ドイツはどちらかというと「静かで落ち着いた国」と思われがちですが、実際に暮らしてみると、意外にも「騒音」に悩まされることがあります。
特に、私の2025年の夏の朝は、外の騒音で起こされてしまうことも多く、静かな朝どころではありません。
今回は、そんな私の実体験と、ドイツでの騒音に関するルールについてご紹介します。
・近々ドイツに引っ越す予定の方、またはドイツへの引っ越しを検討中の方
・ドイツに引っ越して間もない方
・ドイツでの生活に興味のある方
私の実体験:ドイツ生活で遭遇した「朝の騒音」
ドイツに住んでいると「静かで穏やかな朝」を想像される方も多いかもしれませんが、現実は必ずしもそうとは限りません。
私自身、2025年の夏の朝は、頻繁に騒音に悩まされています。
ある日を境に、自宅前の道路で下水道の工事が始まりました。
それ以来、朝7時ぴったりに始まる重機の音や工事車両のエンジン音で起こされることが頻繁にあります。
特に夏場は室内が暑くなることも多く、窓を半開きにしたまま寝ることもあります。
すると、外の音がそのまま室内に入ってくるので、外で大きな音を立てられると眠ってはいられません。
目覚まし時計が鳴る前に騒音で起こされるのは非常に不快で、一日のスタートとして最悪です。
しかも、その工事が一段落ついたと思ったら、今度は芝刈り機の音やチェーンソーで木の枝を切る音が毎朝のように聞こえてくるようになりました。
ドイツでは、自宅やアパートの敷地内の手入れをとても丁寧に行う人も多く、業者だけでなく住民自身が早朝から作業していることもあります。
平日は仕事があるので、せめて朝の30分だけでも静かに過ごしたいと思っているのですが、そのたびに「ガーッ!」という機械音で安眠も遮られてしまうのです。
寝不足のまま始まる一日は、気分的にも体力的にもつらいものです。

もう一つの例:友人宅での「日曜の芝刈り」騒動
私だけではなく、知人の中にも似たような経験をした人がいます。
ある友人(ドイツ人)は、日曜日の午後にゆっくりと読書をしていたところ、隣人が突然、芝刈り機を持ち出して作業を始めたそうです。
最初は「まあすぐ終わるだろう」と思っていたものの、機械の音が止む気配はなく、読書どころか家の中での会話にも支障が出るほどの騒音だったとのこと。
ドイツでは日曜日は「Ruhetag(休息日)」として、多くの人が静かに過ごすことを大切にしています。
そのため、日曜日の芝刈り機の使用など大きな音を立てる行為は、たとえ自宅敷地内であっても、法律や地域のルールで原則禁止とされています。
友人は最初は我慢していましたが、あまりに音がひどく、ついに隣人(ドイツ人でない)にやんわりと声をかけたところ、隣人は少し驚きながらも「あ、日曜日だったね。気をつけるよ。」と理解を示してくれたそうです。
トラブルには発展しませんでしたが、個人的もしくは文化的な「音に対する感覚のズレ」が、日常の中で思わぬストレスを生むことがあるという好例です。

実際のルール:工事や芝刈りは何時からOK?
ドイツでは「騒音」に対して非常に厳格なルールがあります。
工事や芝刈りなど、大きな音を伴う行為については、時間帯や曜日によって明確な制限が設けられています。
基本的には、平日(月曜〜土曜)の朝7時〜夜8時までが許可された時間帯です。
この時間内であれば、例えば電動芝刈り機を使用したり、建設作業をしたりすることが法律上は問題ありません。
しかし、日曜日と祝日は例外です。
これらの日には、ほとんどの騒音を伴う行為が法律で禁止されています。
特に、モーターを使用する機械(芝刈り機、チェーンソー、電動工具など)は、原則として使用できません。
これは「Ruhetag(休息日)」というドイツ文化に根差した考えに基づいており、静けさを尊重するための重要なルールです。
また、マンションやアパートに住んでいる場合は、建物ごとの管理規則(Hausordnung)が別途設けられていることもあり、「昼の静寂時間(Mittagsruhe)」として12時~15時の作業を制限しているケースも見られます。
こうしたルールは入居時の書類や掲示板で確認できるので、注意が必要です。


住民としてできること:ストレス対策と対処法
とはいえ、規則があっても実際には騒音に悩まされる場面はあります。
では、私たち住民はどう対応すればいいのでしょうか?
まず、個人でできる対策としては以下のようなものがあります:
・耳栓やホワイトノイズアプリの使用
→ 外の音を和らげ、少しでも静かで穏やかな空間を作る
・防音カーテンや二重窓の設置
→ 騒音の侵入を物理的に減らす
・寝室の配置を見直す
→ 可能であれば、騒音源から離れた部屋にベッドを移すなどの工夫
それでも我慢できないほどの騒音がある場合、次のようなステップで対応することが一般的です。
1.まずはフレンドリーに話しかける
→ドイツでは、冷静かつ丁寧に事情を伝えることで、意外とすんなり解決することもあります。穏やかに切り出すのがポイントです。
2.建物の管理会社や大家さんに相談
→共用住宅であれば、管理会社や大家さんに騒音の日時や内容を記録して伝えると、注意喚起をしてもらえることがあります。
3.Ordnungsamt(秩序局)に報告
→どうしても改善が見られない場合は、地方自治体の秩序局に相談することも可能です。騒音が継続的で法に違反している場合、警告や罰金が科されることもあります。
ドイツでは、「苦情を言う=文句を言っている」ではなく、自分と相手の快適な生活を守るための建設的なアプローチとして受け取られることが多いのも特徴です。

まとめ
ドイツに住んで5年以上が経ちますが、騒音にどう対処するかは今も試行錯誤の連続です。
一見静かで穏やかに見えるこの国でも、生活音や業者の作業音は避けがたい現実です。
だからこそ、ルールを知り、自分なりの対処法を身につけることが大切だと感じています。
また、ドイツでは「静かであるべき時間」に対する社会的合意が強いため、苦情も伝えやすく、改善の余地があることが多いです。
とはいえ、「お互い様」の精神も忘れず、他人の生活音にも多少の寛容さを持つことも、長く暮らす上で必要な姿勢かもしれません。
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