ドイツといえば、「ビール」「ソーセージ」などが思い浮かびますが、実は「パン大国」でもあります。
ドイツのパン文化は非常に深く、2014年にはドイツのパン文化そのものが無形文化遺産に登録されています。
ドイツ語ではパン屋を 「Bäckerei(ベッカライ)」 と呼び、町のあらゆる場所で見かけるのが特徴です。
ドイツ人にとってパンは、朝食やランチ、おやつにも欠かせない存在で、ドイツ人の生活に深く根付いています。
この記事では、ドイツのパン屋で売られているパンの種類・人気のパン・注文方法・楽しみ方までを、これからドイツ旅行や移住を考えている人にも分かりやすく紹介します。
ドイツのパン屋に初めて行く方にも参考になる内容です。
- 近々ドイツへ引っ越す予定の方、またはドイツへの旅行を検討中の方
- ドイツのパン屋に興味のある方
- ドイツのパンに興味のある方

ドイツのパン屋(Bäckerei)とは?日本との大きな違い
ドイツのパン屋は、日本の「おしゃれなベーカリー」とは少し違い、どちらかというと「町のパン屋さん」という雰囲気が強いです。
とにかく店舗数が多く、駅構内、住宅街、ショッピングモールの中など、少し歩けば必ずと言っていいほどパン屋が見つかります。
また、ドイツのパン屋は「おしゃれなカフェ」というよりも、生活インフラに近い存在です。
朝は出勤前にBrötchen(小さなパン)を買い、昼は軽食、週末には家族分のパンをまとめ買いする、という使われ方をしています。
店内には大きなショーケースがあり、その中に焼きたてのパンが並んでいます。
日本には、パンがショーケースに入っていない状態で並べられ、自分でトングを使って取ることも多くあります。
確かにドイツでもセルフサービスのパン屋は多くありますが、日本のようにショーケースにも入っていないパンを自分で取ることは稀です。
また、お店によっては、カフェスペースが併設されていて、コーヒーと一緒にパンを楽しめることもあります。
さらに、スーパーマーケットの中にもパン屋が入っていたり焼きたてパンコーナーが併設されていたりすることが多く、買い物ついでに気軽にパンを買えるのもドイツの特徴です。

ドイツのパンの種類はとにかく多い
ドイツは世界有数のパン大国で、パンの種類は3,000種類以上あるとも言われています。
ライ麦を使った黒っぽいパンから、小麦の白いパン、種やナッツが入ったものまで、本当にバリエーション豊富です。
全体的には、ドイツのパンは日本のふんわり柔らかいパンとは異なり、ずっしりとした食べ応えのあるものが多いです。
特にライ麦を使った「黒パン(Schwarzbrot)」は、ドイツのパン文化の代表格といえます。
ちなみに、日本でもよく見かけるトースト用の食パンは、ドイツ人にとっての「パン」とは少し異なるようです。
以下では、ドイツの一般的なパン屋で売られているパンの種類をいくつかご紹介します。
ライ麦パン(Schwarzbrot / Roggenbrot)
ライ麦を使ったパンは、しっとりしていて硬く少し酸味があります。
食物繊維が豊富で健康に良いとされ、特にドイツ人の間では人気があります。
ドイツ人は、これを薄くスライスして、朝食や夕食にチーズやハムと一緒に食べることが多いです。

ヴァイツェンミッシュブロート(Weizenmischbrot)
ライ麦と小麦がミックスされたパンで、ライ麦100%のパンに比べて酸味が少なく食べやすいのが特徴です。
こちらも、ドイツの家庭では日常的に食べられています。
小麦の割合がライ麦より多い場合はヴァイツェンミッシュブロート(Weizenmischbrot)と呼ばれ、ライ麦の割合が小麦より多い場合はロッゲンミッシュブロート(Roggenmischbrot)と呼ばれます。

