日本でキャベツと聞いてイメージするものは、楕円形のもの1種類ではないでしょうか。
もちろん、キャベツにも苺などのように品種がいくつかありますが、日本のスーパーマーケットでは、常に「キャベツ」という商品名で販売されているはずです。
キャベツで品種名が商品名になっていることは、日本のスーパーマーケットではまずないかと思います。
(まあ、雪下キャベツは、場合によってはそのような商品名で販売されていることもあるかもしれませんが、品種名ではありません。)
お好み焼きをするのに特別なキャベツを買ったり、キャベツの千切りサラダを作るために、葉が柔らかくて甘みのあるキャベツを探し回ったりすることも、日本ではないかと思います。
その一方で、ドイツでは、品種名=商品名になっていて、複数の種類のキャベツが販売されています。
単に「Kohl(=キャベツ)」とだけ書かれてスーパーマーケットに並べられていることはありません。
今回は、そんなドイツで販売されているキャベツについてご紹介したいと思います。
・今後ドイツに長期滞在予定の方
・ドイツで暮らしていて自炊をしている方
・ドイツの野菜に興味のある方
・キャベツが大好物な方
Weißkohl
生食に向かない硬すぎるキャベツ
ドイツで最も一般的なキャベツは、Weißkohl(=白キャベツ)というキャベツの種類です。
ドイツ語での発音は、ヴァイスコールです。
Weißkohlは、どこのスーパーマーケットでも販売されています。
その名の通り、日本で販売されているキャベツよりもだいぶ白く、楕円形というより綺麗な球体に近い形です。
葉が非常にぎっしりと詰まっていて、サイズも日本で販売されているキャベツと同じぐらいかさらに大きく、かなり重量感があります。
色や形、大きさだけが違うのであればまだ良いのですが、食感や味も日本のキャベツとは違います。
何よりも、日本のキャベツに比べてだいぶ硬いのが特徴です。
千切りにしてサラダとして生で食べようとすると、イライラするぐらい硬くて疲れますし、辛みもそこそこ強いです。
筆者は、唐揚げの付け合わせにと、このキャベツを千切りにして食べたことがあります。
しかし、葉が厚くてかなり硬く、自己主張が激しいため、サラダとしては美味しくなかったです。
独特の辛みのせいで口の中が痛くなり、食べきることはできませんでした。
ドレッシングをかけても、ドレッシングの味をかき消すように辛みが襲ってきました。
また、このWeißkohlは、短時間炒めただけでは柔らかくなりません。
この前、このWeißkohlを使ってお好み焼きを作ってみたんだけど…
えっ、上手くできた??
大失敗したわ。
だって、全然柔らかくならないんだもん!
20分焼いて焦げ始めてもまだ硬かったわ!!
やっぱり…
なかなかしんなりしないからまとまりづらくて、ひっくり返すのも難しかった…
Weißkohlでロールキャベツを作ると…
筆者は、このWeißkohlを使って、ロールキャベツを作ったこともあります。
ただ、本当に硬いので肉ダネを包むのも非常に大変で、葉が何度も破けてしまいました。
そして、その後スープと一緒に煮込んだのですが、お好み焼きの時と同様なかなか柔らかくならず、1時間煮込んでもまだ若干硬かった記憶があります。
日本のロールキャベツのようにくたっとせず、いつまでも経っても元気なままでした(笑)
最終的には、なんとか食べられるものが出来上がりました。
…が、キャベツにスープの味があまり染み込まず、またキャベツの主張が強すぎて、「キャベツと肉の絶妙なハーモニー」というようにはなりませんでした。
2時間ぐらい煮込めば、また違ったのかもしれませんが…
ロールキャベツを作る時には、そこそこ大きい破れのない綺麗な葉が必要です。
葉の真ん中などに破れがあると、肉ダネを包んで煮込んだ時に、肉ダネが出てきたり、肉汁がどんどん流れ出してきたりしてしまいます。
しかし、このWeißkohlは、生の状態で葉を一枚一枚綺麗にはがすのがものすごく大変です。
葉がこれでもかというぐらいぎちぎちに詰まっていて、葉と葉の間に隙間がほぼないので、日本のキャベツのように簡単にはがすことができません。
途中で何か所も破けたりして、挫折しそうになりながら、2分ぐらい掛けてやっと一枚の葉をはがすことができる感じでした。
このように、ドイツのスーパーマーケットで必ず見かけるWeißkohlという種類のキャベツは、特にその硬さが原因で、日本のキャベツ料理には向きません。
実際、ドイツでこのキャベツは、Sauerkrautという酢漬けに使われることが多いです。
また、生で食べたり炒めて食べたりはせず、長時間煮込む料理に使うことが多いそうです。
- Weißkohlは、硬くて辛みが強い
- Weißkohlは、生食には向かない
- Weißkohlは、かなり長時間調理しないと柔らかくならない
- Weißkohlは、生の状態で葉を一枚一枚綺麗にはがすのがとても大変
- Weißkohlは、日本のキャベツ料理には不向き
Jaromakohl / Urkohl
日本で一般的なものに最も近いキャベツ
では、ドイツには、日本のような葉の柔らかいキャベツはないのでしょうか。
先程のWeißkohlより値段が高くなり、見つけるのがかなり難しいですが…あります!
