ドイツで暮らすとなると、様々な場面でドイツ語が必要になります。
確かに、ドイツには英語が堪能な人も多くいます。
しかし、高齢者や大卒でない人を中心に、英語がほとんど話せない人もいます。
また、英語ではなくドイツ語でコミュニケーションを取ることにより、相手がより親切に対応してくれたり、自分により有利な条件を引き出せることも多々あります。
そこで、今回は、ドイツでとある行動をするのにどれぐらいのドイツ語力が必要なのかについて、筆者の体験をもとに解説します。
もちろん、どのくらいのレベルが必要かは行動によって異なります。
そこで、この記事ではいくつかの例を挙げ、その行動をこなすために必要なドイツ語力を、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)に当てはめて解説したいと思います。
- ドイツへの引っ越しが決まっている、もしくは引っ越し予定の方(転勤、留学、ワーホリなど)
- 将来、ドイツに住んでみたい方
- ドイツ語を勉強中、もしくは勉強予定の方
ドイツで買い物をするためのドイツ語レベル(A1~A2)
必要なドイツ語レベル:A1~A2
日常的な買い物で必要とされるドイツ語のレベルは、基本的なコミュニケーションのみとれるレベルであるA1~A2で十分です。
この場合の日常的な買い物とは、例えばスーパーマーケットで食品や日用品を購入したり、パン屋で注文したりする程度の買い物です。
スーパーマーケットでの会話やパン屋での注文は基本的に短く、決まったフレーズで聞かれることや対応できることが非常に多いです。
そのため、A1~A2レベルのドイツ語力でもほぼ問題なく対応できます。
また、ジェスチャーや視覚的な手がかりも利用できるため、買い物の場面では低いドイツ語レベルでも安心です。
ただし、買う頻度の高い食材の単語や、自分が苦手だったりアレルギーを持っていたりする食材の単語は、ドイツに住むのであれば、ドイツ語でもしっかり覚えておくことをおすすめします!
現代なら、翻訳アプリを使って、わからない食材等の単語をその場で翻訳・確認することもできるね!
ちなみに、A1レベルのドイツ語話者は、単純なフレーズや質問を使って、ごく簡単な日常のやりとりをすることが可能とされています。
具体的には、A1レベルで次のような会話が可能です。
- 「これをください」(Das bitte.)
- 「いくらですか?」(Wie viel kostet das?)
- 「袋が欲しいです」(Ich möchte eine Tüte.)
役所の手続きをドイツ語で行うためのドイツ語レベル(B2~C1)
必要なドイツ語レベル:B2~C1
ドイツの役所での手続きでは、複雑な説明を受けたり、自分の状況を正確に伝える必要があります。
また、専門的な文書を理解する必要があります。
そのため、B2~C1レベルのドイツ語力が求められます。
B2レベルでは、日常的な話題を超えて、より複雑な内容を理解し、ある程度自信を持って対話できる能力が求められます。
例えば、住民登録やビザの更新手続きでは、以下のような場面が考えられます:
- 登録に必要な書類の確認や、提出書類の不備を指摘された際にそれを理解し、適切に対応する。
- 質問があった場合に迅速かつ正確に回答する(「何月何日から住んでいますか?」「前回ドイツに住んだのはいつですか」など)。
これらの手続きをスムーズに行うためには、特定の専門用語や規則に関するドイツ語力が必要になるため、B2レベル以上が妥当です。
ちなみに、現在C1~C2のドイツ語レベルである筆者は、B1レベルおよびB2レベルの時は役所で担当者と話す度に緊張していました。
それは、自分が知らない難しい単語が出てくることを恐れていたり、質問を一度で理解して迅速かつ適切に回答できる自信があまりなかったからです。
C1レベルのテストに合格してからは、役所での手続きも緊張することなく対応できるようになりました。
B2レベルの時と比較すると、担当者の質問を一度で理解できることが断然多くなり、理解できなかった場合でも、焦らず聞き返すなどして、迅速かつ自然に対応することができるようになりました。
緊張していないから、担当者とちょっとした世間話を楽しむ余裕もあるよ!
ドイツ語で医者にかかるためのドイツ語レベル(B2~C2)
必要なドイツ語レベル:B2〜C2
医者にかかる際は、単に予約をするだけでなく、症状を正確に伝えたり、医師の質問に的確に答える必要があるため、B2レベル以上が推奨されます。
病院や診療所では、自分の身体に関わる非常に重要な質問をされることがあります。
極端な例ですが、「手術しましょうか?」とドイツ語で聞かれて、理解も心の準備もできていないのにとりあえず「Ja.(はい)」と答えてしまうと、思いもよらぬ事態へと進んでしまう可能性があります!
