南ドイツにあるアルゴイ地方の美しい町、オーバーストドルフ(Oberstdorf)は、四季を通じて多くのハイキング客や自然愛好家を魅了しています。
中でも「ネーベルホルン(Nebelhorn)」は、絶景と登山の醍醐味を一度に味わえる名所。
ゴンドラで手軽にアクセスできる山頂からのパノラマビューは圧巻で、山頂や山腹から延びる本格的なハイキングコースも充実しています。
本記事では、ネーベルホルンへのアクセス方法から、山頂の見どころ、さらには美しい高山湖を巡るハイキングルートまで詳しくご紹介します。
・ネーベルホルンでのハイキングを計画中の方
・ミュンヘンからの日帰り旅行を検討している方
・ドイツの観光スポットおよびハイキングコースに興味のある方
Nebelhornbahn(ネーベルホルンバーン)
オーバーストドルフの旧市街の近くから伸びている「Nebelhornbahn(ネーベルホルンバーン)」は、標高2,224mのネーベルホルン山頂までを結ぶロープウェイです。
2021年にリニューアルされた新しいゴンドラは、モダンなデザインと広々とした車内が特徴で、山の風景を360度楽しめる大きなガラス窓が魅力です。


乗車は3区間に分かれており、第一区間で「Seealpe(1,280m)」、第二区間で「Höfatsblick(1,932m)」、そして乗り換え後の最終区間で山頂(2,224m)に到着します。
移動中もアルプスの渓谷や牧草地が眼下に広がり、乗っているだけでも特別な体験となります。
チケットはオンラインでも購入可能で、混雑時期は事前購入しておくと安心です。
特に晴れた日は、乗車中から見える白銀の山並みや深い谷のコントラストに心を奪われることでしょう。
Nebelhorn(ネーベルホルン山頂)
ロープウェイでネーベルホルン山頂に到着すると、まず目に飛び込んでくるのは、アルプスの壮大なパノラマです。
晴天時には、なんと約400の山々を一望できると言われており、その美しさは息を呑むほど!
東にはオーストリアの山々、西にはスイスの名峰が連なり、地平線の彼方まで続く峰々の景色に心が洗われる感覚を覚えます。


山頂には展望台が整備されており、説明パネルとともに周囲の山々の名前を確認できます。
レストラン「Gipfelrestaurant Nebelhorn」も併設されており、地元料理やデザートを楽しみながら、絶景をゆっくりと味わえます。

また、天候や装備によっては、山頂からのハイキングコースに挑戦することも可能。
高山植物の花咲く道を歩けば、標高2,000m超の高原ならではの自然の息吹を感じられます。

高所が苦手な人にも優しい造りになっており、気軽に訪れることができます。
ハイキングコース:Höfatsblick駅~Gaisalpseen~Oberstdorf駅
ハイキングコースの概要
ここでは、筆者が実際に歩いたハイキングコースの状況と魅力をお伝えします。
標高1,932mに位置するネーベルホルンバーンの中間駅「Höfatsblick(ヘーファツブリック)」からスタートするこのハイキングルートは、2つの美しい高山湖「Oberer Gaisalpsee(上ガイスアルプ湖)」と「Unterer Gaisalpsee(下ガイスアルプ湖)」を巡る、変化に富んだコースです。
特に初夏から秋にかけては、高山植物や野生動物にも出会える豊かな自然が魅力。
全行程は約15km、所要時間は5〜6時間程度と比較的長め。
中級者向けの難易度で、ある程度の体力は必要としますが、クライミング用の装備(ロープやハーネスなど)は必要としません。
そのため、適度な休憩をこまめに取りながら進めば、そこまでハイキングの経験が豊富でない方でも達成可能です。
高低差も大きく、アルプスらしい迫力のある風景が楽しめるため、「静と動」を両方味わいたい人には特におすすめのコースです。
ハイキング前半:Höfatsblick~Oberer Gaisalpsee
ハイキングコースの出発点となるロープウェイのHöfatsblick駅周辺に標識があります。
「Gaisalp 3.5 Std(Gaisalpまで3.5時間)」の標識に従って出発すると、まずは比較的なだらかな道をNebelhornを眺めながら進むことになります。
青々とした草原の中に白っぽい大きな岩が無数に転がっており、その風景は、まるで山口県秋吉台のカルスト台地のようです。

