日本で暮らしている日本人であれば、炊飯器を持っていないという人はあまりいないのではないでしょうか。
中には、1人暮らしで、自宅ではレトルトのご飯パックを食べるから炊飯器を持っていないという人や、こだわりがあって炊飯器ではなく土鍋などで炊いているという人もいるかもしれませんが、少数派かと思います。
そんな日本人がドイツで長期間生活するとなると、どのようにしてご飯を炊いたら良いのか考えることでしょう。
今回は、ドイツで生活するとなった場合に炊飯器は必要か、そして炊飯器が必要な場合はどのように調達できるのかについてお伝えします。
・近々ドイツに引っ越す予定の方、またはドイツへの引っ越しを検討中の方
・ドイツに引っ越してきたばかりの方
・ドイツの和食事情に興味のある方
日本の炊飯器はドイツでも使える?
日本からドイツに引っ越す場合、日本で使っている炊飯器をドイツに持っていって、ドイツで使うことができないか考えることもあるでしょう。
結論から言うと、基本的にそのままでは使えません!
日本で販売されている一般的な炊飯器は日本用であり、100Vの電圧で使うことを前提として製造されています。
日本の電圧が100Vなのに対し、ドイツの電圧は230Vです。
両国間の電圧に大きな差があるため、日本用に製造された炊飯器は、そのままではドイツで使うことができないことになります。
もし、どうしても日本の炊飯器をドイツに持っていって使いたいというのであれば、変圧器を追加購入する必要があります。
変圧器を通して電圧を230Vから100Vに変換することにより、ドイツでも日本用の炊飯器を安全に使用することができるようになります。
しかし、変圧器は通常安いものではありません。
特に、炊飯器を使用するのに十分な出力(1,000W前後)が可能な変圧器となると、最低でも10,000円程度の値段です!
※4,000円程度の変圧器もありますが、最大出力が250W程度だったりします。これでは、炊飯器を使用するのに通常十分ではありませんのでご注意ください。
また、出力の大きい変圧器は、サイズが大きいうえ、重さが7kg前後もあります!
炊飯器よりも変圧器の方が重いというケースも珍しくなく、ドイツまで持ってくるのは容易ではありません。
スーツケース+変圧器で、既に12kgぐらいになってしまうから、他の物をあまり持って来れなくなってしまうよ!
さらには、変圧器を使用する際に発生するブーンといううなるような音がうるさいと聞いたこともあります。
そのため、どうしてもという場合を除いて、日本で使っていた炊飯器をドイツに持ってきて使用するのはおすすめしません!
ドイツ生活で炊飯器は必要?
日本で使っている炊飯器をドイツで使用しないとなると、ドイツでも使える炊飯器を新たに購入する必要があります。
そのため、次に、ドイツで生活するうえで炊飯器が必要かどうか検討してみたいと思います。
まずは、炊飯器を使うメリットについて考えてみましょう。
炊飯器を使用するメリット
1つめのメリットは、スイッチを入れたら自動でご飯が炊けることです。
鍋で炊く場合、火加減に注意し焦げないよう気を付けながらご飯を炊く必要があります。
そのため、炊飯時にキッチンから離れることはほとんどできません。
その一方で、炊飯器を使用すれば、研いだ米と適量の水を炊飯ジャーに入れてスイッチを入れれば、約1時間後に自動で炊き上がります!
