日本に住んでいると、他の国の広告がどのようなものか考えることもなかなかないのではないでしょうか。
実際、筆者自身も、ドイツに住むまでドイツの広告がどのようなものか考えたこともありませんでした。
しかし、実際には、ポストに投函される広告にも、日本とドイツで異なる点がいくつかあります。
そこで、今回は、日本とドイツの両国で大手スーパーマーケットの広告を比較した場合の違いについてご紹介したいと思います。
- ドイツのスーパーマーケットの広告に興味のある方
- ドイツの日常生活に興味のある方
- 近々ドイツで生活する予定のある方
自由で盛りだくさんなドイツのスーパーマーケットの広告
日本:見開きの広告 VS ドイツ:冊子の広告
日本のスーパーマーケットの折り込み広告は、見開きの表裏1枚であることが多いのではないでしょうか。
筆者も日本で住んでいた時に、様々なスーパーマーケットの広告を見ました。
規模の大きなスーパーマーケットだとB3サイズ(364mm x 515mm)の広告1枚、規模の小さなスーパーマーケットだとB4サイズ(257mm x 364mm)の広告1枚であることが多かったです。
言い換えれば、複数枚で構成されているスーパーマーケットの折り込み広告は、恐らく日本では見たことがありません。
これに対して、ドイツでは冊子のようになった広告がスーパーマーケットでは一般的です。
筆者の自宅にあった4件のスーパーマーケットの広告を確認してみましたが、どれも冊子のように複数ページで構成されていました。
また、広告のサイズはスーパーマーケットごとにバラバラで、長さ250mm~300mm、幅170mm~200mmと、長さ・幅ともに統一されていませんでした。
さらに、ページ数もスーパーマーケットごとに異なっており、少ないもので18ページ、多いもので48ページもありました。
情報量が多いドイツの広告
ここで一つ言えることは、ドイツのスーパーマーケットの折り込み広告の方が掲載できる総面積が圧倒的に大きいということです。
それゆえに、ドイツのスーパーマーケットの広告には、すべての広告の品に対象商品の写真が大きく添えられています。
日本のスーパーマーケットの広告にも非常に多くの商品の写真が使われていますが、「プリン全品2割引」、「チーズ全品3割引」など、関連する商品の写真や絵が一切掲載されていない文字だけの広告の品も一部あります。
筆者の経験上、ドイツの広告でそのようなことはほぼなく、文字通りすべての広告の品に、対象商品の写真が添えられています。
また、ドイツのスーパーマーケットの広告は総面積が大きいので、各広告の品に使える紙面のスペースも日本の広告より大きくなります。
そのため、特売価格が日本の広告より大きく書かれている場合が多いです。
また、特売価格だけでなく、値下げ前の通常価格や割引率が併記されていることも多くあります。
土曜日に向けて広告の品が増えていくドイツのスーパーマーケット
ドイツのスーパーマーケットの広告を複数見てみると、ある共通点があることに気が付きます。
それは、土曜日に近づくにつれて広告の品が増えていくということです。
よくあるパターンは、以下の通りです。
一週間を通して広告の品である商品とともに、月曜日から水曜日(もしくは木曜日)まで営業します。
その後、木曜日(もしくは金曜日)から土曜日まで対象の広告の品が追加されます。
そして、土曜日にさらにいくつかの広告の品が追加され、一週間が終わります。
(ドイツでは基本的に、日曜日にスーパーマーケットは営業していません。)
日本でも、一週間ずっと広告の品である商品に加えて、特定の曜日のみお買い得である日替わりの広告の品もあります。
しかし、週末に向けて広告の品がどんどん増えていくドイツのような仕組みを採用しているスーパーマーケットは、日本では見たことがありません。
ちなみに、ドイツでは日曜日だけでなく祝日もスーパーマーケットは営業していません。
そのため、例えば金曜日に祝日がある場合には、広告の品が追加されるタイミングが木曜日や金曜日ではなく、水曜日や木曜日になったりします。
