気が付けばドイツ暮らしも計6年になります。
文化や考え方の違いを楽しみながらも、時々ふと「日本のあれがあったらなあ」と思う瞬間があります。
日本とドイツのどちらが優れているという話ではなく、単純に「あると嬉しい便利さ」。
今回は、そんな「ドイツにもあったらいいな」と感じる日本の物や仕組みをいくつか紹介します。
・ドイツでの生活に興味のある方
・ドイツに関する雑学に興味のある方
外食の場で恋しい「気配りの仕組み」
ドイツではレストランでの食事がゆったりとしていて、多くの人が時間を気にせず会話を楽しみます。
これはとても素敵な文化なのですが、日本の外食に慣れていると、注文したい時に店員さんがなかなか来てくれない、という場面で少し戸惑うことがあります。
そんな時に思い出すのが、日本のレストランに当たり前のように設置されている「呼び鈴(注文ボタン)」です。
ボタンを押せば、すぐに店員さんがやってきてくれる。
この仕組みは、効率だけでなく日本の「遠慮の文化」にも合っていると感じます。
大声で「すみません!」と呼ぶ必要もなく、他のお客さんの会話を邪魔することもない。
ドイツではおおらかな接客スタイルが一般的ですが、日本の呼び鈴文化には「相手に負担をかけない配慮」が詰まっています。

もう一つ、外食の時に恋しくなるのが写真付きメニューです。
ドイツのレストランでは文字だけのメニューが主流で、料理名から味や見た目を想像するのがなかなか難しいこともあります。
「Schnitzel(シュニッツェル)」や「Maultaschen(マオルタッシェン)」のような代表的な料理は味や見た目が分かるようになっても、季節限定メニューや郷土料理になると、どんな料理なのかピンとこない。
そんな時、日本のメニューのように写真が一枚あるだけで、選ぶ時に何倍も楽になるのにと思います。
写真付きメニューは、外国人旅行者にも優しい工夫。
見た目で選べる安心感と、料理への期待が高まるワクワク感。
その両方を与えてくれる、まさに「目で味わう」気配りだと改めて感じます。

移動をスムーズにする「テクノロジー」
ドイツは公共交通が発達しており、都市間の鉄道網も整備されています。
ですが、日常的に利用していると、「日本の交通系ICカードがあればなあ」と感じる瞬間が多くあります。
日本ではSuicaやICOCAなどをタッチするだけで改札を通過でき、コンビニや自販機の支払いまで可能。
移動と買い物がシームレスにつながっています。
あの「ピッ」という音は、まるで日常のリズムの一部のようでもあります。

一方ドイツでは、チケットを紙で購入するか、アプリで購入してQRコードを表示するスタイルが主流です。
これも便利ではありますが、買うべきチケットがわからないことによる戸惑いや、アプリを開く手間、そして電波が悪い場所での読み込み遅延など、ちょっとしたストレスを感じることも。
「タッチ一つで支払い完了」という日本のスムーズさを体験していると、やはり物理的にも心理的にも「軽さ」が違うと実感します。
2023年からは、ドイツでも「Deutschlandticket(ドイチュラントチケット)」という月額制の全国乗り放題制度が始まり、スマホアプリの普及もどんどん進んでいます。
しかし、日本のICカードのように物理カードへのチャージで気軽に使えるシステムは、まだ一般的ではありません。
観光客や一時滞在者にとっても、あの手軽さと「間違ったチケットを買ってしまい無賃乗車になることがない」という安心感はありがたいものです。
また、交通系ICカードが買い物や自販機、カフェでの支払いにも使える点は、キャッシュレス化が進む今のドイツにもぴったり合う気がします。
「電車もバスも買い物も、この一枚でOK」という日本の仕組みは、便利さだけでなく、都市生活の効率化という点でも大きなヒントになるのではないでしょうか。
(まあ、結局クレジットカードも持って行くのであれば、すべての支払い機能を一枚にまとめる必要はないのかもしれませんが…)
快適な住まいを支える「家電文化」
ドイツの家はしっかりした造りで断熱性も高く、冬は暖かく夏は比較的涼しいのですが、近年の猛暑を経験すると、やはり日本のエアコンが恋しくなります。
多くのドイツ家庭では、いまだに扇風機や窓の開閉で温度調整をしていて、真夏の夜に寝苦しさと格闘する日も少なくありません。
日本のように冷暖房が一体化したエアコンがあれば、季節を問わず快適に過ごせるのに、と感じることがあります。
また、日本のエアコンは機能面でも非常に優れています。
温度設定の正確さ、静音性、省エネ性、タイマー機能など、使う人の生活リズムに寄り添ってくれる感覚があります。
ドイツの「シンプルで頑丈」な家電文化とはまた違い、「使う人を思いやるデザイン」が日本らしいと思うのです。

