ドイツ生活でピンチ!声が出ない地獄の2週間

皆さんは、体調不良によって長期間声が出なくなった経験はありますか?
私は2024年12月下旬に体調を崩し、翌年1月上旬までの約2週間、まったく声が出ない状態が続きました。

のどの痛みや咳、微熱などの症状もありましたが、声が出ないという事態が私にとって最も深刻な問題でした。
ちょうどその時期、プライベートではさまざまな予定が重なっており、それらに大きな支障をきたしてしまいました。

今回は、異国の地ドイツで突然迎えることになった「声の出ない」年末年始の2週間について書き綴りたいと思います。

この記事は、こんな人におすすめ!
  • ドイツでの生活に興味のある方
  • ドイツで生活をしていて、体調不良により一時的に声が出なくなってしまった方
目次

声が出ない中、医師を探して: クリスマス休暇の壁と診察の記録

体調不良は12月21日頃から始まりました。
微熱、倦怠感、そしてのどの痛みがありましたが、当初は日常生活を送れる程度の軽い症状でした。
しかし、初期症状から3日後、突然声がまったく出なくなったのです。

かろうじてひそひそ声で話すことはできたものの、発声が完全にできない状態となりました。
このため、通常の会話はもちろん、のどから音を出すことすら困難になり、医師の診察を受けることを決意しました。

ドイツのクリスマス休暇の壁

声が出なくなったのは12月24日、クリスマスイブの日でした。

ドイツでは、12月24日は一般的に診療所が休診となります。
また、25日と26日はクリスマスで国民の祝日です。
このため、年末年始も含め診療所の営業は大幅に制限されます

私が暮らすバイエルン州では、12月31日が大晦日(祝日ではないものの休業する施設が多い)、1月1日は元旦、そして1月6日は祝日です。
そのため、多くの診療所が12月23日午後から翌年1月6日まで休診となっていました。
私の家庭医も例外ではなく、休診が続きました。

ドイツには家庭医制度があり、健康上の問題が生じた場合は、基本的に登録した家庭医にまず診てもらう必要があります。
しかし家庭医が休診中のため、私は家庭医が指定した別の診療所に行かなければなりませんでした。

12月27日には自宅から約25分離れた医者Aに、1月2日には自宅から約15分離れた医者Bに診てもらうことになりました。

(もちろん大型病院や緊急時対応の診療所も営業していますが、高熱など命に関わる症状がなかったため、今回は除外しました。)

自然療法にこだわる医師A

診察を受けるためには、事前に診療所へ電話予約が必要です。

しかし私は声が出ないため、電話対応が困難でした。
ひそひそ声で必死に話しましたが、電話越しでは声が相手に届きづらく、非常に苦労しました。
普段の家庭医と異なり、こちらの事情を知らない相手とのやり取りで、情報を伝えるのに一層苦労しました。

何とか最低限の状況を伝えることに成功しましたが、ひそひそ声で無理をしたためのどの痛みが悪化してしまいました。
さらにその日は、その診療所の医師Aが複数の家庭医の代理を務めていたため、予約を受け付けておらず、待ち時間を覚悟して早めに来院するよう指示されました。

診療所に到着してから約1時間強待った末、医師Aに診てもらうことができました。
もちろん、その際ものどの痛みがさらに悪化することを覚悟したうえで、ひそひそ声で医師と会話せざるをえなかったのですが、問題は他にもありました。

この医師は自然療法にこだわるタイプで、薬の処方箋を出してもらえなかったのです。
代わりに以下のようなアドバイスを受けました:

  • 鍋でお湯を沸かしてその蒸気を吸う
  • お茶を飲むこと
  • 動物性の油を使った痰切り剤を購入する

私はその指示に従って試しましたが、効果はなく、むしろ症状は悪化しました。

医師Bとの診察と改善

症状がまったく改善したなかっため、翌年1月2日、別の医師B(別の代理家庭医)を訪れることにしました。
今回も電話予約の際、ひそひそ声で状況を説明する必要がありました。
12月27日に訪れた医師Aの診療所と同じく予約は取れず、待ち時間を覚悟して来院するよう指示されました。

診療所で約1時間待った後、診察を受けることができました。
この時私は前回の教訓を生かし、事前に伝えたいことを紙にまとめて持参しました。
これを医師Bに見せることで、自分の状況や伝えたいことをできるだけ話さずに伝えることに成功しました。

紙には以下の内容を書きました:

  • 医師Bが私の家庭の代理に指定されていること
  • 自分の症状とその経過
  • これまで試した自然療法の効果がなかったこと
  • 希望する治療方法

その結果、抗生物質を処方してもらうことができました。
服用後、5日程で声が6割程度出るようになり、改善を実感しました。

しかし、まだのどや声に違和感が残っていたため、診療を再開した私の本来の家庭医を1月中旬に再訪しました。
再度抗生物質を処方してもらい、その3日後には声がほぼ完全に回復しました。

