日本に住んでいると、日本以外のカレンダーを見る機会はなかなかないかと思います。
逆に、ドイツに住んでいると、駐在員を除いて、日本のカレンダーを見る機会は少ないでしょう。
日本とドイツの間には時差があるものの、一年が365日もしくは366日であることは同じですし、月や日も基本的には同じです。
つまり、日本が4月1日の時にドイツでは1月20日…なんてことはありません(笑)
ドイツでも、4月1日もしくは時差の影響で3月31日です。
また、日本もドイツも西暦を使用しているため、「年」の認識が食い違ってしまうこともありません。
しかし、日本とドイツのカレンダーを比較すると、2つの大きな違いがあることに気が付きます。
今回は、その日本とドイツのカレンダーや暦の違いについてご紹介します。
・これからドイツに引っ越す予定の方
・ドイツのカレンダーに興味のある方
・ドイツの祝日に興味のある方
不公平なドイツの祝日
まず、日本とドイツの祝日の違いについてです。
国によって祝日が違うのは当たり前のことで、日本とドイツでは、祝日に指定されている日や祝日の意味、そして年間の祝日日数が異なります。
日本では、年間計16日が国民の祝日に指定されています。
それは、北海道であっても沖縄であっても東京であっても同じです。
その一方で、「ドイツの年間祝日数は?」と聞かれると…、一言で答えることができません。
ドイツには計16の連邦州(アメリカの州に相当するもの)があるのですが、その連邦州ごとに祝日に指定されている日や日数が異なっているからです。
もちろん、ドイツ全国で祝日となっている日もあります。
例えば、1月1日の元旦や、10月3日のドイツ統一の日、12月25日と26日のクリスマスなどで、計9日間あります。
そして、全国共通の9日間の祝日に加え、ドイツの一部でのみ祝日となる日があります。
例えば、国際的な都市であるベルリン州では、3月8日の国際女性デーが祝日になっています。
また、10月31日もしくは11月1日のどちらか1日は、ベルリン州とフランクフルトのあるヘッセン州以外で祝日となります。
バイエルン州にあるアウクスブルク市では、毎年8月8日が祝日に指定されています。
バイエルン州全体ではなく、アウクスブルク市限定の祝日なので、同じバイエルン州にありアウクスブルクから60km程しか離れていないミュンヘンでは祝日ではありません。
ちなみに、ドイツの祝日は、ほとんどキリスト教関連のものだよ!
このように、州(一部市区町村)によって祝日に定められている日が異なるので、その結果として、年間の祝日日数にも差が出てきます!
一番祝日の少ないベルリン州やブレーメンなどでは、年間10日しか祝日がありません。
その一方で、ミュンヘンのあるバイエルン州では年間13日で、バイエルン州の中でもアウクスブルク市では年間14日の祝日が定められています。
祝日が休みである大半の労働者にとって、年4日も差があるのは不公平に感じるよね…。
年間祝日数が11日のデュッセルドルフ(ノルトライン・=ヴェストファーレン州)で生活し働く僕も、バイエルン州の人は休みが多くていいなと思うことが度々あるよ!
でも、ノルトライン=ヴェストファーレン州よりも祝日の少ないベルリン州とかに住んでいなくて良かったね(笑)
ここで疑問として浮かぶのが、リモートワークで仕事をしている人はどの州の祝日が適用されるのかということです。
もし、ベルリン州に住んでいて、ベルリン州にオフィスのある企業で働いているのであれば迷うこともありません!
疑いの余地もなく、ベルリン州のカレンダーに従って祝日の仕事休みとなるわけです。
しかし、2020年のコロナ騒動を境にリモートワークが普及した現在では、基本的にオフィスに行かず、完全リモートで仕事をする人も増えています。
そうなると、例えば、フランクフルトに住んでほぼ毎日リモートワークをしているが、企業のオフィス所在地は、別の州にあるデュッセルドルフといったケースも出てきます。
このように、企業のオフィスが別の都市にあり、リモートワークが前提であるということが雇用者と被雇用者の間で合意できている場合、雇用契約書にその旨が明記されているはずです。
筆者の場合、勤めている企業のオフィス所在地がベルリンなのに対し、住んでいるのがデュッセルドルフでほぼ毎日リモートワークをしているので、その旨が雇用契約書にも記載されています。
言い換えれば、契約書上の勤務地は、ベルリンとは別の州に属するデュッセルドルフとなっているわけです。
それ故に、筆者は、デュッセルドルフのあるノルトライン=ヴェストファーレン州のカレンダーに従って勤務をしています。
つまり、ベルリン州で祝日となる3月8日は勤務し、ベルリン州では祝日でないもののノルトライン=ヴェストファーレン州で祝日である11月1日は休みとなるわけです。
これは、1つの企業においてリモートワークをする社員がドイツ各地に点在している場合、若干カオスな状態になることを意味しています。
例えば、1つの企業において、リモートワークをしている社員が10州に存在している場合、その企業には10のカレンダーもしくは祝日パターンがあることになります!