これは、なんとしても避けたい状況です。
B1レベルでは、日常的な話題については十分にコミュニケーションが取れるものの、医療関連の具体的な説明を理解し、適切に反応するに不十分な場合が大半です。
ちなみに、B1レベルでは次のような程度のやり取りのみ可能です:
- 症状を簡単に説明する:「頭痛がします」(Ich habe Kopfschmerzen.)
- 質問に応じる:「どのくらい痛みますか?」(Wie stark sind die Schmerzen?)
しかし、実際には、より複雑な質問をいくつかされるケースが多いでしょう。
実際に、筆者が初めてドイツの医者にかかった時の筆者のドイツ語レベルがB1でしたが、50%も理解できていなかった記憶があります。
また、その医者は、なぜか大半の結果を翌日電話で伝えてくる医者でした。
電話では、音声がより不鮮明であり相手の表情が読み取れないため、対面で会話する時以上に理解ができないことが一般的です。
それ故に、重要な場面であるのにも関わらず、医者や看護師の言っていることが理解できないのが怖く、非常に苦痛でした。
そのため、診察時の医師の指示や処方箋の内容を理解し、適切な行動を取るためには、より高度な語彙や理解力が求められるため、B2~C1レベルを目指すのが安全です。
現在、C1~C2のドイツ語レベルだけど、最近ようやく緊張せずに医者に行くことができるようになったと感じているよ!
在独企業に就職するためのドイツ語レベル(A2~C2)
a) 在独日系企業での仕事
必要なドイツ語レベル:A2〜B1
日系企業では、日本語が主に使われることが多いため、基本的なドイツ語の読み書きや、社内のドイツ人スタッフとの簡単な会話に対応できる程度のA2〜B1レベルがあれば十分なことが多いです。
例えば、社内の書類をドイツ語で確認する、日常会話で基本的な意思疎通をする程度です。
なんなら、ドイツ語力がゼロでも応募できる求人(例えば、アシスタント職やバックオフィスなど)も見かけます。
ただし、ドイツ語不要のポジションは、応募者が殺到し競争率が高い傾向にあるよ!
しかし、営業、マーケティング、経理、人事などのお仕事は、日系企業であってもC1レベル以上のドイツ語力が求められることが多いです。
それは、顧客や消費者とのコミュニケーションを求められたり、ドイツの法律を扱ったり、ローカル社員のセンシティブな感情を扱うことがあるからです。
b) ドイツのローカル企業 + IT職
必要なドイツ語レベル:B1
IT業界では、英語が共通言語として使われることが多いため、ドイツ語ができなくても業務が進められる場合があります。
しかし、日常的な社内のコミュニケーションや会議ではドイツ語が使われることが多いため、最低でもB1レベルが推奨されます。
B1では、日常会話や職場での簡単な説明や指示に対応できますが、技術的な内容を詳しく話す場合には難しいことがあります。
こちらも、ドイツ語が不要またはB1レベルでも応募可能な求人は、より高いドイツ語力を求められる求人に比べて、競争率が何倍も高くなる傾向にあるよ!
c) ドイツのローカル企業 + IT職以外
必要なドイツ語レベル:C1〜C2
IT以外の職種でかつローカル企業で働く場合、特に営業やコンサル、マーケティングなどの職では、ドイツ語が主なコミュニケーション手段となります。
そのため、流暢なコミュニケーションが可能なC1~C2レベルが一般的に必要です。
B2レベルでは、複雑な会話や技術的なディスカッションになんとかついていくことができる程度でしょう。
そのため、専門的な質問内容を迅速かつ正確に理解し、過不足なく回答するには、不十分なことも多いかと思います。
顧客とのコミュニケーションも任せてもらえないケースが多いと思います。
C1~C2レベルでは、ネイティブに近いレベルで話し理解することができるため、職場でのほぼすべての場面において適切に対処することができます。
まとめ
- ドイツで買い物をするためのドイツ語レベル:A1~A2
- 役所の手続きをドイツ語で行うためのドイツ語レベル:B2~C1
- ドイツ語で医者にかかるためのドイツ語レベル:B2~C2
- 在独企業に就職するためのドイツ語レベル:A2~C2
- 営業、マーケティング、経理、人事等の職は、日系企業であってもC1レベル以上のドイツ語力が求められることが多い
もちろん、手続き一つをとっても、住民登録のようにほぼ機械作業のものもあれば、交渉が必要になるものもあります。
また、一般的にドイツ語力をそこまで求められない買い物という行動であっても、キッチンをオーダーメイドで購入する場合などは、C1レベルでも苦戦することがあるでしょう。
今回お伝えしたドイツ語レベルは、一つの目安としてご理解いただければ幸いです。
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