もうひとつ、恋しくなるのが自動お風呂沸かし器(追い焚き機能)。
ドイツでは基本的にシャワー文化で、湯船にお湯を張る習慣があまりありません。
たまにバスタブ付きの部屋に住むと、お湯の温度管理が難しく、ぬるくなってしまったお湯をどうしようかと悩むこともあります。
日本の「お風呂が沸きました」というアナウンスは、今思えば本当に贅沢な体験。
家族が時間をずらしても快適に入浴できる、あの便利さと快適さは、一度慣れると手放せません。
お湯の温度を自動でコントロールする技術は、「快適さを細かく調整する」という日本的な発想の象徴のように感じます。
忙しい日々の中で、ボタン一つで安心できる時間を作ってくれる。
それは、単なる家電以上の「癒やし」の文化なのかもしれません。

日本では当たり前のきめ細かなサービス
ドイツの生活は日本よりも全体的に落ち着いていて、無理のないテンポで時間が流れています。
そのゆったりした雰囲気は好きなのですが、「日本の便利さ」が恋しくなる瞬間も多くあります。
例えば、コンビニエンスストア。
ドイツにもスーパーやキオスク(小さな雑貨店)はありますが、日本のコンビニのように24時間営業で、公共料金の支払いから宅配受け取り、チケット購入までできる場所はほとんどありません。
日本では、ちょっとした用事がコンビニひとつで完結するあの安心感がありました。
夜中に急に必要なものを思い出しても、歩いて行ける範囲に開いているお店がある。
その「いつでも頼れる存在」は、ドイツではあまり見当たりません。

もう一つ、生活の中で強く感じるのが、日本の宅配サービスの便利さ。
ドイツでも配送システムは整っていますが、不在時に荷物が近所の代理店や近所の人に預けられてしまうことが多く、再配達は基本ありません。
日本の宅配便は、配達時間の指定や再配達の柔軟さが驚くほどきめ細かい。
アプリで簡単に再配達依頼ができるなど、ユーザー目線の設計が本当によくできています。
こうした「ユーザー目線のきめ細やかな便利さ」は、まさに日本のサービス文化の真髄だと思います。

最後に
こうして振り返ってみると、日本の便利さは「効率の良さ」だけでなく、「人を思いやる小さな工夫」に支えられていると感じます。
レストランの呼び鈴もICカードもコンビニも、誰かが少しでも快適に過ごせるようにという気遣いの延長線上にあるのではないでしょうか。
一方で、ドイツの暮らしには、労働者目線での「無理をしない」「シンプルに生きる」という心地良さがあります。
お店が日曜日に閉まるのも、家族と過ごす時間を大切にするため。
便利さと引き換えに失われがちな「ゆとり」が、ドイツではいまだにしっかり根付いています。
日本の繊細な便利さと、ドイツの穏やかな暮らし。
この2つの良さを上手く融合できたら、もっと心豊かな日常が生まれるかもしれません。
今日もそんなことを考えながら、静かなドイツの街へ散歩に出掛けてきます!

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