プレッツェル(Brezel)
ドイツのパン屋で必ず見かけるのが、あの独特な形の「プレッツェル」です。
ドイツ語の発音をそのままカタカナで書くと「ブレーツェル」が近いです。
外はパリッとしていて、中はもちっとした食感。
塩がまぶされているのが一般的ですが、バターが挟まった「Butterbrezel」も人気です。
また、このプレッツェルに野菜やハムなどが挟まったサンドイッチや、チーズがコーティングされたものもあります。

ブレートヒェン(Brötchen)
日本のロールパンに近い存在ですが、表面がガリッとしているのが特徴です。
朝食の定番で、バターやジャム、ハムやチーズを乗せたり挟んだりして食べます。
Brötchenにも複数の種類があり、
- プレーン
- ゴマ付き
- ケシの実付き
- 全粒粉タイプ
など、パン屋ごとにも微妙に違います。
また、Brötchenは地域によって呼び方が変わるのも面白いポイントです(例:デュッセルドルフでは「Brötchen」、ベルリンでは「Schrippe」、南ドイツでは「Semmel」)。

ラウゲンエッケ(Laugenecke)
「ラウゲン(Laugen)」とはプレッツェルと同じようにアルカリ液(ラウゲン液)につけて焼いたパンのこと。
「エッケ(Ecke)」は「角」という意味なので、Laugenecke は要するに三角形のプレッツェルパンです。
表面はカリッとしていて、バターが練り込まれているため風味豊かで軽食にもぴったりです。

クロワッサン(Croissant)
クロワッサンはフランス発祥ですが、ドイツのパン屋にも必ずと言っていいほど置かれています。
バターの風味豊かで、サクサクとした食感が特徴です。
プレーンのもの以外にも、チョコレート入り(Schokocroissant)、アーモンド入り(Mandelcroissant)、ピスタチオ入り(Pistazien-Croissant)などのバリエーションがあります。
朝食やコーヒーのお供にもぴったりです。

サンドイッチ
ブレートヒェン(Brötchen)や大きいパンを薄くスライスしたものを使ったサンドイッチは、手軽な朝食やランチ、そして夕食としても人気です。
ハムやチーズ、サラミ、卵など、様々な種類があります。
特に、ラウゲンエッケ(Laugenecke)やラウゲンシュタンゲ(Laugenstange)を使ったサンドイッチは美味しいので、試してみる価値ありです!

ドイツのパン屋で見かける人気の甘いパン・ペストリー
ドイツのパン屋は「食事パンが中心」という印象がありますが、甘いパンも充実しています。
アプフェルタッシェ(Apfeltasche)
アプフェルタッシェ(Apfeltasche) は、パイ生地の中に甘く煮込んだリンゴが詰められたペストリーです。
日本でいう「アップルパイ」にかなり近いですが、もう少し軽めの食感です。
シナモンが効いていることが多く、温めるとさらに美味しくなります。
おやつや軽食として人気があります。

クヴァルクタッシェ(Quarktasche)
「Tasche(タッシェ)」は「ポケット」や「袋」という意味で、Quarktasche は、パイ生地やデニッシュ生地の中にフレッシュチーズ(Quark)を詰めたペストリーです。
チーズケーキに似た味わいで、ほどよい甘さと酸味があり、比較的軽い口当たりです。
おやつやデザートにも人気です。

ヌスシュネッケ(Nussschnecke)
「シュネッケ(Schnecke)」とはドイツ語で「カタツムリ」の意味で、渦巻き状になった甘いパンを指します。
Nussschnecke は、ナッツがたっぷり入った渦巻き状のパンです。
香ばしいヘーゼルナッツやアーモンドのペーストが生地に練り込まれ、表面には甘いアイシングがかかっています。
コーヒーと一緒に食べると相性抜群です。

