ドイツで暮らしていると、何かとお世話になるのが「修理業者」や「大型配送業者」。
家具の搬入および設置、ネット回線の工事、キッチンの修理など、生活インフラの裏には、必ず彼らの存在があります。
ただし、日本の感覚で待ち構えていると、びっくりの連続。
時間は守ってくれない、土足でずかずか自宅に上がり込む、挙句の果てに私物まで使われる!?
最初は「これはハズレの業者を引いてしまっただけなのでは」と思いました。
しかし、残念ながらそんなことはありませんでした…。
今回は、私が実際に体験した「ドイツの業者あるある」を、注意喚起の意味でお届けします。
・ドイツで近々業者にお世話になる予定の方
・ドイツへ引っ越す予定の方、もしくは引っ越して間もない方
・ドイツでの生活に興味のある方
日時指定の曖昧さと時間感覚の違い
まず最初に驚いたのが、時間のゆるさです。
日本では「〇日の10時に伺います」と言えば、10時ちょうどか、むしろ9時55分にインターホンが鳴るもの。
せめて、10時10分頃でしょう。
しかし、ドイツではそうはいきません。
例えば、業者から届くメールにはこう書かれています。
「お伺い予定:10月12日 午前8時〜午後2時の間」
……いや、6時間も幅があるの!?
しかも、当日になってもそれ以上の連絡は特になし。
その間ずっと家で待機するしかなく、ちょっとした「監禁状態」になります。
午前中に来ると思っていたら、6時間近く待った午後1時55分にようやくチャイムが鳴った、なんてこともありました。

なぜこんなことになるのかというと、ドイツでは「一日のスケジュールをざっくり組む」文化が根強いから。
渋滞や前の現場の作業時間のズレを考慮して、最初から大きく見積もっておくのです。
彼らにとって午前8時〜午後2時という時間指定は、「その時間帯の中のどこかで行ける時に行くよ」という意味でしかありません。
疑問ちゃん待たされる顧客側からすると、不便極まりないよね…。
そんなわけで、ドイツで業者を呼ぶときは、その時間帯、できればその日の予定をまるごと空けておくのが鉄則です。
もしどうしても外出が必要なら、業者に電話して「あと何分で来そう?」と聞くのもアリ。
無反応なことも多いですが、たまに「たぶんあと1時間くらい」と返ってくることもあります(信じすぎは禁物ですが…)。
遅刻は「当たり前」!?ドイツ流のゆるい時間感覚
そして、もう一歩踏み込むとわかるのが、「遅刻=失礼ではない」という考え方。
ある日、キッチンの蛇口の修理をお願いしたときのこと。
「午前9時から10時の間に来る」と言われ、きっちり掃除を済ませ、予定を入れずに身構えて待っていたのですが、
10時になっても来ず、10時半になっても来ず……。
11時半を過ぎて「あれ?私が日時を勘違いしている?」と不安になり始めたころ、ようやくインターホンが鳴りました。
現れた修理業者は、自らの大幅な遅刻に対して謝罪することもなく、
「Hi!(やあ)」と真顔で登場。
まるで何事もなかったかのように上がり込み、作業を始めました。
遅れた理由を尋ねても、「前の現場での作業が長引いてね」と軽く言うだけ。
ドイツでは、「時間厳守」に焦点があてられることがあまりなく、「仕事をきっちり終える」ことばかりが大切とされているようです。
そのため、「前の作業を一時中断して次の顧客に遅刻の連絡をする」よりも、「目の前の作業に全力集中して、ひとつずつ丁寧に終わらせる」方がプロフェッショナルと考えられているようなのです。


つまり、彼らにとって遅刻は「誠実な仕事の結果」。
これは日本人にとってはなかなか衝撃的な価値観であり、そう簡単には受け入れられないものです。
こちらも一日中待ち続けるのは現実的ではありません。
「〇時を過ぎても来なければ一度電話を入れる」「約束の時間から1時間過ぎても連絡がなければ、次の日に回る可能性もある」といった心構えをしておくと、精神的に少しは楽になります。
残念なことに、ドイツでは、予定通りいかないのがむしろ通常運転。
そのくらいの気持ちで構えていると、いつの間にか「今日も来ないかもね」と笑えるようになるかもしれません。
靴は脱がないのが基本ルール
次にカルチャーショックを受けたのが、「靴」です。
日本では、自分の家だけでなく、他人の家に上がる時にも靴を脱ぐのは常識ですよね。
ところが、ドイツでは、業者は例外なく土足のまま入ってきます!
それもためらいゼロ!!
玄関を開けるやいなや、スニーカーのまま作業場所へ一直線。
「すみません、靴を脱いでもらえますか?」とドイツ語でお願いしてみたこともあります。
すると、彼は一瞬きょとんとした後、明らかに嫌そうな表情でこう言いました。
「会社の決まりで、靴は脱げません」
……会社の決まり!???
履いてきた靴が安全靴としても機能するのはわかります。
でも、その外でも履いた汚い靴をお客さんの自宅でも履けと会社側が指導しているというのは、本当に信じがたいものです。
せめて、作業用の靴を別に持ってきてもらいたいものです。


