ミュンヘン vs デュッセルドルフ:2つの街の違いを語る

ドイツでの生活は、日本とは異なる多くの面で発見と驚きに満ちています。
しかし、ドイツ国内でも地域ごとに特徴が異なり、特にミュンヘン(München)デュッセルドルフ(Düsseldorf)は、その文化、気候、生活スタイル、利便性など多くの面で大きな違いがあります。

筆者は、ミュンヘンに2年半、またデュッセルドルフにも2年半住んだ経験(2024年11月時点)を通じて、両都市の違いを強く感じました。

この記事では、その違いについて、筆者の体験を基に詳しく紹介していきます。

この記事は、こんな人におすすめ!

・ドイツでの留学やワーキングホリデーを検討中、もしくは予定している方
・ドイツへの移住を検討中、もしくは予定している方
・仕事等の都合でドイツに長期滞在予定の方
・現在、ミュンヘンもしくはデュッセルドルフに在住、もしくはいずれかの都市への引っ越しを検討中の方

目次

初めて海外生活をする日本人にとって住みやすいのは、デュッセルドルフ

日本人の海外生活初心者に向いているのは、デュッセルドルフだと思います。

まず、デュッセルドルフには日本食料品店や日本食料品を扱うお店が複数存在しているからです。
複数ある日本食料品店の品揃えは充実しており、価格もミュンヘンに比べて安い点です。
代表的なお店としては「松竹」さん、「大洋食品」さん、「Hanaro Markt」さん、「Wayo」さんなどがあり、多種多様な日本の常温商品に加え、新鮮な日本の野菜や種類豊富な魚介類など、大変幅広い品揃えを誇っています。
そのため、それらのお店を利用することにより、異国であるドイツでも日本の食卓を再現することが可能です。

疑問ちゃん

値段はともかく、デュッセルドルフで調達できない日本の食料品はほぼないよね!

また、「鮨松本」さんのように、質が大変良い寿司や海鮮丼などを、10ユーロ前後のお手頃価格で提供しているお店も、デュッセルドルフにはあります!

その一方で、ミュンヘンにも「美門」さんという日本食料品店があります。
しかし、ミュンヘン市内にある日本食料品店が美門さん2店舗だけということもあり、日本食料品の選択肢がより少なく、デュッセルドルフよりも価格が高めです。

ドイツ博士

筆者の知っている限り、美門さんでは、デュッセルドルフの日本食料品店と違って、日本の新鮮な野菜、冷蔵の魚介類、皮付き骨無し鶏もも肉などは扱っていないよ!

疑問ちゃん

値段も、デュッセルドルフの1.5倍前後の商品が多いわ…。

ドイツ博士

デュッセルドルフと比べると、ミュンヘンの方が住んでいる日本人の数も競争も少ないから、ミュンヘンの方が高くなるのは仕方ないよね。

また、デュッセルドルフは日本人コミュニティが非常に発達しているため、日本語でサービスを提供するお店が多いのも、海外生活初心者(特にドイツ語や英語が苦手な人)にとっては魅力的です。

日本人が営業するお店も、ミュンヘンよりデュッセルドルフの方が圧倒的に多くあります
例えば、日本人スタッフがいる美容院も多くあり、「Club Y’s」や「atelier ICHIE」などは、技術力が高く、値段もミュンヘンに比べるとリーズナブルです。
パン屋や不動産屋、クリーニング屋等まで日本人が営業している店舗があり、日本語での対応が可能です。

これにより、言語の壁や生活上の不便さを感じることが少なく、初めての海外生活でも安心感があります!

ドイツ博士

筆者の場合、日本人美容師によるカットとシャンプーが、デュッセルドルフでは45ユーロだったけど、ミュンヘンでは63ユーロも掛かっているよ…。

さらに、デュッセルドルフでは日本人が運営するコミュニティが活発で、様々な集まりやイベントが開催されています
そのため、日本語しか話せない場合でも、そのようなコミュニティに参加することで、簡単に人脈を広げることができます
また、大きな日本人学校や日本人幼稚園が存在していることから、子育て中の家族にも適していると感じました。

ミュンヘンの「ヨーロッパらしさ」と「ドイツらしさ」

ミュンヘンは、典型的な「ヨーロッパらしさ」や「ドイツらしさ」を感じられる街です
ミュンヘン市内やその周辺には観光名所が多く、歴史的な建造物や美しい広場が数多く存在します

