回同様、ドイツのローカル企業での働き方と言っても、実際には様々な働き方や社風がありますので、今回お話しするのは一例であるということにご留意ください。

この記事は、こんな人におすすめ!
  • ドイツにて、ドイツのローカル企業で働くことに興味のある方
  • ドイツでの働き方に興味のある方
  • ドイツでの生活に興味のある方
目次

ワーケーションもできるドイツの働き方

日本以上に定着しているドイツの在宅勤務

ドイツでも、2020年の新型コロナの蔓延とともに在宅勤務が普及しました。
新型コロナ前から在宅勤務を導入していた企業もありましたが、新型コロナ蔓延を機に多くの企業で導入され、また在宅勤務可能な日数も大幅に増えました。

新型コロナの騒ぎがだいぶ落ち着いた2024年のドイツでは、日本同様、在宅勤務の日数をコロナ禍よりも減らして出社の日数を増やした企業が多くあります
しかし、ドイツでは在宅勤務が日本よりも定着しており、現在も在宅勤務を実施している企業や社員が多くいます

筆者は、仕事の都合上、従業員の働き方に関して、ドイツに所在する多くの企業の制度やルールを見てきました。
ドイツのローカル企業の場合、50%程度在宅勤務が認められていることが多く、100%在宅勤務可能なケースもある程度あります

ドイツ博士

もちろん、中には在宅勤務が基本まったく不可な企業やポジションもあるけど、割合的にはそこまで多くないよ!

その一方で、在独日系企業では、在宅勤務を基本不可としているケースが大多数です!
在宅勤務が可能な場合でも20~40%程度認められているケースが大半で、ドイツのローカル企業で働く場合よりも頻繁に出社する必要があります。

日本で働いている友人等の話を聞く限り、20~40%の頻度の在宅勤務は、日本では求職者が転職先を検討する際にプラス要素になり得ます。
そのため、中には、20~40%の頻度の在宅勤務を魅力的な福利厚生の一つとして掲げている在独日系企業もあります。

しかし、残念ながら、それはドイツ人にとってはプラス要素ではなく、むしろマイナス要素になり兼ねないのです。
つまり、20~40%の頻度の在宅勤務を許可されたとしても、ドイツ人は少ないと不満に感じる可能性が高いです

筆者の経験上、在宅勤務可能な日数の少なさが、在独日系企業がドイツで採用活動を行う際の難易度を引き上げていることは明らかです。

ドイツ博士

もちろん、出社して皆同じオフィスで働くメリットはたくさんあるよ!

ドイツ博士

でも、在宅勤務を福利厚生の一つとして大きく掲げ、特にドイツ人を採用したいのであれば、日系企業であっても、ドイツのローカル企業のように最低50%程度の頻度の在宅勤務は欲しいところだね!

筆者が勤めている企業では、完全在宅勤務(=100%在宅勤務)が認められています。

筆者はデュッセルドルフに住んでいて、オフィスのあるベルリンまで直線距離で500km程度あります。
デュッセルドルフには弊社のオフィスがありません。
それでも、ベルリンへの引っ越しは不要でした!

それは、100%在宅勤務が認められているからです。

同僚の中には、ベルリンに住んでいてオフィスへ通勤できる距離の人も多くいますが、そういった社員であっても毎日在宅勤務をすることが許されています。
つまり、仕事で特段の用事がない限り、もしくはオフィスで働くことを自ら希望しない限り、ベルリンのオフィスに行く必要はありません。
実際に、オフィスに月1回以上行っている社員はごくわずかです。
また、筆者の雇用契約書にも、勤務地はデュッセルドルフであると記載されているため、雇用契約書上でも、在宅勤務が前提であることが確認できます

疑問ちゃん

同僚にほとんど会えないことで不都合はないの?

ドイツ博士

社内用のチャットツールや通話ツールがあるから、何か問題や悩みがあっても、基本的にすぐに解決できるよ!

旅行先でリモートワーク!?

また、筆者の勤める企業では、単なる在宅勤務だけでなくリモートワークも認められています。

つまり、情報漏洩の観点等で問題がなく、1年といった非常に長い期間でなければ、自宅でもオフィスでもないところで働くことも許可されています
例えば、筆者の場合、自宅のあるデュッセルドルフでも、オフィスのあるベルリンでもなく、ミュンヘンの友人宅やホテルから働くことが許されています。
ドイツ国内であれば、上司や会社からの事前承認も一切不要です。

そして、弊社では、ドイツ国外からのリモートワークも可能です!