クヴァルクベルヒェン(Quarkbällchen)
Quarkbällchen は、小さなドーナツのような見た目の甘いお菓子です。
生地には「Quark(クヴァルク)」というドイツのフレッシュチーズが練り込まれており、ふんわりしっとりとした食感が特徴です。
揚げた後に砂糖がまぶされており、一口サイズで食べやすいので、ついつい手が伸びてしまう美味しさです。

クラプフェン / ベルリーナー(Krapfen / Berliner)
ドイツ版のジャムやクリームの入ったドーナツです。
地域によって名前が異なり、ミュンヘンなどがあるバイエルン州では「Krapfen」、デュッセルドルフやハンブルクでは「Berliner」と呼ばれます(ちなみに、ベルリンでは「Pfannkuchen」と呼ばれるため、観光客にはちょっと紛らわしいです)。
揚げたパン生地の中にアプリコットジャムやイチゴジャム、チョコレートクリームなどが入っていて、表面に粉砂糖やアイシングがかかっています。
特にカーニバルやファッシング(Karneval / Fasching)の時期に数多く販売され食べられます。

シュトレン(Stollen)
クリスマスの時期になると登場する、ドライフルーツやナッツ、マジパンが入った甘いパンです。
粉砂糖がたっぷりまぶされていて、クリスマスや冬のイメージにぴったりです。
クリスマスの4週間前から薄くスライスして少しずつ食べるのが、伝統的な食べ方とされています。

ケーキやペストリー(Gebäck)
ドイツのパン屋には、パンだけでなくスイーツも豊富に並んでいます。
既にご紹介した甘い菓子パンだけでなく、チョコレートやフルーツを使ったケーキが5〜10種類程度売られていることが多いです。
例えば、シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ(Schwarzwälder Kirschtorte)やツヴェッチゲンクーヘン(Zwetschgenkuchen)などが有名で人気です。
また、クッキーが売られていることも多くあります。

ドイツのパン屋での注文方法|初めてでも大丈夫?
ドイツのパン屋は、ほとんどが対面式です。
日本のようにトレーを取って自分でパンを取るスタイルは少なく、一般的にはカウンター越しに店員さんに注文します。
注文の仕方とよく使うドイツ語フレーズ
- 欲しいパンの名前および個数を伝える(例:「Zwei Brezeln, bitte.」)
- 持ち帰り or 店内で食べるか伝える(「Zum Mitnehmen」=持ち帰り、「Hier essen」=店内)
- 注文を終了する(例:「Das war‘s.」)
- お会計(ほとんどのパン屋でカード払いOK)

チップは必要?
基本的にパン屋ではチップは不要です。
カフェスペースを利用した場合は、お釣りの小銭を置く程度のチップ(約5〜10%)を渡すこともあるようですが、筆者は渡したことがありません。
コーヒーなどの飲み物もついでに
多くのパン屋では、コーヒーや紅茶、ココアなども販売されています。
朝の通勤時に、プレッツェルとコーヒーを買って行く人もよく見かけます。
ドイツのパン屋の雰囲気とマナー
ドイツのパン屋は回転が早く、並んでいる人が多いことも珍しくありません。
そのため、注文のやり取りに入る前に何を買うかある程度決めておくのが暗黙のマナーです。
また、レジ袋は基本的に有料なので、エコバッグを持参すると便利です。
パンは無料の紙袋に入れてもらえることが多いですが、量が多い場合は有料のプラスチックの袋が必要か聞かれることもあります。
まとめ:ドイツのパン屋は生活を知る入口
ドイツのパン屋は、観光名所ではありませんが、その国の暮らしを最も身近に感じられる場所です。
種類豊富なパン、シンプルな注文方法、地元の人の日常風景…
どれもドイツらしさが詰まっています。
ドイツ旅行中の朝食や軽食としてはもちろん、ドイツ生活を始めたばかりの人にも、ぜひ積極的にパン屋を利用してみてほしいと思います。
きっと、日本とは違うパン文化の面白さに気づくはずです。

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