日本国籍の人がドイツに滞在するために、日本の有効なパスポートが必要であることは、皆さんご存知かと思います。
それは、観光であっても、留学であっても、就労目的であっても同じです。
しかし、ドイツに数年以上にわたって長期滞在する場合、ドイツ滞在中にパスポートの有効期限が来てしまうということもあるかと思います。
もちろん、パスポートの有効期限が来る前にドイツを離れて日本に帰国するというのであれば問題ありません。
とは言っても、パスポート更新のためだけに高い航空券を購入して日本に帰国するのは、容易ではありません。
また、例えばドイツで仕事をしていたり、ドイツに配偶者がいたりするなど、パスポートの期限切れに合わせて日本に帰国するのが困難という方も多くいらっしゃると思います。
今回は、ドイツにいながら、古い日本のパスポートから新しい日本のパスポートに切り替える方法をご紹介します。
・ドイツに長期滞在中で、古いパスポートの有効期限が近付いている方
・今後ドイツに長期滞在予定の方
ドイツで有効な滞在許可証を保有してドイツに長期滞在中の場合、ドイツにある日本国大使館や日本国総領事館にて、日本のパスポートを新しいものに切り替えることができます。
つまり、日本に一時帰国する必要はありません!
筆者も、2024年春のパスポートの期限切れが迫っていました。
そのため、2024年1月にパスポートの切替発給申請を在デュッセルドルフ日本国総領事館で行いました。
その時の流れを、皆さんにも共有したいと思います。
(なお、デュッセルドルフの日本国総領事館以外の場所で申請・受領する場合は、手続きや流れに若干の違いがあるかもしれませんので、ご了承ください。)
ドイツでパスポートの切替発給申請を行う方法
パスポート切替発給申請の方法は2通り!
まず、申請方法です。
2024年1月時点で、パスポートの切替発給申請方法には以下の2通りがあります。
- 従来通り在独日本国大使館や在独日本国総領事館に出向き、対面で申請
- オンライン申請(ORRネット上でオンライン在留届を提出していることが前提)
オンライン申請の方が、自宅でできるため楽ではあります。
特に、近くに日本国大使館や総領事館がない場合は、オンライン申請の方が圧倒的楽なはずです。
また、費用については2024年3月10日時点で、対面での申請の場合が114ユーロ、オンライン申請の場合が114ユーロもしくは16,000円(クレジットカード払いの場合)です。
そのため、為替レートによっては、オンライン申請にしてクレジットカード払いにすることで、費用を抑えることができます。
しかし、オンライン申請の場合、スマートフォンを使用して自分で写真撮影を行う必要あり、その際に苦戦する可能性があります(後述)。
その点を考慮して、どちらの方法が良いか選択してみてください。
パスポート切替発給申請時に必要な書類
次に、切替発給申請時に必要な書類です。
(ドイツで生まれた日本国籍者が、初めて日本のパスポートを申請する場合など、新規発給申請の場合は、必要書類が異なりますので、別途ご確認ください。)
以下は、在独日本国大使館や在独日本国総領事館に出向いて直接申請する場合に必要な書類です。
(外務省. “領事情報”. 在ドイツ日本国大使館. 2024-03-02.(https://www.de.emb-japan.go.jp/itpr_ja/konsular_pass.html#02kirikae)をもとに作成)
- 一般旅券発給申請書(5年用、もしくは10年用)(大使館や総領事館にも用意されていますが、ウェブサイト上でダウンロードして事前に記入することも可能です。)
- 証明写真(縦4.5cm×横3.5cm。無背景、かつ正面を向いていて帽子をかぶっていないなどの条件がありますので、注意が必要です。)
- 現在お持ちの有効な日本のパスポート
- 有効なドイツの滞在許可証(Aufenthaltstitel)(原本を申請時または受領時に提示)
※氏名や本籍地に変更がある場合には、6か月以内に発行された戸籍謄本が追加で必要になります。
一方で、オンラインで申請をする場合には、以下のものを準備してください。
- ORRネット上で在留届を提出した際の利用者ID(メールアドレス)とパスワード
- 現在お持ちの有効な日本のパスポート
- 白紙とペン
- 顔写真の撮影に適した場所(模様等のない壁)
- 有効なドイツの滞在許可証(Aufenthaltstitel)
※大使館や総領事館で直接申請する場合と異なり、一般旅券発給申請書とパスポート用証明写真は不要です。
オンライン申請の方法
筆者自身、2024年1月の切替時にはオンライン申請を選択したので、ここからはオンライン申請の場合の流れや方法についてご紹介します。
オンライン申請時の流れ
まず、在留届を提出する際に使用するORRネットにアクセスします。
(ORRネット:リンク)
「旅券・証明のオンライン申請を行う」をクリックし、利用者IDとパスワードを使ってログインしてください。
ログイン後は、画面に表示される案内に沿って手続きを進めます。
大まかな流れは以下の通りです。
(外務省. “パスポート手続きメニュー”. 海外旅券電子申請システム. 2024-03-02.(https://www.epassport.ezairyu.mofa.go.jp/epassportapp/eap/eap102scr02m/EAP102Scr02MInit.form)をもとに作成)
申請自体はオンラインでできますが、パスポートを受け取る際には、在独日本国大使館や在独日本国総領事館に出向く必要があります。
「パスポート申請(海外在留邦人用)」という専用のアプリをダウンロードして、一旦そのアプリに移動して手続きを進めます。
現住所や日本国内の緊急連絡先などを入力します。
有効なドイツの滞在許可証等、必要な書類をアップロードします。
未成年などの場合は、法定代理人の署名および法定代理人署名写真が必要となります。
Step2で示したように、途中で「パスポート申請(海外在留邦人用)」という専用のアプリをインストールして、一旦そのアプリに移動して手続きを進める段階がありますので、ご留意ください。
具体的には、アプリ上で、①パスポートの読み取り確認、②顔写真の撮影・登録、③所持人自署(サイン)撮影・登録を行う必要があります。
アプリでの作業が完了したら、ORRネットに戻り、申請に関するデータ(現住所や日本国内の緊急連絡先など)を入力したり、必要書類を添付したりして、申請完了です。
顔写真およびサインの撮影のコツ!