炊飯途中で火加減を調整する必要もありませんし、炊飯器を操作する必要もありません。
そのため、炊飯中に安心して別の作業をすることができますし、買い物等に行くこともできます。
さらに、予約機能を使えば、起床時間に合わせてご飯を炊き、起床後すぐに炊き立てのご飯を食べることも可能です。
また、昼食や夕食の時間に合わせて炊けるように炊飯器の予約機能をセットしておけば、食事時間直前の作業を減らすことができます。
これにより、炊き忘れを防ぐことができるうえ、他の料理を作ることに専念できます。
炊飯器を使う2つめのメリットは、炊飯にコンロを使用しないで済むという点です。
日本で暮らしていた時は、常に炊飯器を使用してご飯を炊いていたため、鍋を使って炊いたことがありませんでした。
初めてのドイツ生活で、炊飯器がなく鍋を使ってご飯を炊いていたのですが、何度か行ううちに、炊飯用の鍋でコンロを一つ占領してしまうのが難点だと感じるようになりました。
特に、キッチンにコンロが1口しかない場合は、同時におかずの調理ができないため、炊飯の前か後に調理する必要があります。
その間に、ご飯またはおかずのどちらかが冷めていってしまいます。
たとえコンロが2口以上あったとしても、おかずの調理と同時に炊飯を行うと、おかずからの油跳ねが気になるね…。
炊飯器を使う3つめのメリットは、鍋を使用しないで済むという点です。
まず、一般的な鍋の場合、ご飯がこびりついてしまいます。
こびりついたご飯をうまく食べることができないため、もったいなく感じてしまいます。
また、食べた後の鍋を洗うのも非常に大変です!
潰れた米が多くへばりついている鍋は、そのまま洗うのが困難であり、鍋を一旦水に浸す必要があります。
それでも、米が鍋底からうまく離れないことも多く、特に焦げ付いてしまった場合は洗い落とすのがより一層大変です。
さらに、炊飯目的で使用する鍋が必要ないため、その鍋を別の料理の調理に使用することが可能です。
鍋を多く持っていない家庭にとっては、これも大きなメリットでしょう。
炊飯用に鍋を追加購入しないで済むわね!
炊飯器を使う4つめのメリットは、保温ができる点です。
一般的な日本の炊飯器には、保温機能が備わっており、炊飯後のご飯を一定時間温かく保つことができます。
もちろん、保温を長く行うと、乾燥したりご飯の美味しさが減少したりしまいます。
しかし、炊飯後におかずの調理がまだ終わっていない場合や、2食続けてご飯を食べたい場合などには、保温機能が大変便利です。
鍋でご飯を炊いた場合、保温をするのが難しく、温めるために再加熱すると、鍋に水がないためにご飯が底面に焦げ付いてしまう可能性が高いです。
このように、炊飯器で炊飯する場合と鍋で炊飯する場合を比較すると、炊飯器を使用するメリットが多くあることがわかります。
もちろん、炊飯器よりも土鍋で炊いた方が美味しかったりするけどね!
結局、ドイツ生活で炊飯器はあった方が良い?
これらのメリットを踏まえたうえで、ドイツ生活を送るうえで炊飯器を購入するべきか考えてみます。
結論から言うと、炊飯器を購入した方が良いかは、ドイツでの滞在期間、そして食べるご飯の量や頻度によります。
例えば、ドイツでの滞在期間が数年を超えるような場合には、炊飯器の購入を検討しても良いかと思います。
反対に、ドイツでの滞在期間が1年以内、特に半年以内の場合や単身での滞在の場合は、炊飯器を購入しない方が良いかと思います。
もちろん、滞在期間が短かったとしても、炊飯器が便利なことに変わりはありません。
しかし、炊飯器は一般的に安いものではありません。
特に、日本製の炊飯器は、日本米を炊くことに特化しており質も高くデザインも良いのですが、高価です。
そのため、費用対効果を考えると、留学やワーキングホリデーなどの理由で、ドイツに1年以下の期間で滞在する場合は、炊飯器(特に日本製の炊飯器)の購入をあまりおすすめしません。
ただし、半年から1年程度の滞在期間だとしても、毎日のようにご飯を炊くという方や、単身での滞在でない(特に子供がいる)方は、高いお金を出して炊飯器を購入するメリットは十分にあると思います。
ちなみに、日本製より安価な韓国製の炊飯器を使っている人もいるけど、日本米がいまいち美味しく炊けないと言っていたよ。
ドイツ製の安い炊飯器もあって私も使ったことがあるけど、100点中50点って感じだったな…。
炊飯器の入手方法
では、ドイツで使用可能な炊飯器は、どのようにして入手できるのでしょうか。
いくつか方法がありますが、今回は3つほどご紹介します。
まず、Amazonで購入するという方法です。
日本でも定番の通販サイトAmazonですが、ドイツでも多くの人に使われています。
そして、ドイツ版のAmazon(Amazon.de)でも日本製の炊飯器がいくつか販売されています。
日本円で10万円を超えるような非常に高価なものがある中、4万円~5万円程度(300ユーロ前後)の日本製の炊飯器も販売されています。
筆者も、2023年の秋に、実際にドイツ版のAmazonで日本製の象印の炊飯器(5.5合炊き)を300ユーロ程度で購入しました。
もちろん、日本で同じ金額を出したら、もっと質の良いものが手に入るでしょう。
しかし、さすが日本製!
