踏切は止まらない?右側通行?ドイツと日本の交通ルールの違いを解説

ドイツで生活するにあたって、交通ルールの違いに戸惑う日本人は少なくありません。

運転をしない人でも、徒歩や自転車で移動する中で信号や標識の違いに直面することがあります。
特に都市部では、交通ルールを正しく理解していないと、危険な状況を招くことも。

この記事では、ドイツと日本の交通ルールの主要な違いについて紹介し、ドイツで安全に日常生活を送るための基礎知識を提供します。

この記事は、こんな人におすすめ!

・ドイツの交通ルールに興味のある方
・ドイツでの車の運転を予定している方
・ドイツへの引っ越しを予定している方

目次

右側通行と左側通行の違い

日本では車も人も基本的に「左側通行」が基本ですが、ドイツを含むヨーロッパの多くの国では「右側通行」がルールです。
これは、道路を歩く時や自転車に乗る時にも大きな影響を与えます。

自動車の場合

ドイツでは車が右側を走るため、右折や左折の際の動きも日本と逆になります。
運転中は、左折の際に対向車に注意する必要がありますし、右折の際も自転車や歩行者が横断してくるケースに気を配らなければなりません。

歩行者・自転車の場合

歩道や自転車道でも「右側通行」が基本です。
特に都市部では、自転車専用レーンが設けられており、逆走すると非常に危険です。
自転車道はしばしば歩道と並走しており、知らずに自転車レーンを歩いてしまう日本人も多く見かけますが、これもトラブルの原因となり得るので注意が必要です。

一時停止のルールと標識の違い

「一時停止」標識の貴重さと見た目

そもそも、ドイツには「一時停止」の標識がほとんどありません

日本ではほぼ多くの交差点に、赤い逆三角形に白い文字で書かれた「止まれ」の標識や、道路に書かれた「止まれ」の文字があります。
日本で暮らしながらそれを見たことがない人はまずいないでしょう。

その一方で、ドイツではたいていの交差点で「一時停止」の標識が設置されていません。
歩行者ならびに車の交通量の多い交差点であっても、そのような標識を見かけることは稀です。

一応ドイツにも「一時停止」の標識がありますが、形に若干の違いがあります。
ドイツの「Stop」標識は、赤い八角形で「STOP」と書かれており、見た目はアメリカの標識に似ています。
見かけたらラッキーだと思って、記念撮影してみてはいかがでしょうか(笑)

踏切での一時停止の有無

日本では、遮断機の下りていない踏切や遮断機のない踏切であっても原則として一時停止が義務付けられています。

しかし、ドイツでは基本的に遮断機や信号のない踏切での一時停止義務はありません
電車の接近が視認できない場合や警告信号が点灯している場合を除いて、踏切はそのまま通過することが一般的です。
この違いに最初は驚く日本人も多く、「止まらなくて本当に大丈夫なのか」と不安になることもあるようです。

優先道路と「右側優先(Rechts vor Links)」ルール

ドイツでは、交差点での優先順位を示す標識や原則が明確に設定されています。
特に重要なのが「Rechts vor Links(右側優先)」の原則です。
これは、標識がない交差点においては、自分の右側から来る車両に道を譲るというルールです。

日本では交差点での「一時停止」が標準的で、お互い謙遜して譲り合うケースもありますが、ドイツではこの右側優先ルールがしばしば適用されるため、信号のない交差点では特に右側に注意する必要があります。
また、優先道路(Vorfahrtstraße)を示す白と黄色のひし形の標識が設置されていれば、そちらが優先されます。

信号のルールと挙動の違い

日本とドイツでは、信号機の表示やその使われ方にいくつかの違いがあります。
これを正しく理解していないと、思わぬルール違反や事故の原因になる可能性があります。

歩行者信号の仕組み

まず、歩行者信号について。
信号の変わるタイミングは日本より短いことが多く、青になってもすぐ赤になる傾向があるため、ノロノロとしていると青信号の間に交差点を渡り切れないことがあります。
歩行者としては、青に切り替わった瞬間に渡り始めることが重要です。

また、ドイツでは信号が赤の状態で道路を渡ることは軽い交通違反(Ordnungswidrigkeit)とされており、大人であっても罰金の対象になります。
特に子どもの見ている前で赤信号を無視することは、社会的なマナー違反としても厳しく見られます。

なお、ベルリンでは、多くの場所で「アンペルマン」と呼ばれる帽子をかぶった人型が信号で使われています。
この「アンペルマン」はベルリンの名物の一つですので、ベルリンを訪れる際はぜひ観察してみてください。

自動車信号の変化の仕方

日本では赤→青へと直接切り替わるのが一般的ですが、ドイツでは赤→赤+黄→青と変化します。
青になる前に「赤と黄」の信号が一瞬同時点灯するのは、ドライバーに「まもなく青になるので準備せよ」という意味で、日本にはない特徴です。

一方、青→赤に変わる際も「黄(のみ)」が表示されますが、これは「まもなく赤になる=止まる準備をしなさい」というサインです。
このタイミングで加速して通過しようとすると、非常に危険な上、信号無視として取り締まられる可能性もあります。

矢印信号の意味

ドイツでは、進行方向ごとの矢印信号(Grünpfeil)がよく使われています。
例えば、右折専用の青信号(矢印)などは、他の方向の車両が赤で止まっている中でも、右折だけは可能であることを示します。

また、補助標識としての「Grünpfeil(緑の矢印)」が信号機の脇についている場合、それは赤信号であっても一時停止した上で右折して良いという意味です。
日本でも、赤信号と緑矢印の組み合わせは見かけますね!

