ドイツでよく聞く「Notar」って何? 公証人の役割を簡単に解説!

ドイツで生活していると、「Notar(ノター)」という言葉を耳にすることがあります。
でも、「Notarって何をする人なの?」「どんな時に関わるの?」と疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。

実はこのNotar、ドイツでは人生の大事な場面で関わるとても重要な存在です。

本記事では、難しい法律用語をできるだけ使わずに、Notarの役割や使い方をわかりやすくご紹介します。

この記事は、こんな人におすすめ!

・ドイツで暮らしていて、「Notar」とは何か気になっている方

目次

Notarとは何者?

Notar(ノター)」とは、日本語では「公証人(こうしょうにん)」と訳される法律の専門家です。
国家資格を持った法律家であり、契約書や証明書などの重要な書類に法的な効力を持たせるために、確認・認証(これを「公証」といいます)を行う人です。

例えば、家を買う時、会社を設立する時、遺言を残す時など、人生の節目で使う重要な書類がきちんと法律的に有効であることを保証してくれます。
Notarは裁判官や弁護士とは違い、「中立の立場」で双方にとって公平に動くことが求められる職業です。

注:公証(こうしょう)とは…
契約や書類が「正しく」「有効に」作られたことを、法律の専門家が確認し、証明すること。日本の「公証役場(こうしょうやくば)」で行うのと同じような役割です。

どんなときにNotarが必要?

ドイツでは、ある種の法的な手続きにはNotarの立ち会いが「義務」とされています。

以下は、Notarが関与する主なケースです:

  • 不動産の売買契約
    ドイツでは、家や土地を売買するときには必ずNotarが間に入ります。
    個人同士で契約書を作って終わり、というわけにはいきません。
  • 遺言書の作成や相続手続き
    自筆の遺言書も認められていますが、確実に法的効力を持たせたい場合は、Notarを通じて作成・公証しておくのが安心です。
  • 結婚契約(Ehevertrag)や離婚の合意書
    将来の財産分与などを明確にしておきたいときにもNotarが必要です。
  • 会社設立の登記(GmbHなど)
    法人を立ち上げるには、Notarの元で必要な書類を作成し、登記手続きを進める必要があります。
  • 委任状(Vollmacht)や成年後見(Betreuung)に関する書類
    病気や高齢に備えて、誰かに法的な権限を託すときにもNotarを利用します。

このように、Notarは一部の特別な状況だけでなく、一般の人にも関係する場面で活躍しています。

具体的な利用例

それでは、Notarが実際にどのように使われるのか、身近な例で見てみましょう。

【例1】家を買う時

あなたがドイツで家を買うことになったとします。
買主と売主の間では「こういう条件で売ります/買います」という合意があったとしても、それだけでは不十分です。
不動産の売買契約は、必ずNotarの元で正式な契約書を作成し、公証を受けることが法律で決められています。

Notarは契約内容を一通り読み上げて確認し、両者が納得したうえで署名をします。
その後、土地登記簿(Grundbuch)への登録手続きもNotarが行います。

【例2】遺言書を作成する時

将来に備えて、自分の遺産をどう分けるかを決めておきたいと思った時も、Notarの出番です。
自分で書いた遺言書も一定の条件を満たせば有効ですが、Notarに作成・保管を依頼することで、法的トラブルを防ぎやすくなります
Notarが内容をチェックし、形式に誤りがないように整え、家庭裁判所に保管されることになります。

【例3】会社を立ち上げる時

フリーランスではなく、法人(たとえばGmbH)としてビジネスを始めたい場合、定款(Satzung)という会社の基本ルールを作成し、Notarを通して登記する必要があります
この登記が完了して初めて、会社としての法的効力が発生します。

Notarを利用する際のポイント

実際にNotarを利用するときには、いくつか知っておくと安心なポイントがあります。

① Notarは自分で選べる

特に不動産売買などでは、買主がNotarを選ぶのが一般的なようです。
もちろん、売主と買主が合意すれば、一緒に選んだNotarを使うこともできます。
信頼できるNotarを知人に紹介してもらったり、Googleでレビューを確認したりすると安心です。

② 費用は誰が払うの?

Notarのサービスは有料で、料金はドイツの「Notarkostengesetz(公証人料金法)」で決められており、全国共通です。
つまり、どのNotarに頼んでも基本的に料金は同じ。

  • 不動産売買の場合、費用の目安は物件購入価格の約1%〜2%
  • 通常、買主が支払うことになっていますが、事前に当事者同士で話し合うことも可能です。

③ 通訳や翻訳は必要?

Notarはすべてドイツ語で書類を作成し、手続きを進めます。
内容がよく理解できない場合、通訳を同行させることが求められることもあります
特に不動産取引や遺言書など、誤解があると後に大きなトラブルにつながる場面では、正確な理解が重要です。

Notarに関するよくある疑問

Q1:Notarと弁護士の違いは?

Notarは、あくまで中立の立場で法律手続きをサポートする専門家です。
対して、弁護士(Rechtsanwalt)は依頼者の利益を守る立場です。
例えば、売買契約を交渉したい、トラブルの解決を図りたい、という場合は弁護士の出番になります。

Q2:予約はすぐ取れる?

Notarは人気の職業で、都市部では特に予約が取りにくいことがあります。
急ぎの場合は、複数の事務所に連絡してみるとよいでしょう。

Q3:Notarの書類はどう保管される?

作成された書類はNotarがコピーを保管し、原本は裁判所や公的な保管庫に登録されることが多いです。
遺言など一部の書類は「遺言登録簿(Zentrales Testamentsregister)」に登録されるため、後から確認が可能です。

最後に

ドイツで暮らすなかで、Notarとの関わりは決して特別なことではありません。
むしろ、人生の中で重要な決断をする場面において、「法的に正しく、安全に」物事を進めるための信頼できるサポーターと言える存在です。

専門用語や制度が難しく感じられるかもしれませんが、この記事を通じてNotarの役割や使い方が少しでも身近に感じてもらえたなら幸いです。
いざというときに慌てないよう、早めに知識を持っておくことをおすすめします。

ゆとり
ドイツ生活6年目のゆとりです。デュッセルドルフで2年半働き、現在は再度ミュンヘンで働いています。過去にミュンヘンで交換留学およびワーホリも体験しました。
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