まとめ買いのレベルが違うドイツのスーパーマーケット
日本でもドイツでも、まとめ買いをした場合1点あたりの価格が安くなるというキャンペーンが時々あります。
例えば、肉を3パック購入すると3パックすべて2割引、総菜パンを3つ購入すると3つすべて3割引など、日本でも様々なパターンがあります。
ドイツでも、まとめ買いによる値引きには様々なパターンがあるのですが、そのスケールが日本とは違います。
ドイツでは、例えば、牛乳1Lパック12本購入すると1本あたり1割引であったり、じゃがいもを10kgの巨大な袋で購入すると2kgを5袋購入する場合よりも2割安くなったりします。
トマトピューレ500mlを12箱のまとめ買いや、みかんの缶詰12缶のまとめ買いを対象とした割引も、筆者の近所のスーパーマーケットで実施していたことがあります。
缶ビール1ケースの購入を対象とした割引など、非常に多くの量を購入することにより割引を受けられるキャンペーンは、日本でも確かにあります。
ビール1ケースもかなりの量ではありますが、大勢で宅飲みをしたり親戚などが集まったりする機会があれば、消費しきれてしまうこともあるでしょう。
しかし、じゃがいも10kgや牛乳12本などのように賞味期限が短いものや、大量消費する機会がなかなかないものを広告の品としてまとめ買いさせて割引するという方法は、日本ではなかなかないのではないでしょうか。
(ちなみに、ドイツの牛乳は常温保存可のものが多く賞味期限が3ヶ月程もありますが、それでも3ヶ月で12本は子供のいる家庭でないと厳しそうです…。)
それにしても、じゃがいも10kgのまとめ買いは、さすがドイツという感じですよね(笑)
顧客側が自由に決める広告の品
最後に、ドイツの大手スーパーマーケットNettoで何度か配布された面白く斬新な広告をご紹介します。
いつも通り冊子のようなNettoの広告がポストに投函されていたわけですが、その広告には以下のようなものが挟まれていました。
これは、なんと、顧客自ら割引対象商品を決めることができるというものです!!
顧客が5%、10%または15%引きにしたいと思う商品に顧客自らこの割引シールを直接貼り付け、レジでの会計時に値引きしてもらうという仕組みです。
通常の販売価格が高い商品であるか安い商品であるかは関係なく割引を受けることができます。
そのため、値段の高い商品に割引率の大きい割引シールを貼り付け、値段の安い商品に割引率の低い5%引きのシールを貼り付けることで、より多くの値引きをしてもらえます。
例えば、0.2ユーロのパンに15%の割引シールを貼り付けても0.03ユーロしか値引きしてもらえませんが、15ユーロのワインに15%の割引シールを貼り付けることで2.25ユーロの値引きをしてもらえます。
また、この割引シールは広告の品も対象となるので、広告の品にこの値引きシールを貼り付けることで、さらにお買い得に購入することもできます。
人によっては、割引シールを店内で自分で貼り付けるのが手間だと感じたり、恥ずかしいと感じたりすることもあるかもしれません。
しかし、その店で買い物をすれば必ず割引を受けることができるうえ、戦略的に買い物しつつ自分でシールを貼り付ける楽しさもあるでしょう。
まとめ
- ドイツのスーパーマーケットの広告は、多くのページから成る冊子タイプ
- ドイツのスーパーマーケットの広告の方が掲載できる面積が圧倒的に大きいので、添えられている対象商品の写真も大きく、情報量も多い
- ドイツのスーパーマーケットでは、土曜日に向けて広告の品が増えていく
- ドイツのスーパーマーケットでのまとめ買いによる割引は、まとめ買いのスケールや対象商品が日本と異なる
- ドイツの大手スーパーマーケットNettoでは、顧客自ら割引対象商品を決めるキャンペーンを度々実施している
日本とドイツの広告を比較することで、それぞれの国にはそれぞれのマーケティング手法があるのだと気づかされます。
今回は、日本とドイツのスーパーマーケットの刻々を比較してみましたが、他のお店の広告や他の国の広告で比較しても色々と発見がありそうです!
コメント