ここから学んだこと

・ドイツでは、12月24日以降、多くの診療所が休業するため、家庭医に診てもらったり予約を取ったりすることが難しくなる。もし12月24日以前に症状が出た場合は、念のため早めに診察を受け、必要な薬を処方してもらっておくと安心である。
・ドイツには自然療法にこだわる医師も多く、家庭医の休暇中にそのような医師が代理を務めることもある。
・自然療法に抵抗がある場合は、事前にインターネットなどで医者の情報を確認し、できるだけ避けるようにすると良い。
・声が出なくなった場合は、会話を最小限にするために、医者に伝えたいことを紙に書いて持参すると良い。

声が出ない状況での引っ越しの難航と試練

この声が出ない状況の中、私は引っ越しを行う必要がありました。
大晦日である12月31日に、6ヶ月間住んでいたビジネスアパートを退去し、公共交通機関および徒歩で約20分離れた同じミュンヘン市内の別のアパートに引っ越しました。

退去時の立ち合いと声が出ない試練

退去時には、管理会社の立ち合いが必須です。
アパートの状態を点検し、問題があれば居住者が説明・報告する必要があります。
特に、入居前からあった傷や問題については、はっきり伝えなければ、こちらの不手際と見なされかねません

しかし、当時は声が出ない状況でした。
体調不良で声が出ないことを伝え、ひそひそ声でなんとか説明をしましたが、約30分の立ち合いが終わる頃にはのどが痛み、咳き込むようになってしまいました。

新生活のスタートと配送業者とのトラブル

引っ越し後は、家具や小物を新たに揃える必要がありました。

事前にオンラインで購入したものが1月上旬に続々と届きましたが、配送業者とのやり取りでも声が出ないことが不便でした。
荷物受け取り時には、通常「Hallo(こんにちは)」や「Danke(ありがとう)」など一言挨拶をしますが、それができなかったため、配送業者から変な人、もしくは冷たい人に見えたかもしれません。

また、ドイツ特有のトラブルも発生しました。
予定配送日から1週間以上経っても荷物が届かないケースが2件、さらに届いた商品が説明と異なるケースが1件ありました。
私の場合、販売業者から発送された荷物が配送業者に引き渡された後、オンラインで追跡できなくなり行方不明に。

こうした場合、配送業者や販売業者に問い合わせる必要があります。
状況が複雑だったため、本来は電話で問い合わせたかったのですが、声が出ないため電話は使えません。
やむを得ずお問い合わせフォームを利用しましたが、返事が来るまで4日も掛かりました。

案の定、お問い合わせフォームでは複雑な状況をうまく伝えきれず、事態はさらに混乱
配送の大幅遅延を理由にキャンセル・返金対応をしてもらったにもかかわらず、2週間遅れで荷物が届くことになりました。

その頃には声がある程度回復していたため、電話で再度対応しました。
最終的には、配送業者に電話5回、お問い合わせフォーム4回、販売業者にもお問い合わせフォームで4回の連絡をする羽目になりました…。
声が普通に出ていてもしんどい対応を、声が出ない状況で行うのは本当に手間と労力がかかる作業でした。

・声が出なくても、アパート退去時の立ち合いは必須!
・声が出ない状況では、問題発生時に配送業者とやり取りするのも困難で時間も掛かる。

声が出ない年末、大晦日は友人と過ごせず

体調を崩した時期が年末だったこともあり、大晦日には友人たちとパーティーに行く予定でした。
ドイツ(特に子どもがいない家庭)では、日本と違い、大晦日は家族ではなく友人と過ごすのが一般的です。
そのため私もドイツに残り、友人たちと年越しを祝う計画を立てていました。

人気のイベントだったため、事前にチケットも購入済み。
しかし、体調不良のため泣く泣くキャンセルせざるを得ませんでした
そのチケットは返金不可だったため、約32ユーロ(日本円で約5,200円)が無駄になってしまいました…。

大晦日当日、症状は声が出ず咳が少し出る程度で、体力的には比較的元気な状態でした。
また、既に返金不可のチケットを持っていたこともあり、イベントに行きたい気持ちは強かったです。
しかし、「声が出ないのでは友人と楽しむのは難しいだろう」と考えたこと、そして他人に体調不良をうつす可能性も考慮し、最終的には参加を断念しました。

その結果、2024年の大晦日から2025年の元旦にかけて、比較的元気ながらも自宅で孤独に過ごすこととなりました。

ここから学んだこと

・ドイツでは、イベントのチケットに数ユーロ追加することで、購入時にキャンセル可能なオプションを付けられることがある。数日前から事前購入する場合は、保険代わりにこのオプションを付けるのがおすすめである。
・もし12月24日直前に体調不良になった場合は、迷わずできるだけ早く一度医者に行くべきである。
・もっと早く抗生物質を服用できていれば、大晦日までに回復していたかもしれないのに……。

外出するたびに感じる壁:声が出ない日常

外出時はこそこそと…

声が出ない状況では、外出すること自体が一筋縄ではいきません。

まず、自宅を出た瞬間に隣人に遭遇しないかが気がかりです。
もし出くわした場合、相手が挨拶してくれてもこちらは声が出ないため返すことができません。
その結果、相手に無視されたと感じられてしまう可能性があり、特に引っ越したばかりの新居では、第一印象を悪くしないために自己紹介をするべき場面で声が出ないことに焦りを感じました。