例えば、日本人である筆者が母国の日本に一時帰国して、日本から1ヶ月間リモートワークをすることも可能です。
その場合、上司および経営陣からの事前承認が必要であり、時差等にも気を付ける必要があります。

弊社ではフレックスタイム制が導入されていて、かつコアタイムもないため、原則的には勤務時間帯に制限がありません。
ただし、ドイツの深夜にあたる時間では会議もできませんし、同僚とのやり取りもまったくスムーズにいきません。
そのため、ドイツ国外からリモートワークをする場合でも、ドイツにいる他の社員の勤務時間帯にある程度かぶるように配慮する必要があります。

しかし、このリモートワークの制度を利用して、日本への一時帰国の期間を有給休暇期間と合わせてより長くしたり、旅行先で平日の昼間に仕事をするワーケーションをしたりすることも可能です!

ドイツ博士

ワーケーションをしたくない場合は有給を取得すれば良いから、ワーケーションはあくまで選択肢の1つにすぎないよ!

疑問ちゃん

実際に自宅やオフィス以外の場所で働きたいかにかかわらず、そのような機会や選択肢が用意されているのは、社員としてはとっても魅力的だね!

実際弊社では、ワーケーションをしている社員もいますし、ホームシック解消のために一時的に母国から仕事をしている社員もいます。
その一方で、仕事とプライベートをできる限り切り離すために、オフィスと自宅以外の場所では、仕事をしないという社員もいます。

人材争奪戦において重要な在宅勤務とリモートワーク

弊社の社員に限らず、在宅勤務やリモートワークが重要な福利厚生の一つであると考える人が、ドイツでは若者を中心に非常に多いのが現状です。
そのため、転職時に在宅勤務やリモートワークが可能であることを条件として仕事を探す人が多くいます。

実際に、在宅勤務やリモートワークができない会社は検討対象外という人や、例えば最低40%は在宅勤務ができることを転職条件にしている人が数多くいます。
それ故に、企業との面接では、在宅勤務やリモートワークに関する質問が求職者側もしくは企業側からされることが多くあります。

また、100%在宅勤務やある程度のリモートワークが可能なのであれば、給料は10%ぐらい低くても構わないという求職者もいます。
転職理由が、現職では在宅勤務やリモートワークが認められていないためという方もいます。

やはり、在宅勤務やリモートワークは、ワークライフバランスを向上させるのに大きく貢献しており、ドイツで暮らす多くの人にとって重要な福利厚生の一つなのでしょう。

ドイツ博士

人手不足が深刻な問題になりつつある現在では、求職者や転職希望者側にいかに自社の求人に興味を持ってもらえるかが重要だよ!

ドイツ博士

そのためには、求職者が重要視する在宅勤務やリモートワークといった新たな働き方も、企業側がある程度寛容に受け入れる必要があるだろうね!

筆者にとっても、特に在宅勤務の存在は重要です。

2022年にデュッセルドルフに引っ越して就職してから100%在宅勤務のため、オフィスには年に数回しか行っていません
そのため、その働き方に慣れてしまっており、在宅勤務の便利さを知ってしまっています。

例えば、通勤時間がなく仕事に拘束される時間が短いこと、平日の昼間に荷物を受け取れること、そして昼食に健康的なものをより安く食べられることなどが、メリットとして挙げられます。
また、筆者の場合、仕事で会話をすることが非常に多いので、オフィスよりも自宅の方が周りの雑音や視線を気にせず働けるというメリットもあります。

このような働き方に慣れてしまい、在宅勤務が自分の中でもはや当たり前のようになってしまっているため、在宅勤務可能な頻度が60%未満の企業への転職は、正直なかなか気が進まないことが多いです…。

まとめ

  • 日本もドイツも、新型コロナ蔓延を機に在宅勤務が普及した
  • ドイツでは、新型コロナ騒動沈静後も在宅勤務が日本より定着している
  • 在独日系企業では、ドイツのローカル企業より在宅勤務可能な頻度が少ない傾向にある
  • リモートワーク可能な会社では、オフィスや自宅以外の国内の場所だけでなく、ドイツ国外から働くことが認められているケースもある
  • 在宅勤務の頻度の高さやリモートワークの有無は、ドイツの求職者および従業員にとって重要な福利厚生の一つである

皆さんは、在宅勤務とオフィス勤務、どちらの方が好きですか?
またどちらの方が自分に合っていますか?

どちらにもメリット・デメリットがあるので人それぞれだとは思いますが、在宅勤務やリモートワークが選択肢の一つとしてあると、いざという時も安心ですよね!

ゆとり
ドイツ生活5年目のゆとりです。デュッセルドルフで2年半働き、現在は再度ミュンヘンで働いています。過去にミュンヘンで交換留学およびワーホリも体験しました。
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