ドイツ語を学ぶ際にありがちな「発音ミス」とその克服方法

ドイツ語を勉強する中で、日本人がつまずきやすいポイントのひとつが「発音」です。
母音や子音の微妙な違いや、日本語にはない特殊な音の存在によって、日本人にとってドイツ語の発音は簡単ではありません。

ここでは、日本人のドイツ語学習者が間違いやすい発音をピックアップし、それぞれの発音ポイント練習方法について解説します。

この記事は、こんな人におすすめ!
  • ドイツ語を勉強中、もしくは勉強予定の方
  • ドイツ語の発音に苦戦中の方
  • ドイツへの引っ越しが決まっている、もしくは引っ越し予定の方(転勤、留学、ワーホリなど)
目次

「r」 の発音:のどの奥から「ぐっと出す音」

まず、日本人が苦手とする代表的なドイツ語の音が「r」の発音です。
「r」は英語でも日本人が苦手とする音ですが、ドイツ語の「r」には独自の発音方法があり、のどの奥から「ぐっと」出すような発音です。

この音は「口蓋垂振動音」と呼ばれ、音の生成にのどの奥(口蓋垂)を使います
これは日本語にはない発音方法なので、最初はかなり苦戦するかもしれません。

発音のコツ

ドイツ語の「r」は、のどの奥を振動させる音で、うがいをするときの喉の使い方に似ています
英語の「r」とは違い、舌先は使わず、のどの奥から音を出します。

水なしで軽く「うがい」をするように「グルッ」と喉を鳴らしてみましょう。
慣れてきたら、「Rot(赤)」や「Bruder(兄弟)」などの単語をこの発音で発声してみます。

ドイツ博士

僕も、うがいをする時の音の出し方を意識して何回か練習していたら、今まで全然できなかったのに、突然できるようになったよ!

練習用単語例

  • Rot(赤)
  • rund(丸い)
  • Gruppe(グループ)
  • Braun(茶色)
  • Brille(めがね)
ドイツ博士

まずは、「r」で始まる単語の発音を練習してみよう。
慣れてきたら、より難易度の高い「r」が途中にある単語にチャレンジしてみよう!

「ch」と「sch」の違い:のどと口の使い分け

ドイツ語には「ch」と「sch」という発音があり、特に「ch」は日本語にはない音です。

「ch」は息をのどの奥から出す「ハッ」というような音で、英語の「k」に少し似ていますが、喉を閉めることなくより軽く出します
一方、「sch」は口の前のほうで音を出す「シュッ」という音で、日本人には発音しやすいです。

「ch」の発音のコツ

「ch」の発音は、息をのどの奥から出す感覚で、日本語の「はっ」と息を吐く時の軽い「ハ」音を奥の方で出すイメージです。
溜息をつく時の息の漏れ方が、ドイツ語の「ch」の発音にかなり近いです。
「ch」の前に来る母音によって、日本語の「ハ」「ヒ」「フ」「ヘ」「ホ」のいずれかに少し似た音になりますが、いずれも喉を震わさず、息のみを喉の奥から押し出すような感じです。

まずは、「ich(私は)」「Buch(本)」などで練習します。
はじめは無理に音を出そうとせず、静かに息を喉の奥で漏らす感じで息の流れに集中し、慣れてきたら次第に音を強めます。

練習用単語例

  • Tochter(娘)
  • Tuch(タオル)
  • Bach(バッハ)
  • Licht(光)
  • Pech(不運、災難)

「sch」の発音のコツ

「sch」は日本語の「シ」に似た音ですが、口を軽くすぼめて息を前方に出すと、「シュ」というドイツ語の音になります。
日本語で汽車の音を表現する時に使う「シュッシュッポッポ」の「シュ」(息を吐き出す音)が、ドイツ語の「sch」の発音であり、日本人には比較的発音しやすい音です。

例えば、「Schule(学校)」や「Tisch(テーブル)」などの単語を使い、口を軽くすぼめて「シュッ」と息を出す練習をします。
日本語の「シュ」を意識することで、より自然に発音できます。

練習用単語例

  • schon(既に)
  • schade(残念な)
  • Schaf(羊)
  • Japanisch(日本語)

