初めてのドイツ生活で「失敗しないための心得」

初めての海外暮らし。
それは、ワクワクと同時に不安もあるものです。
特に文化や価値観が日本と大きく異なるドイツでは、日本とは常識が違う場面にたくさん出会います。

この記事では、日本からドイツに移住した私が実際に感じた「ドイツ生活で気を付けるべきポイント」を、生活面・人間関係面・制度面に分けて紹介します。

この記事は、こんな人におすすめ!
  • 近々ドイツへ引っ越す予定のある方、もしくはドイツに引っ越してきて間もない方
  • ドイツでの長期滞在を検討中の方
目次

生活習慣やマナーの違いについて

ドイツに住み始めてまず驚くのが、「静かにすべき時間帯」がきっちりと法律で定められていることです。
特に、夜間(22時以降)や日曜日・祝日は「Ruhezeit(静寂時間)」と呼ばれ、掃除機や洗濯機の使用を含む大きな音を立てる行為を、できるだけ控える必要があります。
マンションやアパートに住んでいると、壁がそこまで厚くない場合も多く、隣人とのトラブルを避けるためにもこのルールは守る必要があります。

また、ゴミの分別は、特にビン類を中心に非常に細かく、また地域によってもルールが異なるため、最初は戸惑うかもしれません。
紙、プラスチック、ビン、缶、生ごみなどに細かく分ける必要があり、違反すると注意や罰金を受ける可能性もあります。
集合住宅では住民全体で使用するゴミ箱が設置されており、周囲の目もあるため、きちんと守ることが求められます。

そして、たまに不便に感じることがあるのが、キャッシュレス化がまだ進み切っていない点です。
ドイツはEU圏内でも「現金主義」が根強い国の一つであり、特に個人経営のレストランやお店などではカードが使えなかったり、一定額に満たないとカードで支払わせてくれないこともあります。

また、公衆トイレを利用する際に硬貨が必要になることもあります。
そのため、「念のため現金を持っておく」という習慣は、しばらく続けた方が安心です。

さらに、水道水は飲めるものの、「硬水」であるため、人によっては髪や肌、お腹への影響を感じるかもしれません。
ドイツにおいて、ペットボトルなどに入った飲料水を別途購入している日本人も多くいます。
また、シャワーヘッドやケトルに白いカルキがつくこともあるので、場合によっては、フィルターの使用や専用の洗剤などを使用する必要があります。

これらの違いは、最初は驚きや戸惑いにつながりますが、慣れてくるとドイツのそれが当たり前になってきます。
マナーや習慣を尊重することが、スムーズなドイツ生活の第一歩です。

コミュニケーション・人間関係について

ドイツ人の第一印象として「冷たい」「無愛想」という言葉を聞くことがありますが、これは単なる文化の違いと捉えることもできます。
日本のように初対面でニコニコと愛想よく振る舞う文化ではなく、むしろ「不自然に笑わない」ことが誠実さと捉えられる場合もあります。
表情よりも、言葉や態度の中に信頼や真剣さを込めるのがドイツ流のコミュニケーションです。

また、日本人が「空気を読む」「遠回しに言う」傾向があるのに対し、ドイツでは「はっきり言う」ことが誠実さと見なされます。
もちろん、相手を傷つける意図はなく、「率直さ」を大切にする文化なのです。
仕事でも私生活でも、自分の意見を明確に伝えることは、ドイツで非常に重要です。
曖昧な返事や回りくどい表現は、かえって誤解を生む原因になります。

言葉遣いにも注意が必要です。
日本語の「敬語」のような感覚で、ドイツ語にも「Sie(丁寧なあなた)」と「du(カジュアルなあなた)」があります。
基本的に、公式な場やビジネスの場では「Sie」を使い、相手から「duでいいですよ」と言われてからカジュアルに移行するのが一般的です。
ただし、職場や業界などによってもそこら辺の風習がかなり違ってくるので、周りの様子を見て判断することが重要です。
また、自分の友人からその人の友人として誰かを紹介された場合は、最初から「du」を使いカジュアルに自己紹介することも多くあります。

そしてもう一つ、日本人が意外と苦労するのが「時間の感覚」です。
ドイツでは時間厳守がマナーの一部であると言われていますが…正直、日本人よりは時間にルーズだと感じます。
友人に連絡も無しに10分以上待たされたことは何度もありますし、採用選考中の企業が自ら設定した期日を守らないことも多々ありました。

また、日本と違って早く到着してしまうのもマナー違反とされることもあります。
特に、ホームパーティーや友人宅に招待された場合は、約束の時間ぴったりか少し遅れるぐらいの感覚の方が良いことが多いです。

そして、ドイツでの人間関係は、日本と同じく距離感がやや遠く感じることもあるかもしれません。
別の言い方をすれば、距離感を縮めるのに時間が掛かることもあると思います。
しかし、その分、一度信頼を得られると非常に誠実で長く続く関係が築けます。