彼らにとって「お客様の家=仕事の現場」であり、他人の自宅というより単なる「作業スペース」という感覚なのかもしれません。



土足で自宅に上がられてそこら中を歩かれると、後で家じゅうを濡れ布巾で掃除しなくちゃいけなくなって、本当に面倒くさい!!!
玄関から、作業場所まで新聞紙や段ボールなどを敷いて道を作るという対策方法もあるかもしれません。
しかし、「何でお金を払っているこっち側がそんなことをしなくてはいけないのだろうか」と思わずにはいられません。
トイレ使用・玄関開けっぱなし問題
さらによくあるのが、自宅のトイレを使われることです。
30分足らずの作業であっても、その前後に当たり前のように「トイレ借りますね」と言って(あるいは断りを得ずに)使っていく業者がいます。
日本なら少し遠慮する場面ですが、ドイツではごく自然なことのようです。
この行為も、日本人にとってはビックリなことですが、公衆トイレが日本と比べてまったく普及していないドイツでは、仕方ないことなのかもしれません。
ドイツの公衆トイレが基本的には有料である点も、お客さんの家のトイレの使用に関係しているのかもしれません。
「業務中にトイレを借りる=必要なこと」と考えられており、業者側に悪気はまったくありません。
むしろ断る方が失礼だと受け取られることもあるようです。
なので、業者が来る日は念のためトイレ掃除を済ませておくのが無難です(笑)


そしてもう一つ驚くのが、玄関ドアを開けっぱなしにする業者が多いことです。
作業のための出入りがあるとはいえ、真冬に外気が入り込み、部屋の中が一気に冷えることもあります。
さらに、防犯的にもあまりよろしくないですよね。
私は最初の頃、寒さに震えながらも何も言えずにいましたが、今では「寒いのでドアを閉めてもいいですか?」と遠慮なく伝えるようにしています。
ドイツでは「自分の希望をきちんと口に出す」ことがむしろマナー。
黙って我慢するよりも、はっきり言う方が相手も気持ちよく応じてくれます。
勝手な使用・喫煙など、日本人が驚く行動
これはさすがに想定外でした。
あるとき、キッチン設置工事に来た業者が、作業中に私のキッチンペーパーを勝手に使い始めたのです。
「まあ、キッチンペーパー数枚ぐらいならいいか」と思っていたら、次は食器拭き用の布巾まで!
しかも、帰る時にはそのまま床の隅に置きっぱなし…。
またその業者は、ベランダで突然タバコを吸い始めもしました。
もちろん一言の断りもなく吸い始め、しまいには吸い殻を4階から中庭に向けてポイッ!!
思わず言葉を失い、後日苦情の連絡もいれました。


もちろん、すべての業者がそうというわけではありません。
丁寧で礼儀正しい人もたくさんいます。
ただ、「他人の家であっても作業場」という意識が強いからか、日本のように「他人の家だから遠慮しよう」という気持ちは明らかに薄いと感じます。
対策としては、作業前に
「キッチンの物は使わないでください」
「喫煙はベランダであっても禁止です」
など、先に伝えることが大切です。
日本的な「常識的に考えてほしい」とか「空気を読んでほしい」は通じないと思った方が良いです。
ドイツでは「はっきり言う=誠実なコミュニケーション」とみなされるので、少し勇気を出して主張してみましょう。
ドイツ的「プロ意識」の考え方
ここまで読むと「なんてマナーが悪い国なんだ!」と思われるかもしれませんが、実は、多くの業者は丁寧に仕事をしてくれます。
遅刻しても、やり始めればテキパキと作業をこなし、配線の処理も正確、修理の仕上がりも完璧。
ミスがあれば必ず自分でやり直してくれます。
(もちろん作業が雑な業者もいますが…)


ドイツでは、「プロは結果で語る」といったような考え方が強く、時間や態度よりも「完成度」と「責任」を重視しているようです。
つまり、彼らの中では「終わり良ければ総て良し」という考え方なのです。
文化の違いを知ると、多少のズレも受け入れられるようになります。
それでもやっぱり、少しは時間厳守や常識にも注意を向けてほしいものですね。
最後に
ドイツで業者を呼ぶと、日本の常識が「グローバルスタンダードではない」ということかを思い知らされます。
時間は曖昧、靴は脱がない、トイレも使う。
でもそれは、彼らが不真面目だからではなく、「仕事とはこういうもの」という文化の違いにすぎないのかもしれません。
大切なのは、期待を日本ほど高く持ち、言いたいことははっきり伝えること。
事前に伝える、余裕を持つ、それでも不満な点があったらはっきりと伝える。
そんな心構えでいれば、ドイツ生活におけるストレスを減らすことができるでしょう。
最初は驚きの連続でも、やがて「今日も時間通りじゃないな」と笑って受け流せる日がくるのかもしれません。
それが、異文化の中で暮らす楽しさのひとつなのかもしれません。


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