日本のキャベツに最も近いのが、Jaromakohlという種類のキャベツです。
ドイツ語での発音は、ヤローマコールです。
(「Jaroma」がどういう意味かは知りません…(笑))
Urkohlという名前で売られていることもあります。
大きめのREWEでたまに見かけますが、扱っているスーパーマーケットは少なく、冬などはさらに見かけなくなるのでだいぶ貴重です。
値段も、Weißkohlの1.5倍ぐらいすることが多く、一玉あたり450円から700円ぐらいしてしまいます。
サイズが日本のキャベツ(一玉1.2kgぐらい)よりも若干大きく、一玉2kg近いものもあるため、値段の単純比較はできません。
しかし、日本で一玉100円から250円ぐらいで売られているのを考えると、ドイツのこのJaromakohlはかなり高いです。
正直、日本のキャベツ程気軽には買えません…(笑)
しかし、薄い緑色で楕円形なので、見た目も日本のキャベツそっくりです。
和食にもぴったりなJaromakohl / Urkohl
食感や味も日本のキャベツにそっくりで、千切りなどにして生のまま食べることもできます。
また、このJaromakohlを使って、お好み焼きもロールキャベツも作ってみましたが、日本のキャベツで作った場合と同じ調理時間でとても美味しくできました。
生の状態で葉を一枚一枚綺麗にはがすこともできましたし、調理すると比較的すぐにしんなりしました。
Weißkohlと違って、キャベツの主張が強すぎることもなく、他の具材と上手く馴染んでいました。
- ドイツで買える日本のキャベツに最も近いものは、Jaromakohl(もしくはUrkohl)
- Jaromakohlは、生でも美味しく食べられる
- Jaromakohlは、生の状態で葉を一枚一枚綺麗にはがすことができる
- Jaromakohlは、短時間の調理で柔らかくなる
Spitzkohl
先程もお伝えした通り、Jaromakohlを見つけるのは結構難しく、値段も高いです。
そこで、Jaromakohlの代わりとなるのが、Spitzkohlです!
ドイツ語での発音は、シュピッツコールです。
Weißkohlほどではないですが、半分以上の大手スーパーマーケットで販売されていて、Jaromakohlよりも見つけるのが容易です。
値段は、Weißkohlよりも高く、Jaromakohlよりも安いことが多いです。
(それでも、日本のキャベツよりは高いですが…)
その名前(Spitzkohl=先のとがったキャベツ)の通り、先端がとがった形をしていて、苺をひっくり返したような形です。
色は、時期などによって、緑色の濃いものと薄いものがありますが、日本のキャベツとだいたい同じような色をしています。
大きさは、日本のキャベツよりも若干小さく、一玉あたり1kg前後のものが多いような気がします。
先がとがっているので、日本のキャベツとは葉の形が若干異なっていますが、調理をする際に支障はありません。
味や食感は、日本のキャベツそしてJaromakohlに似ていますが、このSpitzkohlの方が若干硬く、若干辛みがある気がします。
ただ、生でサラダとして食べることもできますし、お好み焼きやロールキャベツにも使用することができます。
調理時間も、日本のキャベツで作る場合とほぼ同じぐらいで大丈夫かと思います。
筆者も、その入手のしやすさと日本のキャベツに似ていることから、ドイツでキャベツを買う時は、だいたいこのSpitzkohlを買っています。
- Spitzkohlは、見つけるのが困難なJaromakohlの代用としておすすめ
- Spitzkohlも日本のキャベツに近い品種で、生でも食べられる
- Spitzkohlは、生の状態で葉を一枚一枚綺麗にはがすことができる
- Spitzkohlは、短時間の調理で柔らかくなる
その他のキャベツ
Rotkohl、Grünkohl、Rosenkohl、Wirsingなどのキャベツも、ドイツのスーパーマーケットで見かけることがあります。
Rotkohl(紫キャベツ)
Rotkohlは、日本でも紫キャベツとして食されています。
ドイツ語での発音は、ロートコールです。
普通のキャベツよりも若干苦みがあり、Weißkohlのように葉が肉厚で固く巻き込んでいるのが特徴です。
ただし、Weißkohlほどの辛みはありません。
なので、日本でも紫キャベツが生で食べられているように、ドイツでも生で食べられることがあります。
ただし、ドイツでは、調理してSauerkraut(キャベツの酢漬け)にして食べることの方が多いと思います。
