ドイツ語を学んでいると、「unter 18」「nach Sonntag」など、数字や日付を伴う表現が頻繁に登場します。
でも、これって「18歳を含むの?」「日曜日も含むの?」と迷うこと、ありませんか?
この記事では、日本人にとって特に混乱しやすいドイツ語の前置詞について、その値が含まれるのかどうかを中心に整理してご紹介します。
- ドイツ語初級~中級レベルの方
- ドイツへ引っ越したばかりの方、もしくはドイツへ引っ越す予定の方
含まれる?含まれない?代表的な単語一覧と考え方の基本
ドイツ語では、ある基準(数字・年齢・日付・時刻など)を「含むのか、含まないのか」が、前置詞の種類によって変わります。
まずは、よく使われる単語とその傾向をざっくり把握しておきましょう。
以下は、数値や日付と一緒によく使われる語と、その「含む・含まない」の目安を整理したものです:
ドイツ語 | 日本語訳 | 含む? | 備考 |
---|---|---|---|
unter | ~未満 | 含まない | 「18歳未満」はunter 18 Jahre |
über | ~より多い | 含まない | über 65 Jahre は「65歳超」 |
bis | ~まで | 原則含まない | bis Montag = 日曜の夜までに |
ab | ~以上(起点) | 含む | ab 18 Uhr = 18時ちょうどから |
nach | ~の後に | 含まない | nach Sonntag = 月曜以降 |
seit | ~以来 | 含む | seit 2020 = 2020年からずっと |
zwischen | ~の間 | 両方含む(原則) | zwischen 1 und 10 = 1〜10 |
von … bis … | ~から~まで | 基本的に両方含む | bisの後に置かれる値を含まないこともある |
ドイツ語では、「bis」は英語の「until」に近く、日本語で言う「〜まで」と訳されることが多いですが、厳密には「その直前まで」というニュアンスです。
ただし、例外として、口語ではその値を含むこともあるので、何とも紛らわしい単語です。。。
また、「nach」もその値を含まない点に注意が必要です。
一方、「ab」や「seit」は、起点を含む表現として使われます。
これらの傾向を覚えておけば、多くの混乱を避けることができます。
紛らわしい具体例と日常会話での注意点
ここでは、実際によく目にする表現を例にして、「含まれるのかどうか」や、その文脈による違いについて詳しく見ていきます。
📌 「unter 18 Jahre alt」
この表現は、日本語では「18歳以下?」と思ってしまいがちですが、実際には「18歳未満」です。
つまり、18歳は含まれません。
例えば:
Diese Veranstaltung ist nur für Personen unter 18 Jahre alt.
→ このイベントは18歳未満の人のみ対象です(18歳の人は入れません)。
📌 「bis Sonntag」
これは「日曜日まで」と訳されますが、(原則として)正確には「日曜日になるまで」という意味です。
原則的にはその値を含まない(=日曜日の直前=土曜の終わりまで)と考えるのが基本ですが、口語では「日曜日の終わりまで」という意味で使われることもあります!

時と場合によって、その値を含んだり含まなかったりするのややこしすぎるわ…。
Ich bleibe bis Sonntag.
→ (一般的には)日曜の朝〜午後くらいまでには出発するイメージ。
※ 正確に「日曜を含む」と言いたい場合は「einschließlich Sonntag」などを使うと明確です。
📌 「nach Sonntag」
こちらは、日曜日の後、つまり月曜日以降という意味です。
ドイツ語の「nach」は「〜の後に」という意味で、その日自体は含まれません。
Ich habe erst nach Sonntag Zeit.
→ 日曜日はまだ忙しい。月曜日から時間がある。
📌 「ab 18 Uhr」
これは「18時から」の意味で、18時を含みます。
つまり、18時ちょうどに始まるイベントや店の営業時間にぴったりです。
Die Vorstellung beginnt ab 18 Uhr.
→ 18時から開演。
📌 「über 65 Jahre」
「über」は「〜を超える」という意味なので、その数字は含まれません。
つまり、「über 65 Jahre」は「66歳以上」ということです。
Das Ticket ist für Personen über 65 Jahre.