そのため、玄関のドアスコープから廊下の様子を確認し、音を聞いて隣人がいないタイミングを狙って外出するようにしていました。
悪いことをしているわけではないのにこそこそと行動せざるを得ず、居心地が悪かったです。

スーパーマーケットでの買い物

体調不良が長引いたことで、自宅の食料が尽き、やむを得ずスーパーマーケットに買い出しに行く必要がありました。
自宅を出るタイミングでは、隣人に遭遇しないよう廊下の様子を確認してから出発しましたが、それ以外は特に問題なくスーパーマーケットに辿り着けました。

しかし、問題はお会計時に発生しました。
ドイツでは有人レジを利用する場合、最初に「Hallo(こんにちは)」、最後に「Tschüss(さようなら)」などと挨拶を交わすのが一般的です。

普段の生活ではこのような挨拶を煩わしいと思ったことは一度もありませんでしたが、声が出ない状況では話は別です。
挨拶をされても無視せざるを得ない状況は非常に気まずく、店員からすれば私は冷たい失礼な人に映ったかもしれません。

さらに、支払い時に問題が生じました。
カードで支払う場合には「mit Karte, bitte(カードでお願いします)」の一言が必要です。
しかし、声が出ないためその一言すら言えません
やむを得ず、カードを直接店員に見せて、支払い方法をそれとなく伝えるしかありませんでした。

このような状況に気疲れを感じたため、セルフレジがあるスーパーマーケットでは、できるだけセルフレジを利用するようにしました。
セルフレジであれば誰とも会話をする必要がないため、安心して買い物ができました。

外食ができない

1月上旬、友人から外食に誘われました
体調はある程度回復しており、咳がたまに出る程度で声が少し出るようになっていました。

しかし、賑やかな店内での会話は困難です。
無理をすれば友人と話せるかもしれませんが、のどを傷めて再び声が出なくなるリスクがあります。

また、注文時も問題です。
日本のようにタッチパネル式の店があれば良いのですが、ドイツでは基本的に店員との対話が必要です。

変な弱々しい声で注文するのは、周囲にウイルスを持ち込んだと誤解されそうで気が引けます。
結局、外食のお誘いも断らざるを得ませんでした。

ここから学んだこと

・声が出ない状況では、できるだけ他人に会わないよう、こそこそ行動せざるを得ない。
・買い物に行く必要がある場合は、セルフレジのあるスーパーマーケットに行くと気が楽である。
・声が出ない状況では、外食に行くことも困難である。

声が出ないことで仕事が困難に:休む決断とその葛藤

声が出ないことは、仕事上でも様々な不都合をもたらしました。

私の場合、職種の都合上、会話をすることが非常に多いため、声が出ないことはある意味致命的でした。
一応、会話をしなくてもできる作業はあるため、基本的に在宅勤務にしてもらい、そのような作業を進めていました。

ドイツには、体調不良の際に年次有給休暇を使わずに休みを取ることができる制度(回数無制限の傷病休暇のようなもの)があるため、同僚や上司からは、休みを取って安静にすることを何度も勧められました。
しかし、1月になると咳が多く出て声が出ない以外の症状はなかったため、会話をしない作業であれば実施可能な状態でした。
そのため、実際に休みを取るべきか非常に決めづらい状況でした。

また、この体調不良は転職から数ヶ月後の出来事であり、当時は試用期間中だったため、休みを取ることに対する抵抗と不安がより一層強くありました。

さらに、私の上司や同僚は60歳前後の方々が多く、その人たちはメールやチャットよりも断然電話派です。
また、ドイツでは一般的に、現代においても電話を使うのが好きな人が多いです。

そのため、声が出ず、咳もひどいので電話は避けてほしいとお願いしても、電話をかけてきました。
本当に参りました…。

その結果、咳がなかなか落ち着かなかったこともあり、結局は3日間の休みを取ることにしました。

ここから学んだこと

・ドイツ人、特に年齢の高いドイツ人は、現代でもメールやチャットより電話を好む傾向にある。
・試用期間中に体調不良になって働くのが困難な場合は、上司に相談したうえで、可能であれば無理なく休むべきである。

終わりに

体調不良は予期せぬ困難を引き起こし、日常生活や仕事に大きな影響を与えることを改めて実感しました。
しかし、これらの経験を通して、自分の体調と向き合う大切さや、無理せず休む勇気を持つことの重要性を学びました。

振り返ると、どんなに小さな体調の変化でも無視せず、早めに対処することが今後の健康維持には不可欠だと感じています。
これからは体調に気を付けながら、健康第一で過ごしていきたいと思います。


ゆとり
ドイツ生活5年目のゆとりです。デュッセルドルフで2年半働き、現在は再度ミュンヘンで働いています。過去にミュンヘンで交換留学およびワーホリも体験しました。
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