Grünkohl(ケール)
Grünkohlは、日本ではケールと呼ばれているものです。
ドイツ語での発音は、グリューンコールです。
ブロッコリーと同じぐらい緑色が濃く、葉が縮れています。
日本では、そこまで普及していないため、食べたことのない方、生の状態を見たことのない方も多いのではないかと思います。
独特の苦みが特徴ですが、栄養価が非常に高いので、青汁や野菜ジュースなどによく入っています。
ドイツの大手スーパーマーケットでは、秋から冬のGrünkohlの季節になると、Grünkohlの葉を太めの千切りにしたもの約500gが袋に入って売られています。
ドイツでは、これをみじん切りにした玉ねぎやベーコンなどと一緒に煮込んで、ソーセージの付け合わせとして大量に食べることがあります。
筆者も、ドイツ料理を提供するレストランで、Grünkohlの煮込みを食べたことがあります。
正直、見た目はあまり美しくなく、The ドイツ料理という感じの豪快な料理ですが、思っていたほど苦みがなく美味しく食べることができました。
(ちょっとしょっぱかったですが(笑))
Rosenkohl(芽キャベツ)
また、Rosenkohlは、日本では芽キャベツと呼ばれています。
ドイツ語での発音は、ローゼンコールです。
こちらも、日本ではそれほど見かける機会のないキャベツの種類かと思いますが、甘みの中に苦みがあるのが特徴で、栄養も非常に豊富です。
ゴルフボールのような形をしていて小さいですが、普通のキャベツのように葉が何重にも巻かれていて、濃い緑色をしています。
蒸し焼きやオーブン焼きにして食べられることが多く、バターやチーズなどと相性が良いことから、洋風料理に向いています。
例えば、じゃがいもや他の野菜やベーコンなどと合わせてオーブンで焼き、仕上げにパルメザンチーズなどをトッピングするという料理があります。
また、バターや牛乳を使用してホワイトソースやクリームソースを作り、それも加えてオーブンで焼いてグラタンのようにして食べることもあります。
このRosenkohlですが、ドイツでは先程のGrünkohl(ケール)と同様、秋から冬にかけて大手スーパーマーケットでも見かけることがあります。
ただし、ドイツ南部よりも北部で食べられることが多いようです。
ミュンヘンに住んでいた時は、スーパーマーケットで見かけたことがありませんでしたが、デュッセルドルフのスーパーマーケットではたまに販売されているのを見かけます。
Wirsing(ちりめんキャベツ)
最後にWirsingです。
ドイツ語での発音は、ヴィアジングです。
これは、日本ではちりめんキャベツと呼ばれていて、フランス東部の山岳地帯にあるサヴォア地方原産であることから、サボイキャベツとも呼ばれています。
値段は、Weißkohlとあまり変わらないか少し高いぐらいなので、キャベツの中ではお手頃な値段です。
旬は秋なので、秋から冬にかけてスーパーマーケットでもよく見かけます。
葉が肉厚で縮れているのが一番の特徴です。
また、普通のキャベツと同じぐらいの大きさで、色は濃い緑色をしています。
生で食べられそうな見た目をしていますが、葉は硬くて苦みがあるので、生でサラダとして食べるのには向いていません。
煮崩れしづらく、煮込むと甘みが出ることから、スープや煮込み料理に向いています。
例えば、ロールキャベツに使用したり、ベーコンなどと一緒にポトフに入れたりして食べることができます。
まとめ
- ドイツでは、様々なキャベツが販売されており、品種名=商品名で販売されている
- 日本で定番のキャベツ料理を作るのであれば、Weißkohlではなく、絶対にJaromakohl(Urkohl)もしくはSpitzkohlを買うべき!
- Weißkohlは、生食には向かず、長時間煮込まないと柔らかくならない
- ドイツのスーパーマーケットでは、Rotkohl、Grünkohl、Rosenkohl、Wirsingなど、ちょっと変わったキャベツも販売されている
今回ご紹介したように、ドイツには、様々なキャベツがあります。
もし、日本で作るようなキャベツ料理をドイツでも作りたいのであれば、Weißkohlは避け、JaromakohlやSpitzkohlを購入することをおすすめします。
また、様々なキャベツがあるドイツに住んでいるのであれば、ぜひ普段食べない種類のキャベツを使った料理も試してみてください!
新たなお気に入りのキャベツが見つかるかもしれません!
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