しかし、なだらかなで歩きやすい道もそう長くは続きません。
ロープウェイの駅から500m程進むと、突然急な下り坂が始まります。
設置された補助ロープや足場などを使って、しばらく崖を下っていく必要があります。

崖下りが終わると、しばらくは比較的なだらかな道が続きます。
しかし、段々と上り坂の勾配がきつくなっていきます。
筆者も、一度下ったのに、何故また登らなきゃいけないのと思うかもしれませんが仕方ありません…。
標高1,927m地点(出発点であるロープウェイ駅とほぼ同じ標高)にあるGeißfußsattelと呼ばれる峠の頂上まで、坂を上っていく必要があります。
もしかしたら、コースがわかりづらく感じることが途中あるかもしれませんが、そんな時は、写真に写っているような白と赤の線で描かれたサインを探し、それをたどりながら進んでください。

Geißfußsattelからは、このような風景を眺めることができます。
長野県の千畳敷カールをご存知の方は、この景色からそれを連想するかもしれません。

この千畳敷カールのような崖を右手に見ながら、坂を下っていきます。
すると、左手にOberer Gaisalpsee(上ガイスアルプ湖)が見えてきます。

そして、この湖を半周回るようにハイキングコースをさらに進んでいきます。
ハイキング後半:Oberer Gaisalpsee~Oberstdorf
標高1,769mにあるOberer Gaisalpseeに別れを告げ、さらに下っていくと、下方に標高1,508mにあるUnterer Gaisalpsee(下ガイスアルプ湖)が見えてきます。
見え始めてからその湖畔に辿り着くまでは見た目以上に時間が掛かりますが、ハイキングコースに沿って下っていくと、やがて湖畔に辿り着くことができます。

湖畔およびその周辺の草原は、のどかな風景に癒されながら自然を満喫する人々で賑わっています。

Unterer Gaisalpsee(下ガイスアルプ湖)を出発して間もなく、左手後方に滝が見えるようになります。
そこでは、湖と滝の両方を一枚の写真に収めることも可能です!

さらに2km程度進むと、Berggasthof Gaisalpeという山小屋兼レストランが見えてきます。
ここに立ち寄って一旦食事休憩をするのも、とても贅沢なひとときに違いありません。

ハイキングコースの途中では、野生動物に加え、家畜として飼われている山羊や牛などの動物を見かけることもあるでしょう。

Berggasthof Gaisalpeからさらに2km程度下り続けると、写真のような滝の場所に辿り着きます。
ここまで来れば、長く続いた下り坂もほぼ終わりで、Reichenbach(ライヒェンバッハ)という村も近くに見えているはずです。

ここからは、Gaisalp川(ガイスアルプ川)に沿ってしばらく進んだ後、「Kalkofenweg(カルクオーフェンヴェーク)」という道を通って、再びオーバーストドルフの中心地へと戻ることができます。
ただし、急な坂などはもうありませんが、滝からオーバーストドルフの鉄道駅までは、まだ約5km歩く必要がありますので、まだまだ気を抜けません。
特に、Kalkofenweg(カルクオーフェンヴェーク)では木陰のない非常に区間が長く続きますので、熱中症にはくれぐれもお気を付けください!
もし、どうしてもオーバーストドルフまでは歩けないというのであれば、Langenwangという村にある鉄道駅まで歩き、そこから鉄道を利用する方法もあります。
それにより、歩く距離を2km強短縮することが可能です。
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