質が特別高いものではありませんが、日本米が美味しく炊け、保温機能なども付いており大変便利です!
続いてご紹介する炊飯器の入手方法は、日本食料品店で購入するという方法です。
日本食料品店であっても、日本製の炊飯器を取り扱っているお店は非常に限られていますが、例えば、デュッセルドルフにある松竹さんで購入することが可能です。
3合炊き、5合炊き、10合炊きと3種類のサイズの象印の炊飯器を扱っており、3合炊きのものだと300ユーロ程度で購入可能です。
最後に、日本のAmazonや家電量販店で230Vの電圧に対応した炊飯器を購入し、ドイツに持ってくる方法です。
重くてかさばる炊飯器をドイツまで運ぶ必要があるというデメリットはありますが、これが一番安い方法です。
実際に、筆者も2019年にこの方法でドイツで使用可能な炊飯器を調達しました。
日本のAmazonで15,000円程度販売されていた230V用の象印の炊飯器(3合炊き)をドイツ引っ越し前に購入しました。
230V用のため、不良品でないか日本でテストすることはできないので、そこは正常に動くことを信じるしかありません。
その購入した炊飯器を、段ボールから出して本体(と付属品)のみをリュックサックに入れ、機内持ち込み手荷物としてドイツに持ってきました。
炊飯器は、スーツケースに入れて預けても機内に持ち込んでも良いようですが、スーツケースに入れると自分の目の届かないところで衝撃により故障してしまう可能性があると思ったため、機内に持ち込みました。
3合炊きの小さめの炊飯器だったため、大きめのリュックサックに何とか収まりました。
手荷物検査場などでも引っかかることは一切なく、無事にドイツまで持ってくることができました!
まとめ
- 日本で使っている炊飯器をドイツに持っていって使用する場合は、高価で重い変圧器が必要
- 炊飯器を使用するメリットは、スイッチを入れたら自動でご飯が炊けてコンロを占領しないこと、鍋を使用しないこと、また保温ができることである
- ドイツでの滞在期間が数年を超えるような場合には、炊飯器の購入を積極的に検討しても良いが、それより短い場合は、費用対効果に見合わない可能性が高い(ただし、使用頻度による)
- ドイツで使用可能な日本製炊飯器の調達方法は、①ドイツ版Amazonで購入する方法、②日本食料品店で購入する方法、③日本で購入してドイツに持ってくる方法などがある
日本で普通に生活していると、炊飯器のない生活というのはなかなか想像できないものですが、炊飯器が無くても鍋でご飯を炊くことが可能です。
ドイツ生活用に炊飯器を購入するべきかなかなか判断できない場合、ドイツでの滞在期間が定まっていない場合などは、一旦炊飯器無しでドイツ生活を送り、一時帰国の際にドイツで使用可能な炊飯器を日本で購入して持ってくるという方法もあります。
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