高速道路(アウトバーン)と制限速度の考え方

ドイツの交通文化で最も有名なものの一つが、「アウトバーン(Autobahn)」における制限速度のルールです。
これは多くの外国人にとっても衝撃的な違いとして認識されており、日本人にとっても興味深いポイントです。

制限速度がない区間も存在

日本では高速道路といえば「時速80km〜120km」の制限があるのが普通ですが、ドイツの高速道路(アウトバーン)には制限速度がない区間が存在します
このため、時速200km以上で走行する車も珍しくありません。

ただし、制限がないとはいえ、「推奨速度(Richtgeschwindigkeit)」として130km/hが設定されています。
事故の際の過失判断に影響を与えることもあるとされているため、速度無制限だからといってむやみやたらに超高速で走ることが推奨されているわけではありません。

制限速度がある場所も多数

ドイツの高速道路(アウトバーン)も、すべての区間で速度無制限というわけではありません
都市周辺や工事区間、事故多発地帯などではしっかりと速度制限が設けられています。

これらは電光掲示板や通常の標識で明示されており、この速度制限に従わない場合は違反となり、罰金の対象になります

走行車線の使い方と追い越しのルール

アウトバーンでは走行車線は基本的に右側で、左車線は追い越し用とされています。
遅い車が左車線を走り続けていると「通行帯違反(Mittelspurfahrverbot)」になる場合があり、他の車の妨げになる行為として危険です。

また、右側からの追い越しは禁止されています。
左車線にいる車が遅いからといって右側から抜かすと、重大な違反となるため注意が必要です。

疑問ちゃん

日本での車の運転に慣れている人にとっては、混乱してしまいそうだね!

サービスエリアや出口の案内標識

日本のサービスエリアにあたる「Raststätte(ラストシュテッテ)」や、トイレ・軽食のみの「Parkplatz(パークプラッツ)」もアウトバーン上には数多くあります。
それらを利用して適度に休憩を取りながら、安全に目的地へと向かいましょう。

自転車・歩行者に対するルールとマナー

ドイツでは、自転車も立派な「車両」として扱われており、そのルールやマナーは日本よりも厳格です。
歩行者に関しても、ルール遵守の意識が(日本ほどではありませんが)ある程度高く、公共空間での行動が整備されています。

自転車は原則として車道・自転車道を走る

日本では歩道を走る自転車も多く見られますが、ドイツでは原則として車道か専用の自転車道(Fahrradweg)を走行することが義務づけられています
特に市街地では自転車道が整備されていることが多く、歩道と隣接して赤や青の舗装で区切られている場合もあります。

この自転車道を歩行者が歩くと、邪魔になるだけでなく、事故の原因にもなります。
逆に、自転車が歩道を走っていると注意されたり、罰金の対象になることもあります。

夜間走行時のライトは義務

夜間に自転車で走行する際は、前後のライトの点灯が義務です。
反射材やベルも法令で義務付けられており、これらが整備されていないと、警察に止められることがあります。
これらの装備が整っていない中古の自転車を購入した際は、使用前に点検・整備をする必要があります。

歩行者用信号は必ず守る

歩行者に関しては、既に触れたように、信号の遵守が重視されています。
赤信号を無視して渡ると、大人であっても通報されたり、罰金を科される可能性があります。

特に子どもがいる場面では、社会的マナーとしても信号は必ず守るべきとされており、教育現場でもそのように指導されています。

疑問ちゃん

でも、実際には赤信号でも渡る歩行者が日本よりも圧倒的に多いのよね…。

車は歩行者に非常に配慮する文化

その一方で、ドライバー側は歩行者や自転車に強く配慮する文化があります。
例えば、横断歩道(Zebrastreifen)では、歩行者が渡ろうとする気配を見せただけでも、車は必ず停止しなければなりません
無視した場合は高額な罰金が科される可能性があります。

このように、お互いの立場を尊重し合う交通マナーがドイツの街を支えていると言えるでしょう。

最後に

ドイツと日本の交通ルールには、通行の方向、信号の仕組み、一時停止の考え方など、意外と多くの違いがあります。
これらを知らないまま行動してしまうと、ルール違反になったり、最悪の場合事故につながる可能性もあります。

しかし、事前に違いを理解し、現地のルールを尊重して行動すれば、ドイツでの生活はより安心で快適なものになります。
特に交通ルールは「文化」の一部でもあり、その違いに触れることでドイツ社会への理解も深まります。

運転免許を取得する予定がない人でも、歩行者や自転車利用者として知っておくべきポイントは多くあります。
この記事が、ドイツでの日常生活を少しでも安全に、そして楽しく過ごすための参考になれば幸いです。

ゆとり
ドイツ生活6年目のゆとりです。デュッセルドルフで2年半働き、現在は再度ミュンヘンで働いています。過去にミュンヘンで交換留学およびワーホリも体験しました。
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