ウムラウト(ä, ö, ü):母音の微妙な違いをつかむ

ドイツ語の特徴の一つに「ウムラウト」と呼ばれる特殊な母音の存在があります。
日本語に存在しない「ä」「ö」「ü」の発音は、日本人には難しいと感じられるかもしれません。

これらの母音は、普通の「a」「o」「u」に少し似ていますが、口の形や舌の位置を少し変えることで音が異なります。

発音のコツ

「ä」 は、「エ」と「ア」の中間音です。日本語の「エ」に近い音ですが、口を少しだけ広げて発音します。
「ö」 は、「オ」と「エ」の中間音です。口の形を「オ」にしたまま「エ」と発音するように意識します
「ü」は、「ウ」と「イ」の中間音です。口の形を「ウ」にしながら「イ」の発音をするようにすると近い音が出せます。

「Mädchen(少女)」、「König(王)」、「München(ミュンヘン)」などの単語を使って、日本語の「エ」「オ」「ウ」の口の形を意識して練習します。
特に、「ö」と「ü」は日本人にとって難しいため、繰り返し練習する必要があります。

練習用単語例

  • Märchen(おとぎ話)
  • schön(美しい、素晴らしい)
  • Tüte(袋)

「s」と「z」の区別:英語との違いに注意

日本語では「s」や「z」にあたる音が、サ行やザ行で表されることが多いですが、ドイツ語ではそれぞれに明確な違いがあります。

「s」は、基本的に「ズ」もしくは「ス」という発音になり、「z」は「ツ」と発音されるため、間違えると意味が通じにくくなることもあります。
日本人にとって難しい発音ではありませんが、「z」を「ズ」と発音してしまわぬよう気をつけてください

では、ドイツ語の「s」はどのような時に「ズ」と発音され、どのような時に「ス」と発音されるのでしょうか。
詳しく見てみましょう。

単語の冒頭での「s」 = 「ズ」

語頭の「s」(例:Suppe(スープ)、Salz(塩)、Sonne(太陽)など)は通常 「ズ」 の音([z])として発音されます。
この発音は日本語の「ズ」にかなり近いものですが、英語の「z」に似た少しざらついた響きがあります。

単語の内部や語尾の「s」 = 「ス」

単語の中間や語尾の「s」(例:Tastatur(キーボード)、Vertragsnummer(契約番号)、was(何)など)は 「ス」([s])の音で発音されるのが基本です。
2つ以上の単語がくっついた複合語(Vertragsnummer = Vertrag + s + Nummer)の中で連結として現れる「s」も、同様に「ス」([s])と発音されます。

例外的な「s」の発音:「st」、「sp」、「sch」 = 「シュ」

StreikやStein、Schuleのように、「st」、「sp」、「sch」 で始まる場合は、「ズ」のように濁らずそれぞれ「シュト」、「シュプ」、「シュ」と発音します。

発音のコツ

s:ドイツ語の「s」において「ズ」と発音する場合は、息を歯の間から軽く出す感覚で力強く発音します。
日本語の「ズ」に近いですが、英語の「z」にようなざらついた感じの音です。
「ス」と発音する場合は、日本語の「ス」から母音の「u」を取り、息が漏れるような形で発音します。

z:一方で「z」は「ツ」と発音され、舌を上の歯の裏につけてから、軽く息を押し出すようにします。

練習用単語例

  • Samstag(土曜日)※最初の「s」は「ズ」と発音され、二番目の「s」は「ス」と発音されます。
  • Sonne(太陽)
  • Zentrum(中心)
  • Zehn(10)

最後に

ドイツ語の発音は一見難しそうに思えますが、コツをつかめば日本語話者でも練習を通して改善・上達することができます。
日常的にドイツ語を使う機会が増えると、発音にも慣れ、自然に発音できるようになるでしょう。

ドイツ語の発音に少しでも自信を持てるように、今回紹介したコツや例を参考にして、発音の練習に取り組んでみてください!

ゆとり
ドイツ生活5年目のゆとりです。デュッセルドルフで2年半働き、現在は再度ミュンヘンで働いています。過去にミュンヘンで交換留学およびワーホリも体験しました。
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