ミュンヘンの旧市街
ミュンヘンの旧市街

デュッセルドルフは第二次世界大戦で壊滅的な被害を受けたため、歴史的建造物が非常に少なく、旧市街(Altstadt)も規模が小さいです。
これは、筆者がデュッセルドルフに住んだ際に非常に残念に感じた点で、日本から友人や家族が訪れた際、案内できる観光スポットがかなり限られてしまいます。

疑問ちゃん

デュッセルドルフでは、日本人街(インマーマン通り)が有名な観光スポットの一つだけど、デュッセルドルフで暮らす日本人や日本からの観光客にとっては観光スポットにならないよね…。

逆にミュンヘンには、市内だけでもマリエン広場(Marienplatz)ニンフェンブルク城(Schloss Nymphenburg)など、有名な観光名所が多く、日本から訪れる人々をも存分に楽しませてくれます。

ミュンヘンのニンフェンブルク城
ミュンヘンのニンフェンブルク城

また、ミュンヘンの大きな魅力のひとつは、その地理的な利便性です。
ミュンヘンからはアルプス山脈が近く、ハイキングやスキーなど、アウトドアアクティビティに簡単にアクセスできます。
さらに、オーストリアやスイスへの旅行も容易です。

ドイツ博士

筆者はミュンヘンに住むと、スイスに年1回、オーストリアに年2回程度のペースで行っているよ!

一方、デュッセルドルフからはオランダやベルギーが近く、日帰り旅行や週末旅行の行き先としてはこれらの国々が人気です。
もちろん、オランダやベルギーも非常に美しい国なので、近隣諸国への旅行の選択肢と言う点では、両都市に優劣はありません。
強いて言えば、自然が好きな人はアルプスに近いミュンヘン都市や建築が好きな人はオランダやベルギーに近いデュッセルドルフの方が合っていると思います。

マッターホルン(スイス)
マッターホルン(スイス)
アムステルダム(オランダ)
アムステルダム(オランダ)

気軽に楽しめるイベントの多さはミュンヘン

ミュンヘンでは、誰でも気軽に参加できるイベントが多く開催されています

「気軽に」というのは、その会場に無料で入れ、1つのイベントにおいて様々な楽しみ方があるということです。
つまり、そのイベントのテーマに対して特別強い関心がなくても、とりあえず行って雰囲気だけ楽しむことができるということです。

ミュンヘンで特に有名なのは、毎年秋に行われるオクトーバーフェスト(OktoberfestまたはWiesn)で、これはビール祭りとして世界的に知られています。
オクトーバーフェストは、ビールが好きな人はもちろんのこと、お祭りが好きな人、食べ歩きをしたい人、遊園地のアトラクションが好きな人、バイエルンの歴史や文化に興味のある人など、あらゆる人が楽しめる内容になっています!
写真だけ撮りに行く人もいることでしょう。

ドイツ博士

筆者も、オクトーバーフェストに何度か写真を撮りに行ったり、屋台やアトラクションなどが立ち並ぶ風景を友人と見に行ったりしたことがあるよ!

疑問ちゃん

ビールを飲んだりテントに入ったりしなくても、十分楽しめるんだね!

他にも、トルウッド(Tollwood)というエコと文化をテーマにしたお祭りが毎年夏と冬の2回開催されます。
こちらも、入場料無料であり、異文化体験、飲食、音楽、ショッピング、環境問題など、様々な観点から楽しめる大規模なイベントです。
Tollwoodの屋台を、カフェの代わりとして友達と利用する人も多くいます!

その他にも、アウアー・ドルト(Auer Dult)や日本祭り(Japanfest)など、ミュンヘンには、誰でも楽しめるイベントがたくさんあります。

確かに、デュッセルドルフにも大規模な日本デー(Japan Tag)やライン・キルメス(Rheinkirmes)などのイベントがあります。
しかし、ミュンヘンのイベントの方が、より多くの人が気軽に楽しむことができると感じられるとともに、ヨーロッパらしさを強く感じられます
そのため、筆者は個人的にミュンヘンのイベントの方が好みです。

ドイツ博士

でも、デュッセルドルフのJapan Tagは、ミュンヘンのJapanfestよりもずっと規模が大きくて、午後11時頃に開催される花火は特に人気があるよ!

