ドイツでアパートを探していると、必ずと言っていいほど目にするのが「Schufa(シューファ)」という言葉です。
初めて聞いたときは、「何の書類?」「本当に必要なの?」と戸惑う人も多いのではないでしょうか。
実はこのSchufa、ドイツで生活するうえで欠かせない「信用情報」を管理する仕組み。
アパートを借りる時、家や車の購入にあたりローンを組む時…。
ドイツ社会では「信用」を数値で示す重要な存在です。
今回は、このSchufaの仕組みと、なぜアパート探しに関係するのかをわかりやすく紹介します。
・ドイツでアパートを探し中の方、もしくは近々ドイツでアパートを探す予定の方
Schufaとは?ドイツの「信用情報機関」
「Schufa」とは、正式名称をSchutzgemeinschaft für allgemeine Kreditsicherung(一般信用保護協会)といい、個人の信用情報を管理しているドイツ最大の機関です。
日本の「信用情報機関」や「クレジットスコア」にあたるもので、ドイツに住む人なら誰でもSchufaのデータベースに登録されています。
このSchufaは、銀行、クレジットカード会社、携帯電話会社、オンラインショップなどと連携しており、個人の契約履歴や支払い状況を記録しています。
例えば、クレジットカードを作ったり、分割払いをしたり、携帯電話の契約を結んだりすると、その情報がSchufaに報告されるようです。
その情報をもとに「スコア(Bonität)」が算出され、この数値が高ければ高いほど「支払い能力が高く、信頼できる」と判断されます。
一般的に、スコアが95%以上であれば良好とされますが、もし未払いがあったり、支払いが遅れたりすると、スコアが下がることもあります。
つまり、Schufaはドイツ社会における「信用の証明書」。
このスコアをもとに、様々な契約や審査が行われるのです。
なぜアパート探しに必要なのか?
ドイツでは、アパートを借りる際に「Schufa-Auskunft(シューファ証明書)」の提出を求められるのが一般的です。
これは、入居希望者が家賃をきちんと支払う能力があるかどうかを判断するための資料として、大家さん(Vermieter)や不動産会社が確認するためのものです。
特に都市部のベルリンやミュンヘンなどでは、人気物件の競争率が非常に高いため、Schufaを持っていないと応募自体が難しいケースもあります。
つまり、Schufaがない=信用の裏付けがないと見なされてしまうのです。
新しくドイツに来たばかりの人にとっては、これが最初のハードルになることも多いでしょう。
ドイツでまだ銀行口座や携帯契約などの実績がない場合、Schufaデータが存在しない、もしくはスコアが算出されていないことがあります。
その場合、不動産会社によっては、雇用契約書(Arbeitsvertrag)や収入証明書(Gehaltsnachweis)などで代替するケースもあります。
ドイツ博士僕は、1年分の家賃を先払いすることで、Schufaの証明書の提出を免除してもらえたことがあるよ!
いずれにしても、ドイツで「信用」を可視化する仕組みとして、(残念ながら)Schufaはアパート探しの第一関門とも言える存在です。
実際にどうやって取得するの?(体験を交えて)
Schufaの証明書は、オンラインでも一部の銀行の支店でも取得できます。
最も一般的なのは、Postbank(ポストバンク) や Sparkasse(貯蓄銀行) の窓口で申し込む方法です。
Postbankでは「SCHUFA-BonitätsCheck」というサービスを提供しており、支店の端末から申請できます。
私は実際にアパート探しのため、近くのPostbankでSchufaを発行してもらいました。
Postbankでは端末操作が中心ですが、職員が案内し、必要に応じて申請用紙や入力サポートを行ってくれます。
また、Sparkasseでは紙の申請書を使う場合もあるようです。
申請にあたり、端末や申請書に名前、住所、生年月日などの基本情報を記入し、パスポートや滞在許可証などの身分証明書で本人確認を行います。
特に問題がなければ、手続きは5分程で終わります。
Postbankでの端末を使用した「SCHUFA-BonitätsCheck」の手数料は、2025年11月現在で29.95ユーロです。
私の場合、申し込みから5日後ぐらいに、郵便でSchufaの証明書が自宅に届きました。
A4サイズの用紙には、自分の名前、住所、そして「スコア(Bonität)」の数値が記載されています。
私の場合は95%以上であったためで、「非常に信用度が高い(sehr gut)」との評価。
少し緊張しながら封筒を開けましたが、数字で「信用」が見えるのは新鮮な体験でした。
この証明書(Schufa-AuskunftもしくはSchufa-Bonitätsauskunft)は、アパートの応募書類にそのまま添付することができます。
家主や不動産会社は、この数値を参考にして「家賃を滞りなく支払えるか」を判断します。
また、公式サイト(meineschufa.de)からも申請が可能ですが、現時点ではドイツ語のみの対応です。
本人確認のための書類アップロードなども必要になるため、ドイツ語が苦手な方は、最初は銀行の支店での申請の方が安心かもしれません。
なお、年に1回だけ、無料の「Jahresauskunft(年間情報開示)」 を請求することもできます。
これは自分用の確認書類で、アパートの申し込みには使えませんが、自身の登録内容やスコアをチェックしたい時に便利です。
注意点とまとめ
Schufaはとても便利な制度ですが、いくつか注意しておきたい点もあります。
まず、支払いの遅延や契約トラブルがあると、その情報が長期間保存されるということ。
携帯電話料金やオンラインショップの後払いなども対象です。
小さな延滞でも記録が残る場合があり、それが将来の信用スコアに影響することがあります。
また、短期間に複数のクレジットカードやローンを申し込むと、スコアが一時的に下がることがあるようなので注意が必要です。
ドイツでは「申し込み履歴」も信用情報の一部と見なされるため、計画的に行動することが大切です。
とはいえ、日々の支払いをきちんと行っていれば、スコアは安定して保たれます。
家賃や公共料金、携帯代を期限内に支払うことが、最もシンプルで確実な信用維持の方法です。


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