日本的な気配りももちろん大切ですが、ドイツ流のコミュニケーションの仕方を理解することで、よりスムーズな人間関係が育まれていきます。

行政・医療・制度面での注意点

ドイツで生活を始める際、最も重要でかつ多くの人が戸惑うのが「役所関係の手続き」です。

まず、ドイツでアパートに引っ越したら速やかに「住民登録(Anmeldung)」を行う必要があります。
これは滞在許可の有無にかかわらず、ドイツに住むすべての人に義務づけられている制度で、居住地の市役所(Bürgeramt)で事前予約をしたうえで行います。
この登録を怠ると、銀行口座の開設や保険加入、ビザの更新などに支障が出るため注意が必要です。

役所では基本的にドイツ語が使用され、英語対応ができる職員が限られていることもあるため、最低限のドイツ語の準備や、必要に応じて通訳者の同伴を検討しましょう。

また、電話やメールなど一般的な方法での問い合わせには応じてくれない役所も多く存在します
その場合は、公式サイト上にあるお問い合わせフォームに入力して、担当者から返事が来るのを1週間から2週間じっくりと待つしかありません。
この点においては、ドイツよりも日本の方が対応が断然早く丁寧で便利だと思わざるを得ません。

医療制度および健康保険制度についても、日本とは大きな違いがあります。

ドイツには法定保険(Gesetzliche Krankenversicherung)と私的保険(Private Krankenversicherung)があり、原則的にすべての人が何らかの健康保険に加入することが法律で義務づけられています
医療費は基本的に保険でカバーされるものの、予約制が一般的で、緊急時以外は飛び込みで診てもらえることはほとんどありません。
特に専門医(Facharzt)にかかる場合は、紹介状が必要なケースや、数週間から数か月待つこともあるため、計画的な受診が求められます。

また、日本と違って、薬局(Apotheke)以外では薬は買えません
風邪薬や鎮痛剤であっても、スーパーマーケットやドラッグストアでは販売されておらず、薬局で薬剤師に相談しながら購入するのが一般的です。

こうした制度の違いに最初は戸惑うかもしれませんが、「わからないことは事前に確認する」「予約・手続きを早めに行う」といった意識を持つことで、トラブルを回避しやすくなります。

ちなみに、行政手続きや診察の予約をしたものの、予定が変わったり体調が回復したりした場合は、予約を変更・キャンセルすれば問題ありません。
そのため、とりあえず予約をしておくというのがドイツでは重要になります。

番外編:ドイツを最初に訪れた際に驚いたカルチャーショック

ドイツ生活の初期には、思わず「えっ!?」と声が出そうになるカルチャーショックがいくつもあります。

例えば、スーパーマーケットのレジのスピード
商品がものすごいスピードでスキャンされるうえに、日本のように袋詰め用の台がないため、レジでの袋詰めが間に合わず焦ってしまうことがよくあります。
最初はパニックになりますが、慣れてくるとマイバッグを事前に開いておいたり、袋詰めが多少間に合わなくても気にしない、というテクニックが身についてきます。

また、「レストランで水が出てこない」というのも日本人にとっては驚きです。
日本のように水やお茶が無料で提供されることは基本的になく、有料のミネラルウォーターを注文する必要があります。
しかも炭酸入り(mit Kohlensäure)が一般的なので、炭酸無しが良い場合は「stilles Wasser」を注文する必要があることも覚えておくと便利です。

さらに、「本来の料金に上乗せして支払うチップ文化」も日本人には新鮮な習慣です。
もちろん、ドイツにおいてチップの支払いは強制ではありません。
しかし、チップを期待している感が店員側から伝わってくるんですよね…。
チップ文化が存在しない日本よりもサービスの質が悪いくせに…。

目安としては、合計金額の5〜10%程度を上乗せして払うと良いとされていますが、きっちりと計算せず、適当に数ユーロプラスするぐらいの感覚で大丈夫です。
もちろん、サービスが気に入らなかったり失礼なことをされたりした場合は、チップを支払う必要はありません。

小さなことかもしれませんが、こうした日常の違いに一つひとつ驚き、時には笑ったり感動したりしながら慣れていく過程が、異文化生活の楽しさでもあります。

まとめとアドバイス

ドイツでの生活は、日本と大きく異なる点も多く、最初は戸惑いや不安を感じるかもしれません
ですが、生活習慣やマナーの違い、役所や医療制度の仕組み、文化的な背景を少しずつ理解し、適応していくことで、日常生活は徐々にスムーズになります。

特に、ドイツでは「自分で調べる力」と「自分の意見を伝える力」が非常に重視されます。
受け身でいるよりも、少し勇気を出して質問したり周囲に頼ったりすることで、得られる情報は格段に増えていきます。

また、すべてを「日本と比べて良い・悪い」で判断するのではなく、「違いを楽しむ」という視点を持つことが、ストレスなく異文化に馴染む秘訣だと私は考えています。

ドイツは生活の質も高く、教育・医療・環境といった分野において世界的にも評価の高い国です。
この土地での暮らしを通じて、国際的な視野や新しい価値観を得ることは、何物にも代えがたい財産になると思います!

ゆとり
ドイツ生活6年目のゆとりです。デュッセルドルフで2年半働き、現在は再度ミュンヘンで働いています。過去にミュンヘンで交換留学およびワーホリも体験しました。
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