この中で苦戦する可能性が高いのは、顔写真の撮影だと思います。
無背景かつ影が映っていないことが条件で、このような条件を満たす写真を撮るのが本当に難しいのです。
屋内の白い壁に沿って立って写真を撮ると影が映ってしまいがちですし、屋外で撮ると背景が映ってしまいます。
明るい場所で撮ろうとすればするほど、どうしても影が映ってしまいます。
少しぐらいの影なら大丈夫かと思い、少し影が映った顔写真で登録・申請しましたが、やはりダメでした。
筆者は結局、日中に、南側に窓のある照明のつけていない部屋で白い壁に沿って立ち、顔写真を撮りました。
冬の曇りの日に撮影し、影を抑えるために照明もつけなかったので少し心配ではありましたが、わずかに映っていた影も問題なく、その写真で最終的に申請が通りました。
もし、自宅でできるパスポート用顔写真の良い撮影方法があれば、ぜひ教えてください!!
ちなみに、顔写真については、あらかじめ端末に保存してある写真をアップロードして、それを登録・使用することも可能です。
また、サインの撮影ですが、机や床に置いて撮影すると影が映りこんでしまうことも多いかと思います。
壁などにサインした紙を立てかけて撮影すると、影が映らないように撮影できると思います。
筆者は、モニターの液晶部分に貼り付けるようにして撮影しました。
オンライン申請後から審査結果受領まで
オンライン申請終了後は、申請を受け付けたという内容のメールが届きます。
審査結果が出次第、再度メールが届きます。
また、ORRネットにアクセスして「旅券・証明のオンライン申請を行う」をクリックし、再度ログインを行うことでも、審査状況を確認することが可能です。
筆者の場合は、1月2日午後に一度目の申請し、1月8日午前に訂正依頼のメールが来ました。
1週間ほど掛かってしまいましたが、時期が年始だったことが原因なのか、普段から1週間程度かかるのかは謎です。
筆者の場合、①先程述べた顔写真の再撮影、②通信欄への本籍地の記載、③滞在許可証の両面アップロードを追加で求められました。
それらを1月8日午前に対応したところ、1月9日の午後には、旅券申請の審査が無事完了したとのメールが届きました。
つまり、申請から審査完了まで、訂正も含めて計7日間掛かりました。
※2025年3月24日から手続きの変更により、申請後の審査完了から交付まで4週間前後の時間を要するようになるようです!!
審査完了を知らせるメールに交付予定日(受け取り可能な最も早い日)が記載されているので、その日以降に、申請時に自身で選択した受け取り場所(大使館や総領事館など)に出向いて受け取ることができます。
筆者の場合、交付予定日は1月12日で、受け取り時に必要な書類は古いパスポートのみでした。
また、受け取りの予約は不要でした。
一応、6ヶ月の受け取り期限があるので注意が必要です。
万が一、受け取り期限までに受領せず未交付失効となってしまった場合には、次回の申請時に通常より高い手数料が掛かるとのことですので、お気を付けください(どれぐらい高いのかは不明です(笑))。
なお、オンライン申請の場合の手数料については、2024年1月時点で、受け取り時に現金で支払う場合は114ユーロ、クレジットカード払いの場合は16,000円でした。
その時の為替レート等で、どちらの方法で支払うかを決めると良いと思います。
クレジットカードでの支払いを希望する場合は、旅券申請審査完了メールにクレジットカード情報登録用リンクがあるので、受け取り日までにそこから事前登録することが必要です。
新しいパスポートの受領
先程も述べた通り、筆者は、在デュッセルドルフ日本国総領事館を受け取り場所に指定したため、1月12日午後に予約なしでパスポート受領に伺いました。
念のため、持ち物として指定された古いパスポートに加えて、ドイツの滞在許可証(Aufenthaltstitel)も持って行きました。
総領事館の入り口で行う手荷物検査時に顔写真付き身分証明書の提示を求められたため、当時まだ有効であった古いパスポートを見せました。
その後は、窓口に直接行き、古いパスポートを窓口の方に渡しました。
筆者の場合は、クレジットカード決済にしたため、事前にクレジットカード情報が登録されているか窓口の方が確認するために、7分程待ち時間がありました。
名前が呼ばれた後は、新しいパスポートに登録されている氏名や生年月日などに誤りがないかの確認を行ったうえで、書類にサインをし、パスポートを受領することができました。
その時は総領事館が空いていて、パスポート受領に掛かった時間は10分程度でしたが、混雑している場合はもう少し時間が掛かると思います。
ちなみに、古いパスポートは、ICチップや顔写真のページに穴を開けられた状態で返却されるので、記念に取っておくことが可能です。
まとめ
- ドイツにある日本国大使館や日本国総領事館で、日本のパスポートを新しいものに切り替えることが可能。
- 受領時は大使館や総領事館に本人が出向く必要があるが、申請はオンラインでも可能。
- 切替発行には、現在は1~2週間程度を要するが、2025年3月24日からは4週間前後掛かる予定である。
以上、ドイツでの新しいパスポートへの切替発行申請時の流れについて、ご紹介しました。
先述した通り、2025年3月24日から手続きの変更により、申請後の審査完了から交付まで4週間前後の時間を要するようになるようです。
そのため、余裕を持って申請を行うことをおすすめします!
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