日本もドイツも国民皆保険の制度が整っている国です。
ドイツに住む限り健康保険に加入する必要があり、外国人がドイツでビザを取得する際にも、ドイツで有効な健康保険に加入していることを証明する必要があります。
したがって、ドイツで医療機関にかかる際には、基本的にその加入している健康保険を使用することになります。
今回は、その点も含め、ドイツで医者にかかる場合の流れについて紹介したいと思います。
緊急時に、診療所ではなく大学病院等にいきなりかかる場合は、今回ご紹介する流れとは異なりますので、ご了承ください。
・ドイツに長期滞在中で、ドイツで医者にかかったことがない方
・今後ドイツに長期滞在予定の方
・ドイツの医療事情に興味のある方
ドイツで医者にかかる際のおおまかな流れ
ドイツで医者にかかる際のおおまかな流れは以下の通りです。
ドイツもしくはその町で初めて医者にかかる場合、まずは家庭医を探すところから始まります。
家庭医に診察してもらいたい場合には、日本と違い、事前に予約が必要です!
受付で健康保険証を提示して指示に従い、家庭医に診察してもらいます。
必要な書類があれば、家庭医にその旨を伝えます。
家庭医による診察や処置が済んだら、基本的にお会計なしで帰宅します!
必要に応じて、薬局や専門医を訪ねます。
Step 1:家庭医を見つける
ドイツでは家庭医制度、もしくはかかりつけ医制度(Hausarztsystem)というものがあります。
これは、体調不良やケガ等で医者に診てもらいたい場合、まずはその家庭医のところに行き診察してもらう必要があるということです(婦人科と小児科など一部例外あり)。
そして、その家庭医が必要であると判断した場合には、皮膚科や精神科など専門医への紹介状を書いてもらえます。
したがって、何かあれば、まずは事前に決めた家庭医のところに行くことになります。
つまり、ドイツに引っ越してきて間もない場合は、家庭医を探すところから始まるわけです。
家庭医を探す際は、自宅近くにある通いやすい場所を選ぶようにします。
評判が特別良い医者がいるからと家から遠い場所を選択したり、職場近くの医者を選んだりすると、後に後悔することになります。
というのも、具合が悪い時に、公共交通機関や車で長距離移動するのは特に大変だからです。
そのため、自宅と家庭医が近ければ近いほど安心です!
また、今はインターネットでその診療所や医者の口コミ・評判を簡単に確認できる時代です。
近隣の人やルームメイトに、家庭医のおすすめがないか相談するのも良いと思います。
例えば、「待ち時間が長い」もしくは「不愛想である」などの口コミがあり、実際にそうである場合、そこに行ったら余計に具合が悪くなりかねません。
もちろん、口コミを過信するのはよくありませんが、口コミ・評判もぜひ参考にして家庭医を選ぶようにしてください!
通いやすくて自分に合いそうな家庭医を選んだら、次のステップ「家庭医に予約を入れる」に進みます。
Step 2:家庭医に予約を入れる
体調不良やケガ等で家庭医に診てもらいたい場合は、まず予約を入れる必要があります。
これは、日本で医者にかかる場合と大きく異なる点です!
日本では、予約なしで近所のクリニック等に直接行くことが多いかと思います。
その一方で、ドイツではまず予約が必要です!
予約方法としては、電話が主流ですが、初診でなければオンライン予約が可能なクリニックもあります。
電話で予約する場合、既に家庭医になってもらっている場合は、名前や生年月日を伝えることで、すぐに個人を特定してもらうことができます。
簡単に症状を伝えて予約したい旨を伝えると、来院日時を提案してくれます。
もし、その日時で問題なければそのまま承諾し、電話を切ります。
もし、提案された日時だと都合が悪い場合は、他の日時を提案してもらいます。
この時問題となりうるのは、提案された日時がだいぶ後であることがよくあることです。
その場合は、もちろん、仕方なくそのまま承諾するという方法もあります。
しかし、体調が非常に悪くそんなに長く待てない場合や、その日時だとArbeitsunfähigkeitsbescheinigung(就労不能証明書)の雇用主への発行期限に間に合わない場合もあります。
その場合は、急ぎである旨を電話で伝えると、より早い来院日時を提案してくれる可能性が高いです。
ドイツでは言った者勝ちなところがありますので、必要に応じてもっと早い日時で予約できないか聞いてみることは非常に重要です!