→ 66歳以上の人が対象(65歳は対象外)。
これらの違いは、日常会話だけでなく、契約書・書類・ウェブサイトなどでも頻繁に登場する表現です。ドイツでは数字の扱いに厳密なケースが多いため、誤解を避けるためには注意深く確認しましょう。
ニュアンスが変わるグレーゾーンにどう対応すべきか
ドイツ語の前置詞には、基本的なルールがありますが、実際の会話や文章では文脈によって意味が変化するグレーゾーンも存在します。
そのため、「原則こうだけど、例外もある」といった柔軟な理解が必要です。
✔️ 文脈で判断される「bis」
ドイツ語の「bis」の意味の曖昧さについては、既に述べてきました。
例えば:
- “bis Sonntag” → 通常は「日曜になるまで」という意味ですが、「日曜日の夜まで含む」と解釈されることも。
こうしたケースでは、「明確にしたい時は一言補足を加える」のがポイントです。
Ich bin bis Sonntag in Japan, also am Sonntag nicht mehr.
→ 「bis Sonntag」の意味を明確にするために「日曜日は違う」と説明。
また、「einschließlich(〜を含む)」「ausschließlich(〜を除く)」などの副詞を加えることで、より正確に伝えることができます。
✔️ ドイツ人でも迷うことがある
実は、これらの前置詞の「含むかどうか」問題は、ネイティブのドイツ人でも混乱することがあるトピックです。
会話や説明で曖昧さを感じた場合は、遠慮せずに確認するのが最も確実です。
Meinst du mit „bis Sonntag“ auch den Sonntag?
→ 「日曜も含むってこと?」と軽く聞くだけでも誤解を防げます。
ドイツ語試験(B1/B2など)にも出やすいパターン
B1やB2レベルのドイツ語試験では、日付や年齢、時間に関する理解力が問われる文法問題や読解問題が出題されることがあります。
特に以下のような表現が頻出です:
- 「Kinder unter 12 Jahren zahlen die Hälfte.」
→ 12歳未満の子どもは半額(12歳は対象外) - 「Der Kurs beginnt ab dem 3. Mai.」
→ 5月3日から始まる(3日を含む) - 「Die Anmeldung ist bis einschließlich zum 31. Juli möglich.」
→ bisの後のeinschließlichという副詞により、通常は31日を含むことが明確である
このように、単語の意味そのものに加えて、「含む・含まない」の理解が正解に直結する問題が少なくありません。
書類や契約書などでの注意点(数字を含むかどうかで大きく意味が変わる)
日常会話なら多少の曖昧さが許容されることもありますが、契約書や公的書類では「含む・含まない」が法的意味を持つため、細心の注意が必要です。
例:住宅契約における「bis zum 31. Dezember」
例:Mietvertrag gültig bis zum 31. Dezember 2025.
→ これは「12月31日まで有効」であり、通常は31日を含まない、つまり30日までに退去が必要という意味になることがあります。
ただし、契約の全文中で「einschließlich」と明記されていれば31日を含むことになります。
例:請求書の支払期限「zahlbar bis zum 15. Mai」
→ 支払いが15日当日まで可能か、それとも14日までなのかが曖昧な場合、問い合わせが必要です。
疑問に思ったら、必ず確認すること!
間違った理解で支払い・解約・契約更新が行われると、損失やペナルティの対象になることも。
契約書で不明な場合、「bis einschließlich」や「spätestens am」などの明記を確認。
最後に
ドイツ語の前置詞や副詞には、基本的な意味がある一方で、「それが含まれるのか・含まれないのか」が文脈や分野によって変化するケースがあります。
特に「bis」という単語には要注意です。
- 日常会話では必要に応じて補足を加える、確認する
- 試験では文法ルールに忠実に
- 契約書や書類では一語一句に注意を払う
という姿勢を持つことで、不要なトラブルや誤解を防ぐことができます。
ドイツ語における「〜まで?」「〜以降?」の感覚に迷ったら、遠慮せず聞くことがベスト。
「日本語の常識で考えない」という柔軟な視点が、語学上達への近道です。
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