そうすると、今日は同僚から連絡のない静かな日だなと思ったら、大半の同僚が祝日で休んでいたり、本人から特別何も聞いていないけど今日は同僚がいないなと思ったら、その同僚だけが祝日だったりということが起こります。
社内の会議で、「私は明日祝日だからいません」的なことも良く聞く話です。
普通の社員にとっては単なる笑い話のようなものですが、それを管理する人事担当者やプロジェクトマネージャーはさぞかし大変なことでしょう…。
ちなみに、ドイツのどこの州に住んでいようが、また勤務していようが、法定の年末年始休暇は1日間しかありません!
ドイツ全国で祝日に定められている1月1日のみです。
日本では、12月30日から1月3日まで休みの人も多いかと思いますが、ドイツでは基本的に連休ですらありません。
ちなみに、ドイツでは、クリスマスは、12月25日と26日が祝日になっているよ!
ドイツでは、新年よりクリスマスの方が大事と考える人が非常に多いから、当然と言えば当然ね!
もちろん、金曜日もしくは月曜日に1月1日が来れば、土日と合わせて3連休になります。
その一方で、2023年のように土日に1月1日が来てしまった場合は、普通の週末で年末年始休暇が終わってしまうので最悪です…。
年末年始が普通の週末もしくは3連休で終わると、やはり年末年始感をだいぶ感じづらいです。
準備期間と余韻がなく、気が付いたら年越しして休む暇もなくまた仕事に戻るというような感じです。
もちろん、年末年始に有給休暇を自分で取得して、長期休暇にする人が多いのは、ドイツでも同じです!
ドイツでは、州に関係なく12月25日と26日がクリスマスで祝日なので、27日から31日も休んで10日もしくはそれ以上の連休にする人も多くいます。
同僚だけでなく取引先も休みであることが多いので、その時期に日本に一時帰国をする日系企業の在独駐在員も多いのではないかと思います。
それとは反対に、クリスマスと大晦日の間は、静かであまり物事も動かないから、喜んで仕事をするという人もドイツには多くいるよ!
ちなみに、12月24日(クリスマスイブ)と12月31日(大晦日)については、企業によっては独自のルールで特別休暇を社員に与えています。
企業によって、特別休暇なし、両日とも半休(午前のみ勤務)、両日とも完全休みの3パターンがあります。
(もしかしたら、クリスマスイブは全休、大晦日は半休のような変わった会社もあるかもしれませんが…。)
その2日間に対して特別休暇が付与されない場合は、両日とも通常通り仕事をすることになります。
しかし、実際には、多くの企業で半休もしくは全休と決められていますので、クリスマスイブと大晦日に働く人は少数派です。
ドイツのカレンダー、日曜日はどこ?
次に、カレンダーの表記による違いです。
端的に言うと、日本のカレンダーは日曜日始まり土曜日終わりになっていて、日曜日が左端に、土曜日が右端に表記されていると思います。
その一方で、ドイツのカレンダーでは、月曜日始まり日曜日終わりになっています!
つまり、ドイツのカレンダーを見ると、月曜日が左端にあり、日曜日が右端に表記されています。
日本のカレンダーしか見たことがない、もしくはドイツのカレンダーしか見たことがないという場合は、問題ないでしょう。
しかし、日本のカレンダーに慣れ親しんだ日本人がドイツのカレンダーを見ると、混乱してしまいます!
日曜日を示す赤字の日が右端にあるのは、日本のカレンダーに慣れ親しんだ日本人にとって視覚的に違和感があるよね…。
筆者は、計4年以上ドイツで生活していますが、ドイツのカレンダーにはいまだに慣れません。
もちろん、カレンダー上での曜日の場所が1つずつずれていることは認識しているので、ゆっくり考えれば間違えることはありません。
しかし、カレンダーをさっと確認する時は、日曜日だと思っていた日付が月曜日であったり、土曜日だと思っていた日付が日曜日だったりと、間違えてしまうことがあります…。
筆者は、仕事の都合上、顧客とのミーティングを設定するためにドイツのカレンダーをよく見るのですが、今までに2回ほど、仕事でカレンダーを読み間違えてしまったことがあります。
そうでなくても、ドイツのカレンダーを見る時は、いつも慎重に日付と曜日の組み合わせを確認しています!
10年ぐらいドイツのカレンダーを見続ければ慣れるのかなー。
その時は、今度は日本のカレンダーを読み間違えてしまいそうな気もするけどね(笑)
まとめ
- ドイツは州(および自治体)によって祝日日数が異なる
- 祝日が最も多い州(および自治体)と最も少ない州の差は、年4日もある
- 完全リモートワークで勤務している場合、基本的に居住地のカレンダーと祝日に従う
- ドイツの法定の年末年始休暇は1日しかない
- ドイツのカレンダーでは、月曜日が左端にあり、日曜日が右端に表記されている
上述した通り、ドイツで祝日が最も多い州(自治体)と最も少ない州(自治体)では、4日間の差があります。
また、ドイツの最低賃金は、2024年4月下旬現在12.41ユーロ(=約2,000円)です。
つまり、祝日が4日少ない州に住む一般的な労働者は、最低約400ユーロ(=約67,000円)分も無給で労働させられているというように考えることもできてしまいます。
宗教離れがドイツでも進んでいるので、宗教に関連する祝日が大半を占めるドイツの祝日も、いつか全国統一される日が来るのかもしれませんね!
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