デュッセルドルフのRheinkirmes
デュッセルドルフのRheinkirmes

さらに、ミュンヘンでは大規模なコンサートが頻繁に開催されており、2024年にはTaylor Swiftが2日間、Coldplayが3日間、ミュンヘンのOlympiastadionでコンサートを行いました。
また、Adeleも、2024年8月にミュンヘン東部にあるMesseで毎週末2回のコンサートを開催しており、音楽ファンにはたまらない街です。

デュッセルドルフでも、こうした大規模なコンサートがあるものの、より頻度が少ない気がします。
そのため、音楽イベントを楽しみたい人には、ミュンヘンがよりおすすめです。

会場となるOlympiastadionの近くにあるOlympiabergから、無料でコンサートを楽しむ人々
会場となるOlympiastadionの近くにあるOlympiabergから、無料でコンサートを楽しむ人々

物価の違い:ミュンヘンの方がやや高め

物価に関しては、ミュンヘンの方がデュッセルドルフよりもやや高いと感じます。

確かにデュッセルドルフの物価もドイツ国内では高い部類に入りますが、特に家賃やレストランの食事代はミュンヘンの方がさらに高いです。
ミュンヘンはドイツでも生活コストが最も高い都市の一つであり、家賃相場は特に高騰しています。
デュッセルドルフでも住宅事情は大変厳しいですが、まだミュンヘンに比べると若干マシです。

日本の食料品や日本人によるサービス(美容院でのカットなど)も、ミュンヘンの方が圧倒的に高い傾向にあります。

ドイツ博士

物価が高い分、給与もミュンヘンの方が高い傾向にあるとよく聞くけどね!

そのため、生活費を安く抑えてドイツに滞在したいのであれば、ミュンヘンよりもデュッセルドルフの方が良いかと思います。

気候の違い:ミュンヘンは寒く、デュッセルドルフは曇りがち

ドイツ全体として、日本の太平洋側に比べてどんよりとした天気の日が多く、晴れる日が少ないと感じることが多いです。
しかし、同じドイツにあるミュンヘンとデュッセルドルフでも、気候に多少の違いがあります。

デュッセルドルフは、ミュンヘンよりも曇りがちで、どんよりとした天気が続くことがより多くあります
実際に日照時間を比較しても、ミュンヘンの方が晴れている時間が長いことがわかります。

その代わり、ミュンヘンは特に冬の気温が低く、雪が降りやすいのが特徴です。
ただし、冬の寒さが好きな人にとっては、ミュンヘンの冬は楽しめるでしょう。

ドイツ博士

筆者は、両都市に住んでみて、デュッセルドルフの方が晴れ間が少ないと実際に感じたよ!

以下のサイトの情報を基に作成
https://de.climate-data.org/europa/deutschland/bayern/muenchen-6426/
以下のサイトの情報を基に作成
https://de.climate-data.org/europa/deutschland/nordrhein-westfalen/duesseldorf-2146/
ミュンヘンのある日の夕暮れ
ミュンヘンのある日の夕暮れ

地下鉄事情の違い:ミュンヘンは地下、デュッセルドルフは地上

最後に、交通機関についても一言。
ミュンヘンの地下鉄はその名の通り、ほとんどの区間で地下を走っていますが、デュッセルドルフの地下鉄は大部分が地上を走っています!

私はミュンヘンに住んだ後デュッセルドルフに住んだため、この違いには驚きました。
地下鉄という名前に反して、デュッセルドルフでは普通の路面電車に乗っている感覚が強く、交通インフラの設計の違いが面白いと感じました。

疑問ちゃん

大部分で地上を走るデュッセルドルフの地下鉄を、誰が、地下鉄(U-Bahn)と名付けたのだろう(笑)

地上を走るデュッセルドルフの地下鉄
地上を走るデュッセルドルフの地下鉄

まとめ

・初めて海外生活をする日本人にとって住みやすいのは、デュッセルドルフ!
・ヨーロッパらしい街に住みたいのであれば、ミュンヘン!
・誰でも気軽に参加できるイベントが多く開催されているのは、ミュンヘン!
・生活費を安く抑えてドイツに滞在したいのであれば、デュッセルドルフ!
・天気が良く晴れる時間が長いのは、ミュンヘン!
・デュッセルドルフからはオランダやベルギーが近く、ミュンヘンからはオーストリアやスイスが近い!

ミュンヘンとデュッセルドルフは、どちらも魅力的な街ですが、生活スタイルや好みによって、どちらが自分に合っているかが変わります

デュッセルドルフは日本人コミュニティが発展しており、海外生活初心者にとっては非常に住みやすい都市です。
一方、ミュンヘンは「ヨーロッパらしさ」を感じられる美しい都市で、歴史的な建造物やイベントが豊富で、アウトドアアクティビティも楽しめます。

ゆとり
ドイツ生活5年目のゆとりです。デュッセルドルフで2年半働き、現在は再度ミュンヘンで働いています。過去にミュンヘンで交換留学およびワーホリも体験しました。
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