ちなみに、初診の場合には、電話で予約する際に、例えば引っ越してきたばかりで初診である旨を伝えれば問題ありません。
断られる確率がどの程度なのかはわかりかねますが、筆者はミュンヘンでもデュッセルドルフでも断られた経験がなく、そのまますんなりと初診の予約をすることができました。
予約の日時までに体調が回復した場合など、もし診察が不要になった場合には、再度電話などで連絡して、キャンセルすれば問題ありません。
Step 3:健康保険を使い家庭医に診察してもらう
予約が完了したら、その予約日時にその家庭医のいる診療所に行きます。
その際には、日本で医者にかかる場合と同じく、ドイツの健康保険証を忘れずに持参してください。
ドイツの診療所は、普通の建物にひっそりと存在していて、看板も小さく、建物の外観からはわかりづらいことが多いから気を付けてね!
日本の診療所は、その建物や入り口とかに「XXクリニック」って大きく書いてあるから簡単に見つけることができるけど、ドイツはそうではないことも多いんだね!
地図を見ながら行けば問題ないと思うけど、診療所らしい建物を必死に探そうとして見逃さないように注意してね!
診療所に着いたら、受付にて名前と予約がある旨を伝え、健康保険証を提示します。
すると、待合室に誘導されたり、直接診察室に誘導されたりするはずです。
初診の場合は、家庭医として登録するための書類を受付でもらい、個人情報を記入して提出した後、待合室や診察室に誘導されることでしょう。
診察が始まったら、日本と同じく、医者に症状を伝えて診察をしてもらいます。
もし、専門医にかかりたいのであれば、紹介状を書いてくれないか聞いてみてください。
また、Arbeitsunfähigkeitsbescheinigung(就労不能証明書)を発行してもらいたい場合も、その際に医者にお願いしてください。
多くの場合、医者の方から患者に対して、就労不能証明書が必要か、またいつまで不能であるとすべきかを聞いてくるはずです。
加えて、もし薬が家にあるなどして処方箋がいらないのであれば、それも伝えるようにしてください。
診察が済んだら、Arbeitsunfähigkeitsbescheinigung(就労不能証明書)についてはすぐに発行してくれるはずですので、それを忘れずに受け取ってください。
そこで受け取る就労不能証明書は、厳密には原本ではなくコピーであるはずです。
健康保険証には、現職の雇用主の情報も登録されているため、患者側が対応することなく、原本が雇用主に届くようになっているかと思います。
(医療機関によって異なる可能性があり、筆者はその点についての責任を負いかねますので、ぜひ家庭医にご確認ください。)
ちなみに、日本と違い、ドイツでは就労不能証明書を無料で発行してくれます。
専門医への紹介状については、筆者自身ドイツで発行してもらったことがないのでわかりかねますが、待合室等で少し待てば発行してくれるはずです。
また、処方箋をもらう場合は、もらい忘れのないようご注意ください。
Step 4:必要に応じて薬局や専門医を訪れる
診察が終わり必要な書類を受け取ったら、基本的にはそのまま診療所を去って問題ありません。
日本では、診察後にすぐに帰らず、待合室で会計待ちをする必要がありますが、ドイツではその必要がありません!
家庭医による診察や処置は、基本的に健康保険で100%カバーされますので、診察が終わり必要な書類を受け取ったら、すぐに診療所を去って問題ありません。
筆者は、ドイツで初めて医者にかかった際に、診察後に受付で会計をするものだとてっきり思っており、受付の前で1分ぐらい待っていたことがあります(笑)
受付の人に「どうしたの?」聞かれ、そこで診察後の会計がないことを初めて知りました。
診察が終わり診療所を出た後は、処方箋をもらった場合には、薬局に行って薬を購入します。
また、専門医への紹介状を発行してもらった場合には、予約をしたうえで該当する専門医にかかることになります。
まとめ
- ドイツには家庭医制度(Hausarztsystem)というものがある
- ドイツでは、体調不良やケガ等で医者にかかりたい場合、まずは家庭医に診てもらう
- ドイツで医者にかかる際は、予約が必要
- 家庭医による診察後の会計はない
以上、ドイツで医者にかかる際の大まかな流れでした。
日本と大きく違うのは、予約が必要な点と診察後に会計がない点です。
ドイツは、日本よりも圧倒的に他国の出身者が多い国です。
「ドイツに引っ越してきたばかりで流れがよくわからない」と受付等で伝えれば、自分がすべき行動を丁寧に教えてくれるはずです!
体調不良やケガの際には、無理をせず、今回ご紹介した流れに沿って医者にかかってみてください。
実際に一度体験すれば、難しくないことがわかると思います!
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